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新章(アリスの結婚編)

仮面舞踏会(キャッツアイ×アヴニール)

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君のお兄さんは、1人に執着しがちな王族においては異端というか、3人もお嫁さんにした。


だから、昔のハレムを持った王様のように、今後、気に入れば他にも側室に入れてもらえるんじゃないか、って期待されているんだよ。

と、キャッツアイ先輩…じゃなかった、部隊長は言った。


復活した斥候部隊。


お母さまが騎士団長になり、副団長にはミカエルさんが就任し。
かつてのお母さまをトップにした斥候部隊は散り散りに、それぞれそれなりの役職になったので、新しく若返った組織は、キャッツアイさんが部隊長に就任した。


奇しくも、お母さまが部隊長になったのと同じ年齢。19歳だ。


お母さまのように、ずば抜けて腕が立つわけではないけれど、情報収集力と分析力に長けた部隊長はカッコいい。


考え事をして戦略を立てているときの真剣でクールな眼差しとかぞくぞくしちゃう。


俺はそんなにまだいろんなこと考えられないけれど、役に立ちたいなぁ。



「ぶたいちょ、それで新婚旅行でなんで狙われて?」

ブライト伯爵家の馬車にカタコト揺られて、俺は、隣に座っているタキシード姿の紳士に声をかけた。



「旅行先で何か事件に巻き込まれて、というのはよくある話さ。愛するお嫁さんでも、殺されたり、傷つけられたり。アリスに限ってはそんなことないけど、よく知らない人ならこう思うだろ?傷物になったら興がそがれるとか。なんにせよ、アリスは良くも悪くも自国の貴族から嫁を選ばなかったからな…。」


ぜんぶ、噂だよ、噂。

だから俺たちで情報の精度を確かめよう。

できれば、『真実』なら首謀者のめぼしもつけておきたい。



「さあ、もうすぐ会場に着く。おしゃべりはここまでにしよう。」

今夜は仮面舞踏会。

部隊長が胸元から、青い仮面を身に着ける。目元だけ隠れる、仮面。
黒いスーツに似合ってる。


そして、俺に金色の仮面をつけさせた。


「ありがとうございます!」


俺は、ふわふわのパーティドレスを身に着けている。


「君は10歳にしては少し大きいからね。女性だとしたら小柄な女性で通じるだろう。口調には気を付けるんだよ。難しかったら、あまり話さないようにすればいい。会話は全部、俺がやるから。」


その代わり、周囲に目配せしていてくれ。


「わかりました!ぶたいちょは俺が守りますね!」


足元まで隠れるドレスの下には、武器を隠している。




女性同伴必須の仮面舞踏会。

みんな口が軽くなる。




「お手をどうぞ、レディ。」


キャッツアイせんぱ…じゃなかった、部隊長にエスコートされて、任務開始!



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