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竜の王
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わぁ。とってもファンタジー。
竜は俺を捕まえて、ぐんぐん飛んでいく。
見れば、後ろからドラゴンの集団もついてきているようだ。
きっと、この竜はこの集団ではリーダーのような存在なんだろう。
でもどうして俺を……。
そう考えて、ハッとなった。
そういえば、俺、魅了の瞳が出しっぱなしなんだった。
もしかして、ドラゴンまで魅了してしまったのだろうか。
ドラゴンは山岳地帯の一番高い山の頂上近くにある洞窟に降り立ち、真綿のようなふわふわしたものの上に、俺を置いた。
「竜王さま!」
おっ!ドラゴンって喋れるんだ。
ドラゴンが向かい合っている方向から空気が揺れた気がする。
自分の上に影が出来て、見上げると、巨大な白い竜が俺を見ていた。
「竜王さま!人間の国に攻めに行ったら、可愛い子がいたので連れて帰ってきました!いかがでしょう!竜王さまのお好みだと思うのですが。」
「サタン……。お前、何しに行ったんだ?俺のお使いすらできないのか、お前は。」
「えっと、何しに行ったんでしたっけ。」
「全く、これだから…。」
龍王は呆れた様子でため息をつくと、俺を見て、人間の姿に変身した。
中国の偉い人が昔着ていたような、威厳のある装い。
俺の銀髪とはまた違う、真っ白な、純白の髪。スラリと長身で、筋肉質でがっしりしている。
整った容姿の美しい少年がそこにいる。
スポーツをやっている逞しく爽やかな少年。
そんな感じの風貌だ。
「俺は一応、今代の竜王。先代が亡くなって早くに竜王になってしまったから、まだひよっこだけど。ランスっていうんだ。すまないね、迷惑をかけて。」
俺に右手を出してくる。
「いえ。それより、なんでアトランに侵攻を?」
「侵攻っていうか、脅しにいったんだよ。アトランは最近、俺たちの住処にまで開拓を広げてね。これ以上住処を荒らされたら、この山に住む者の生態系も狂うし、それに……。鉱山での採掘で毒が垂れ流しになってしまって、同胞に死者が続出してね。前の竜王は、それを浄化しようとして力を使い果たして死んでしまったんだ。根本の解決のために、俺は人間をこの山から追い出したいのさ。」
「……なるほど。彼らも悪かったのですね。でも、そうだとしたら話せるんだから対話をすればよかったのに。」
「………。」
「その手があったか、みたいな顔をしないでください。」
「いやあ、ドラゴンは脳みそが小さいのか、どうもね。」
じ―っと、まじまじ、竜王は俺を見つめた。
「きれいな瞳。虹彩が花なんだね。いいなぁ、君。綺麗だ。君みたいな人が俺の奥さんになって、人間との間を取り持ってくれたらいいんだけど。ねえ、君の名前はなに?俺とずっとここで暮らそうよ。」
竜は俺を捕まえて、ぐんぐん飛んでいく。
見れば、後ろからドラゴンの集団もついてきているようだ。
きっと、この竜はこの集団ではリーダーのような存在なんだろう。
でもどうして俺を……。
そう考えて、ハッとなった。
そういえば、俺、魅了の瞳が出しっぱなしなんだった。
もしかして、ドラゴンまで魅了してしまったのだろうか。
ドラゴンは山岳地帯の一番高い山の頂上近くにある洞窟に降り立ち、真綿のようなふわふわしたものの上に、俺を置いた。
「竜王さま!」
おっ!ドラゴンって喋れるんだ。
ドラゴンが向かい合っている方向から空気が揺れた気がする。
自分の上に影が出来て、見上げると、巨大な白い竜が俺を見ていた。
「竜王さま!人間の国に攻めに行ったら、可愛い子がいたので連れて帰ってきました!いかがでしょう!竜王さまのお好みだと思うのですが。」
「サタン……。お前、何しに行ったんだ?俺のお使いすらできないのか、お前は。」
「えっと、何しに行ったんでしたっけ。」
「全く、これだから…。」
龍王は呆れた様子でため息をつくと、俺を見て、人間の姿に変身した。
中国の偉い人が昔着ていたような、威厳のある装い。
俺の銀髪とはまた違う、真っ白な、純白の髪。スラリと長身で、筋肉質でがっしりしている。
整った容姿の美しい少年がそこにいる。
スポーツをやっている逞しく爽やかな少年。
そんな感じの風貌だ。
「俺は一応、今代の竜王。先代が亡くなって早くに竜王になってしまったから、まだひよっこだけど。ランスっていうんだ。すまないね、迷惑をかけて。」
俺に右手を出してくる。
「いえ。それより、なんでアトランに侵攻を?」
「侵攻っていうか、脅しにいったんだよ。アトランは最近、俺たちの住処にまで開拓を広げてね。これ以上住処を荒らされたら、この山に住む者の生態系も狂うし、それに……。鉱山での採掘で毒が垂れ流しになってしまって、同胞に死者が続出してね。前の竜王は、それを浄化しようとして力を使い果たして死んでしまったんだ。根本の解決のために、俺は人間をこの山から追い出したいのさ。」
「……なるほど。彼らも悪かったのですね。でも、そうだとしたら話せるんだから対話をすればよかったのに。」
「………。」
「その手があったか、みたいな顔をしないでください。」
「いやあ、ドラゴンは脳みそが小さいのか、どうもね。」
じ―っと、まじまじ、竜王は俺を見つめた。
「きれいな瞳。虹彩が花なんだね。いいなぁ、君。綺麗だ。君みたいな人が俺の奥さんになって、人間との間を取り持ってくれたらいいんだけど。ねえ、君の名前はなに?俺とずっとここで暮らそうよ。」
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