【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。

残り僅かな学園生活

リロンデルと結婚できるなんて夢みたい…。

婚約パーティーの後、リロンデルはお母さまから転移の魔道具をいただいて、速攻で婚約の書類を作り、速攻で渡していた。


嬉しいなぁ…。



もう残り僅かな学園生活。

僕が着ると子どものコスプレみたいだけど、お兄様が着るとものすごくカッコいい、この茶色のブレザーとももう少しでお別れ。


お母様は飛び級をして12歳で卒業したらしいけど、僕たちにはゆっくり学園生活を楽しみなさいって。
お友達を作るのも大切なことだよ、って教えてくれた。

そうした素敵な日々を終えて、僕はリロンデルの国に嫁ぐのだ。


結婚式の日までに片づけたい仕事がたくさんあるからって、暫くは彼に会えないけれど、

お父様が僕のためにお手製のウエディングの衣装をこしらえてくださるというし
こちらの国で孕むための魔法をかけて、向こうで式を挙げる日が待ち遠しい。



お兄様にも、幸せになってもらいたい。



ちらりと隣の席のお兄様を見ると、お兄様は真剣にノートにメモを取っていた。


お兄様の好きな方………いらっしゃると思うのだけど、どなたなのかしら。




「サンベリル王子！」


「はいっ！」



「どうしたんですか？具合が悪いのでしたら救護室へ…。」

数学教師のアムール=マックイーン先生が僕の顔を覗き込む。

金髪が小麦の波のようで、アイスブルーの瞳は涼やかで。すごく素敵な方だけど、もう30歳なのに結婚されていないんだよね。



「すみません、大丈夫です。ありがとうございます。」


「弟が具合が悪そうなら、俺が連れて行きます。」

「プリンシパル様は優しい素敵なお兄様ですね。」

兄を見て先生がほほ笑むと、兄の頬がわずかに緩んだ。



あれ？

あれぇ？


もしかして。

もしかしてなのかな？