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新章(アリスの結婚編)

貴方に惚れ直す

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「あれ!お母さま来てたの?」

「団長!」


アリスお兄様からの連絡を受けて、ロビーに出てみると、お父様とお母さまがいた。


映写中のロビーは、俺たち以外誰もいない。




「キャッツアイ、俺、犯人に心当たりがあるかもしれない。映画館に入るとき、妙なことを呟いている男がいたんだ。だから俺は、そっちにカマかけてみる。」


そういうと、お母さまはズボンを脱ぎだした。


「ちょ、クリスさん?」

お父様が慌てている。



「今日の格好は長いローブにズボンを合わせてるから、ズボンを脱いだら女性の服に見えるだろ?」

慣れた仕草で髪の毛を整え、表情を作れば。

あら不思議。クリスティーヌのできあがり。


「ちょ、クリス。私言ったよね?もうそういうことしないでって言いましたよね?」


「ここには俺たちしかいないの。やれる人がやれることをやる。分かった?」


お母さまはすったかたーっと行ってしまった。

とても、子どもを3人出産したアラフォーの人妻には見えない。



「仕方ありません。早く片付けましょう。団長も無線をONにしてますから何かあれば呼ぶでしょう。公爵は、爆弾の解除の手伝いをお願いします。アヴニールは、避難誘導を手伝って。」



さあ、ミッション・スタート!







『キャッツアイだ。アリスから話は聞いた。団長と公爵も来ていて、団長は犯人らしき人物と接触中、公爵は爆弾解除に回ってもらう。』


「オッケー。爆弾解除も危険だが、公爵は魔物使いでもあるから大丈夫か。いざとなればスライムでもクッションにするだろ。団長は、お手並み拝見だな。噂でしか聞いたことがないんだよな。」


『じゃあ、まずは避難誘導の手を打ってくる。』



任せた。












「ここ、よろしいかしら…。」


映画館の入口で呟いていた男は、一番後ろの通路側に陣取っていた。

まあ、そこにいるとは思ってた。


「…お連れさんがいたのでは?」


「あらいやだ、ご覧になってたの?私にいたずらをするから、怒って振ってやったの。」


だって、私の服の中に手を入れてくるんですもの。ひどいわ?


男の隣に腰掛けて、わざと足を組む。


白い太ももがちらっとみえた。


「私映画館ってあんまり好きじゃないわ。誘われて仕方なく来たけど。風情がないわよね。。」



男を見ると、口元が緩んでいる。



「そうだろう、そうだろう!映画館なんてなくなればいいんだ! わざわざ劇場のそばにオープンしやがって!このままじゃ劇場がつぶれちまうよ!」




そのとき、パアンという音が室内に響いた。


「きゃあ!爆発!!?」


「いや…そんなはずは…。」





金髪の子どもが指をさして、叫んでいる。


「爆弾だーーーーーーーーー!!!! みんな、にげてぇええ!!!」




「キャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


あたりが騒然となり、我先にと逃げまどう。


「大丈夫、まだ大丈夫だよ!転んだら余計に詰まっちゃう!」金髪の子どもがまた叫んでいる。






「大変だわ、逃げましょう!!」

犯人の手を引き、連れ出す。


「人がいっぱいだわ、こっちから逃げられないかしら。」

わざと、あちこちへ連れまわす。


男が嫌がったところ、目線を細かくチェックする。


それを逐一、無線で全員に伝えていた。





「うまくやりますねえ、さすが団長。」

男が嫌がったところ、目線を向けた場所には爆弾があった。

これでだいぶ時間が短縮できた。


爆弾を偽装するために空砲を撃った銃を懐にしまいながら、キャッツアイは感心した。





いつか、あの子もああいう風になるのだろうか。





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