最強で美人なお飾り嫁（♂）は無自覚に無双する

アリカがカナリア

新しいお家はとっても素敵！

何より前世のシステムキッチン並みの設備に感動しちゃう。

いろんな食材を集めて、この国の名物になるようなものが作れたら良いなあ。


お洋服も素敵だし……。


「お似合いですよ。」

アリカが微笑む。


「ありがとう。アリカ。」


「ミリオン！遊びに来たよ！」
「ミリオン！」


先触れ無しでも怒れない人たちが遊びに来た。

ん？アリカ。どうしてそんな顔をしているの？
アリカの表情は固い。


「やあ、先触れ無しにごめんね。」

「いえ、お城の一角ですし。」

金髪碧眼の第一王子のアルカナ様と第二王子のルナリア様だ。

二人ともそっくりだけど、ルナリア様の方が垂れ目気味でアルカナ様の口元にはほくろがある。

「勇者殿、婚姻無効おめでとう。」

「これ、お土産のお花。綺麗でしょう？ミリオンにはかなわないけどね！」


「全く珠を自ら失うとは愚か者だ。ねえ、今度夜会に一緒に出てよ！」

「えっ、ちょっと………」

どういうこと？
モテ期がきたの？


「申し訳ないのですが僕は「ミリオンの事がずっと好きだったんだよ。」」

ひい！
第一王子と第二王子に壁ドンされたっ！

えぇ………困るよ。
ぶっ飛ばせるけど不敬になるし。


パン！

アリカが僕の前に立つ王子達の手を払う。


「困っているじゃないか！やめろ！」

「ふうん………。」

「どうしようかな～。」


まずい！
アリカが罰されちゃう！


「無礼をお許しください！彼は僕の代わりに」


「だってよ。」
「安心させてあげたら？」

二人がニヤニヤ笑う。

？？？




「すみませんでしたあ！」



アリカが地面に頭をつけて土下座をした。

ただし僕に。

どうして？謝らないといけないのはアッチでしょ？


そう思っていたら、髪の色がざわざわと黄色に変わって――――


頭が上がると、その顔には見覚えがあって。
瞳も茶色じゃなくて。



「ごめん、ずっと黙っていて。アリカはいない。私はカナリアだったんだ………。」





そんなに泣きそうな顔をして。


僕の頭は混乱したけど、それだけで。

だって、怒れないよ。


きっと、僕を助けるためにしたことだろうから。