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お兄さまは弟が可愛い
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「よっ。」
「プリンシパル王子!毎度毎度急に来られても困りますっ!」
執務室にいきなり現れた王子に、リロンデルは、ああまたか。と頭を抱えた。
だが、同時に嬉しくもある。
叔父一味は全て粛清できたものの、家族やよき親族、側近を多く失い、リロンデルは孤独だ。
自分よりもわずかに年下ではあるが、似たような体格で王太子であるプリンシパルの存在は、リロンデルにとって大きかった。
「忙しそうだな。」
「国がめちゃくちゃになっていますからね。破壊するのは一瞬ですが、元のフロース王国に戻るのは時間がかかるでしょう。」
「何敬語使っちゃってるの。うちの父上にならともかく、二人でいるときは素でいいよ。」
「ありがとう、プリンシパル。では、遠慮なく。」
「畑を潰して麻薬の製造ねぇ。確かに金にはなるけどさ…。」
「全く許せない。しかも、税率をあげて。国民は食べるものにことかき、高い税金に苦しんで…。」
「そういえば、こっちって花の他は何かないの?海に面してるんだろ?」
「魚や貝なら。塩は海水をこして作っているが、貿易に使えるほどとれるわけじゃないし、魚介類にしたって出荷するには日持ちがしないから…。」
「農業は、騎士やめたやつとかも農家になって農地改善からやってるんだっけ?でも今はなるはやで外貨も欲しい時だよね。うちの弟や母さんに相談してみたら?ナマの出荷は厳しくても、加工したらいけるんじゃないかと思う。場合によっては、オレリアンの工場が進出しても構わないよな?」
「あ、ああ。すごく助かる。」
リロンデルの表情が暗い。
「ん?どうした?」
「いや、君たちは本当にすごいなと思って…。私には何のアイディアも思いつかなかった。ダメだな。こんなんじゃ…。」
「いやぁ、まあ…うちはいろいろと規格外だから……。気にするなよ。引継ぎもなく、荒らされた状態からマイナスのスタートなんだし。お前は良い方だよ。自分の力不足をちゃんと認めることが出来るし、うちに助けてって言えるじゃん。」
「……でも、こんなんじゃ。好きな子を迎える資格はないな…。」
「ん?なに?お前いるの?好きな子?婚約者??どんな子??!」
「婚約者はいない…、ずっと変なのにまとわりつかれてたし、婚約して狙われても大変だったから…。」
「じゃあ、好きな子?じれったいな、一緒に苦労を乗り越えてこそ真の絆が生まれるってもんだろ。」
「………向こうは俺よりずっと立派で。……てっ………天使なんだ…!」
顔を真っ赤にして、190もある大柄な男がのたうち回っている。
なんか、こういう人間、よく見てる気がするぞ。
お父様だ。お父様にそっくり。
「そうか、うちのサンベリルに惚れたか。仕方ない、うちの弟は天使だからな。」
「!!!!!!!!」
照れたリロンデルに、追い出された。
しかし、期せずして、今回の目的達成しちゃったな。
お母様からサンベリルのために、リロンデルの気持ちを探る様に言われてたんだ。
なんだ、両想いじゃないか。
「プリンシパル王子!毎度毎度急に来られても困りますっ!」
執務室にいきなり現れた王子に、リロンデルは、ああまたか。と頭を抱えた。
だが、同時に嬉しくもある。
叔父一味は全て粛清できたものの、家族やよき親族、側近を多く失い、リロンデルは孤独だ。
自分よりもわずかに年下ではあるが、似たような体格で王太子であるプリンシパルの存在は、リロンデルにとって大きかった。
「忙しそうだな。」
「国がめちゃくちゃになっていますからね。破壊するのは一瞬ですが、元のフロース王国に戻るのは時間がかかるでしょう。」
「何敬語使っちゃってるの。うちの父上にならともかく、二人でいるときは素でいいよ。」
「ありがとう、プリンシパル。では、遠慮なく。」
「畑を潰して麻薬の製造ねぇ。確かに金にはなるけどさ…。」
「全く許せない。しかも、税率をあげて。国民は食べるものにことかき、高い税金に苦しんで…。」
「そういえば、こっちって花の他は何かないの?海に面してるんだろ?」
「魚や貝なら。塩は海水をこして作っているが、貿易に使えるほどとれるわけじゃないし、魚介類にしたって出荷するには日持ちがしないから…。」
「農業は、騎士やめたやつとかも農家になって農地改善からやってるんだっけ?でも今はなるはやで外貨も欲しい時だよね。うちの弟や母さんに相談してみたら?ナマの出荷は厳しくても、加工したらいけるんじゃないかと思う。場合によっては、オレリアンの工場が進出しても構わないよな?」
「あ、ああ。すごく助かる。」
リロンデルの表情が暗い。
「ん?どうした?」
「いや、君たちは本当にすごいなと思って…。私には何のアイディアも思いつかなかった。ダメだな。こんなんじゃ…。」
「いやぁ、まあ…うちはいろいろと規格外だから……。気にするなよ。引継ぎもなく、荒らされた状態からマイナスのスタートなんだし。お前は良い方だよ。自分の力不足をちゃんと認めることが出来るし、うちに助けてって言えるじゃん。」
「……でも、こんなんじゃ。好きな子を迎える資格はないな…。」
「ん?なに?お前いるの?好きな子?婚約者??どんな子??!」
「婚約者はいない…、ずっと変なのにまとわりつかれてたし、婚約して狙われても大変だったから…。」
「じゃあ、好きな子?じれったいな、一緒に苦労を乗り越えてこそ真の絆が生まれるってもんだろ。」
「………向こうは俺よりずっと立派で。……てっ………天使なんだ…!」
顔を真っ赤にして、190もある大柄な男がのたうち回っている。
なんか、こういう人間、よく見てる気がするぞ。
お父様だ。お父様にそっくり。
「そうか、うちのサンベリルに惚れたか。仕方ない、うちの弟は天使だからな。」
「!!!!!!!!」
照れたリロンデルに、追い出された。
しかし、期せずして、今回の目的達成しちゃったな。
お母様からサンベリルのために、リロンデルの気持ちを探る様に言われてたんだ。
なんだ、両想いじゃないか。
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