【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

アヴニール編【学園編】

僕のなりたいもの

公爵家に通い始めて、１か月経った。

他愛もない話をクリス様としたり、マナ君と遊んだりしている。

マナ君は耳が聞こえないけど、頭のいい子だと思う。


どうやったらマナ君が理解しやすいだろうと考えながら文字を教えていたら、すぐに書けるようになった。


「すごいよ、マナ!　すごいよ、サザエル!　君は教えるのが上手だね。」


クリス様は泣いて喜んだ。


これからは、もじでおはなし　できるね


紙に書いて、マナ君に見せる。


マナ君も飛び跳ねて喜んだ。



そうだ。


僕は教師になりたい。

マナ君のような子どもたちに、教える先生に。



マナ君はお絵かきも上手で、絵を描いて見せてくれた。


銀髪の王子様と金髪のお姫様。


「お姫様は自分で、王子様はサザエルだって。」


ぎゅうっと抱きついてくるマナ君。


「本当に僕でいいの?」


かわいらしい笑顔がぱあっと咲いた。



「そっかぁ、じゃあ、マナ君が大きくなってガッカリしないように、かっこいい先生にならなきゃね。」


そして、この子がその時も僕を選んでくれるのなら。


お姫様を白い馬車で迎えに行かなくちゃ。