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アヴニール編【学園編】

サークルきめました

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毎日毎日毎日、生徒会長がうざい。きらい。


「アヴニール、せいとか

「入りません。」


「アーヴー


「入りません。」


「アヴちゃん!」

「入りませんってば!」



あの人、3年生だよね。生徒会長だよね。


毎日朝から授業の合間やら食事の時間やらトイレまで追っかけてきて、暇なのかな。



「キリア、あの人暇なのかなあ。」


「しつこいから、もう早くサークル決めちゃおうぜ。」


「そうだなぁ、何がいいかなあ。」









「なぜだろう、アヴニールの照れ屋さん。早く生徒会に入ってくれないかな。」

「本気で嫌われてるってなんで気づかないんですか。それに、毎日毎日そういう目にあってるのによく懲りませんね。」



生徒会長の姿はボロボロで、普段のキラキラオーラが半減している。


アヴニールを追い掛け回すたびに、なぜか邪魔が入って、なぜかひどい目にあってるのだ。


ゴミ箱が落ちてきて、ゴミまみれになることは日常茶飯事だし、

なぜか、道に迷ったおばあちゃんに学園の外のうんと遠い町まで案内させられるし(なんで学園にそんなおばあちゃんがいるのか分からないけど)


クライス先生に武器運ぶのを手伝わされたり

ティンカー先生に本の山を整理お願いされたり

キャット先生に謎の薬品をドジっ子でぶっかけられて、服を溶かされたり。


さっきはバケツの汚水をぶっかけられた。


「くしゅ! 最近私運がないなぁ。」


「…本当に運がない、と思ってるんですね。運、ですか。」


「しってるか、ベニス。運って悪いことがある分、いいこともあるんだ。今、運が悪いのがまとめてきてるんだよ。だからきっといいことがあるはずだよ!」

「ポジティブですねえ。」


「そういえば、パーティーでぶつかった子もかなり可愛かったな。」

「ああ。もうその子にしたらどうですかね。」


「キャット先生も私のこと好きみたいで最近寄ってくるけど、私、つれない方がいいんだよねえ。いやあ、モテる男はつらいなぁ。あの子もそっけなかったけど、恥ずかしそうにしてて、ああいうのが萌えるよねえ。」


「私は、前会長みたいな人がいいと思うんですけどね。あなたには。正直、私ひとりじゃあなたのボケの面倒見きれません。」








1時限目は算術。

ガラっと、キャット先生が入ってくる。

キャット先生は、ハーフパンツにロングソックスを履いて、ぶかぶかの上着を着ている。

毎日、可愛い格好。

普段はエロエロしくて、サービス精神旺盛(3年生を保健室に連れ込んでいるという噂がある)だから男子生徒に人気があるけど、授業が始まると人が変わったように真面目に授業を行う人だ。


「いいですか、計算は大事です。公共工事、建築、畑の改良、税の徴収の根拠の土地代、それにお金の管理。経営の基本、社会人の基本は計算!領主が帳簿を見れないんじゃあ話になりません!渡る世間は金です、か・ね!」

愛で腹が膨れるか!世の中は金だ!!と言い切る先生の実家は平民で、しかも貧乏だ。

体を売って留学して、立派に職業について、親兄弟を養っている。

尊敬できないところも多いけど、そういう面は尊敬していると、キリアも言っていた。


先生は、黒板にすらすらと計算式を書く。

「1個5、000ゼニ―で売れる髪飾りの材料は、3,000ゼニ―です。これが月50個売れたとして、税金が10%なら、領地にはいくら入るでしょう。」

「えっと、25,000ゼニ―かな…。」



「ぶっぶー。お前のところの領民は逃げ出すな!」


「はい!はい!!」

「アヴニール!」

「10,000ゼニ―ですっ!」


「そうだ。材料費の分があるから、1個当たり売上が5,000でも収益は2,000。税金でもっと潤いたいなら、彼がもっと儲ける仕組みを考えてあげなくてはならない。お前ならどうする?アヴニール。」


「原材料が領地ですべて賄えるようにするとか、製品の付加価値を上げてもっと高額商品を作るとか、もしくはもっと売れるように、生産性を高めたり販路開拓支援をするとかすると思います。」


「そうだな、ただ原材料に関しては他と持ちつ持たれつな部分もある。自分のとこだけよければいいって考えじゃいけないからな。そのへんは実際は深く考えて行動してほしいと先生は思います。」


アヴニールが席に着く。


「あの先生、授業はまともでびっくりするわ。」

というか、アヴニールも優秀は優秀だなあと思う。






次は歴史の授業。

ティンカー先生が、すらすらと世界の歴史を話している。

ティンカー先生は、一度見たものは忘れない記憶力を持っていて、細かい裏話を挟んでくれるので面白い。


「歴史は何のために勉強すると思います?」


「うーん、貴族として成り立ちを知っておくべきだからでしょうか。」


「歴史は繰り返す、といいます。実際に起きた歴史から、再度同じような災害や戦争が起きるのを防ぐことができるからです。例えば、隣国で害虫モンスターがわいたことがありました。境界線の土地にもその害虫はやってきましたが、当時斥候部隊長だったアヴニールのお母さまが、国に被害が出る前にせん滅させました。その時、隣国は農業に大ダメ―ジ。うちは、豊作。普段なら、価格が下がりすぎるので減反するレベルですが、アヴニールのお母様は減反をしないよう指示をしました。国で余った食料は、捨てるのではなく、他国へ出荷しました。」

こういうことが起きたらどうなるか。

それを推測できれば、正しい手立てを選べるのです。

その推測のために、歴史は指針となるのですよ。


ティンカーは優しくほほ笑んだ。



「そうなんだ。俺が生まれる前、お母さまそんなことしてたんだ。」


アヴニールの目がキラキラしている。


授業が終わって、アヴニールはティンカーを呼び止めた。




「先生、俺、先生が顧問している歴史研究会に入りたい。」



「いい選択です。」


「じゃあ俺も入ろうかな。」



「えっ。」


こうして、サークルが決まった。











「うああああああああああああ。ティンカーのサークルに入ったのはいいけど、どうしてキリアがついてくるんだ!」


キャッツアイはまた机をたたく。
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