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新章(アリスの結婚編)

スノーフォレストの悪意

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世界で唯一、身分のない国。

選挙で選ばれた人間で、国を経営する。

自由と平等のスノーフォレスト。

技術大国スノーフォレスト。



故に、移民が多く、この国は今、多種多様な種族が集まっていた。



人種が多様なのは、俺たちみたいな職業の者には過ごしやすい。

また、この国には身分は存在しないから、元平民だろうが、奴隷だろうが、本人にやる気があれば、学校に通ったり、どこかの工房に弟子入りして、技術を習得することもできる。


おおらかなものだが、産業スパイし放題だと思う。

職業柄、気になってしまう。


「こういう国の者が取引相手か。後ろ暗いヤツにあたる確率も高そうだな…。」

「まずはリストの名前であたりましょうか。」

俺は覚えています。



ティンカーは狙撃の腕がいいだけでなく、記憶力も抜群で、一瞬で覚えて、一度見たものは忘れない。


「来月、アリス様が国へ戻るまでに片付けばいいな。」



こういう手合いは偽名も使うから。



それに、この国の状況では、隣近所の関係性は希薄だろう。


なかなか骨が折れそうだ、とピーターは思った。



「どこかに潜伏します?」


「キャッツアイが、例の犯人は路地裏で声を掛けられたと言っていた。そんな感じな場所を好んでいるだろう。」




闇稼業の者を探すには、そこに近い場所へ飛び込むのが手っ取り早い。









ーーーーーーーーーというわけで。







「ねェ、おにいさん♡ 遊んでいかない~♡」



「お、いいねえ、新人さん?」


「そうなんですよ、ジョージアといいます。」


「へえ、黒髪黒目でちょっとジャホンの子みたいだけど、ちがうんだね。それで、君も?」


吊り目気味の、細身のボーイを見る。


「ヤダァ♡、その子はボーイ!おさわり禁止! 俺じゃダメ?」




SMクラブの女王様と、ボーイとしてしばらく就職することにしました。
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