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城の中へ

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転移で、馬ごとダークを王国へ飛ばしてやり、俺たちはカトレア商会の会長、その親族、会長が見つけてくれた薬草の売人さん、医師、侍女、侍女の家族を片っ端から娼館に保護した。


初めは抵抗する者もいたが、ここへ来た瞬間、我に返ったようだ。


「一体、今まで我々は何を…。」

「どうして、前の王をあれほど責めたのか。いい王だったのに…。」

「王子!私、証言しますわ!宰相が兄である王と王妃に薬と称して毒を…!」

「王は印さえ持てない状況で、押印も印鑑も全て宰相がしていました!」

「圧政をしていたのは、宰相です!」


「…すみません、私が売りました!!宰相にリストにあってもおかしくない毒がないか聞かれて…!!」



口々に証言してくれる。


「ありがとう。すべてが終わったら、証言してくれると助かる。」



俺は、黒装束に着替え、剣を腰に差して準備する。

大翔も一緒だ。



兄上も、剣を持つ。

「グリーン…。レイも、大丈夫だろうか。」


「兄上。俺たちで必ず二人を見つけて、無事に連れてきますから。」





「ベネちゃん、グレイスちゃん。ハルトちゃん。3人でいってらっしゃい。」

「おかみさん、でも、ここを攻めてくるかもしれない。」


「ねぇ、ベネちゃん。どうしてこのお店が不可侵なんだと思う?不思議に思わない?いくら廓のルールだからって、破っちゃえばいいのに誰もできないのよ?」


「もしかして、おかみさんの魔法…?」


「そうよ。私は宰相にその座を追われた、先代の宰相の娘。たった一人生き残って、あいつの妻になるのを拒んだから売られたオメガ。本名は、ロザリア=ホーリーウォールと言います。この国は高位貴族ほど魔法に長けた者が多いでしょう?こう見えても、私は公爵令嬢だったのよ。」

とてもつらかったから、こんな身でも少しはマシな世界を作りたかった。

お店が客を選べて、ルールに従ってもらえるようなお店。


「私はバリアが張れます。意に染まぬすべての者を拒絶する壁よ。転移だろうがなんだろうが、私が拒絶すれば入れませんよ。だから、行ってきて。好きな人は自分で助けに行かなくちゃ。ね?」



女だって強いのよ。


ここは私に任せなさい!




「ありがとうございます!」



ヴォン。俺が開けた転移の空間に、兄上と大翔と飛び込む。

着いたら、見知った城の中。

人気がなく、じめっとした嫌な空気が漂う。




「ここからは俺の影で移動しましょう。俺と手を繋いで。」


影を縫うように、城の中を探す。

城の中は、戦争の準備をしている。



グリーンはいない。




しかし、レイはいた。
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