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終章 魔王と勇者

執着の結末

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「花村、ランチどこ行こっか。」


製品開発部で電子工学系の研究スタッフとして働き始めた俺は、花村と順調だ。

『古山がいい♡』って言わせるまで、頑張った俺を褒めてほしい。


なお、花村は営業部にいる。

よく、海外に契約を取り付けに行ってしまうので俺は寂しい。




「うーん、それなんだけど。副社長が来いって。高いもんおごらせてやろう。」



呼び出されたのは、会社の近くの高いレストランの個室だ。



部屋を開けると、剣もいた。



俺たちは君に執着していたけど、もう何もしないからね。
きっと生まれ変わっても、もう二度と同じようなことはしないだろう。

だって、別の運命を見つけたから。




「副社長?要件は何ですか?」


ランチのコースメニューを注文して、花村が口火を切った。



「近々、カナダに電子系の子会社を作るんだ。スタッフが必要だから、そこの製品開発部に古山、営業部に花村に行ってほしい。」


「二人とも、部長さんだって。すごいよ!」

剣がニコニコしている。


「うちの工場で雇ってる、元お前の実家のやつらも連れてっていいぞ?」


「…でも急だなあ。」



「新会社を任せられる、というのもあるが。いいタイミングだと思ってな。知ってるか?カナダは合法的に同性婚ができるんだ。国籍取得もしやすいし。お前たち、結婚できるならもう考えてもいい頃合いだろ?」



「なっ!」



「ふふふ、同棲しているのは知ってるんだぞ!まぁ、考えてみてくれ。」








その日は仕事が手につかなくて。

夜、夜景を見ながら二人で家への帰り道。



「結婚、できるって…。」


「俺がウェディングドレス着るのか?」

ははは、と花村が笑った。

綺麗な顔の花村は、似合わなくもないだろうが、どうしたって男の女装になるだろう。


「男同士は両方タキシード着るらしいよ。嫁側が白で、夫側が黒?とか聞いたことがある。」


「そうか。古山は行きたい?」


「俺は、今のままでも幸せだけど。いつか花村は海外勤務になる気がしてた。そのとき、遠距離だったら嫌だなあって思ってたから、正直今回の提案はありがたい。組のモンだった奴らも連れて行けるし。」

「それって、俺と離れたくないってことかな。うれしいなぁ。」



「…花村は、嫌だった?」



「カナダは先進工業国で、ITが注目されている。その中で、いろいろ吸収して、優れた製品をお前が作る。俺がお前の製品を売ってやる。お前が作る製品が、俺たちの子どもじゃないかな。……って!」


嬉しくて、花村を抱きしめた。




俺たちは幸せだ。


これが、俺たちの執着の結末。

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