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新章(アリスの結婚編)
キャッツアイ先輩とお出かけ
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屋敷にいると、お母さまが見てられない。
帰ってきたころよりは、だんだん落ち着いてきた気はする。
赤ちゃんをどうするかまだ迷っているみたいだけど、早く決めないと堕胎できなくなる。
あの様子だと、たぶん出産する気がする。
お母さまの性格で、堕胎できる気がしないし…。
なのに、堕胎を選択肢として考えてしまっているくらいには、お母さまは参っているのだ。
どっちの選択肢を選んでも、お父様も俺たちも誰もお母さまを責めないけど、早くお母さまには元気になってほしい。
完全に忘れることは、たぶんないと思うけど。
「アヴニール?」
隣を歩く部隊長が、俺の考え込んでいる様子を見て、心配してくれた。
大丈夫だよ!
ぎゅっと、手を握る。
部隊長は握り返してくれる。
冒険者ギルドについた。
今でもお母さまが登録しているままの、冒険者ギルド。
最近では、何でも屋に近いらしい。
「ジェシーさん。」
中から、恰幅のいい中年女性が現れた。
「はい、これ頼まれものよ。私たちからのものも入っているから。」
「すみません。ありがとうございます。」
「いいのよ、私たちもクリスにはお世話になっているし。あの子のこと、みんな好きなのよ。私も弟みたいに思ってた。前々から危なっかしいところはあったから、いつこういうことになってもおかしくはなかったのよね。」
ジェシーは、アヴニールをみた。
母親そっくりの顔で、青い目をぱちぱちさせている。腰には2本の剣をぶら下げて。
「こんにちは。あなたがクリスのところの次男さんね?」
「アヴニールです。はじめまして。」
「お母さまと同じ二刀流なのね。気が向いたら、彼氏さんと一緒に冒険者ギルドに登録してもいいのよ?」
「ありがとうございます。でも、部隊長は忙しいから…。」
「ふふ、仲良しさんなのね。」
二人、真っ赤になる。
そこへ、冒険者たちが集まって来た。
「部隊長さん。俺たち、クリスのことが好きだったんだ。狙ってたけど、脈もなかったし、ミカエルに追い払われてたし、公爵と結婚して幸せそうで、応援してたんだよ。俺たちも今回のことは胸が張り裂けそうだよ。こういうことあるとさ、男が近寄るだけで怖かったりするんだろ?見舞いに行きたいけど、いけないからさ…!」
だから。
冒険者たちは、古い剣を差し出した。
「あの子が最初に使ってた剣だよ。壊れて処分するときに、こっそり持って帰ったんだ。」
「俺が打ち直したから、普通に使えるぞ!」
「あの頃も、かなり辛そうだった。だけど、自分で道を切り開いていった。あの頃に戻れとは言わないけど、元気になってもらえたらって。」
「…ありがとうございます。」
「ありがとうございます!」
荷物を受け取って、俺たちはギルドを後にした。
優しい、いい人たち。
お母さまは仲間に恵まれてたんだな。みんなに愛されてたんだ。
みんなからの愛を、お母さまに届けよう。
帰ってきたころよりは、だんだん落ち着いてきた気はする。
赤ちゃんをどうするかまだ迷っているみたいだけど、早く決めないと堕胎できなくなる。
あの様子だと、たぶん出産する気がする。
お母さまの性格で、堕胎できる気がしないし…。
なのに、堕胎を選択肢として考えてしまっているくらいには、お母さまは参っているのだ。
どっちの選択肢を選んでも、お父様も俺たちも誰もお母さまを責めないけど、早くお母さまには元気になってほしい。
完全に忘れることは、たぶんないと思うけど。
「アヴニール?」
隣を歩く部隊長が、俺の考え込んでいる様子を見て、心配してくれた。
大丈夫だよ!
ぎゅっと、手を握る。
部隊長は握り返してくれる。
冒険者ギルドについた。
今でもお母さまが登録しているままの、冒険者ギルド。
最近では、何でも屋に近いらしい。
「ジェシーさん。」
中から、恰幅のいい中年女性が現れた。
「はい、これ頼まれものよ。私たちからのものも入っているから。」
「すみません。ありがとうございます。」
「いいのよ、私たちもクリスにはお世話になっているし。あの子のこと、みんな好きなのよ。私も弟みたいに思ってた。前々から危なっかしいところはあったから、いつこういうことになってもおかしくはなかったのよね。」
ジェシーは、アヴニールをみた。
母親そっくりの顔で、青い目をぱちぱちさせている。腰には2本の剣をぶら下げて。
「こんにちは。あなたがクリスのところの次男さんね?」
「アヴニールです。はじめまして。」
「お母さまと同じ二刀流なのね。気が向いたら、彼氏さんと一緒に冒険者ギルドに登録してもいいのよ?」
「ありがとうございます。でも、部隊長は忙しいから…。」
「ふふ、仲良しさんなのね。」
二人、真っ赤になる。
そこへ、冒険者たちが集まって来た。
「部隊長さん。俺たち、クリスのことが好きだったんだ。狙ってたけど、脈もなかったし、ミカエルに追い払われてたし、公爵と結婚して幸せそうで、応援してたんだよ。俺たちも今回のことは胸が張り裂けそうだよ。こういうことあるとさ、男が近寄るだけで怖かったりするんだろ?見舞いに行きたいけど、いけないからさ…!」
だから。
冒険者たちは、古い剣を差し出した。
「あの子が最初に使ってた剣だよ。壊れて処分するときに、こっそり持って帰ったんだ。」
「俺が打ち直したから、普通に使えるぞ!」
「あの頃も、かなり辛そうだった。だけど、自分で道を切り開いていった。あの頃に戻れとは言わないけど、元気になってもらえたらって。」
「…ありがとうございます。」
「ありがとうございます!」
荷物を受け取って、俺たちはギルドを後にした。
優しい、いい人たち。
お母さまは仲間に恵まれてたんだな。みんなに愛されてたんだ。
みんなからの愛を、お母さまに届けよう。
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