冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

カイザー家の面々

「初めまして、クリスタルの父のガーネット＝カイザーです。」

お父様は赤毛で少し体格が良い人だ。
顔はクリスタルにそっくりで、おじさんになったらこんな感じになるんだと思った。



「それで、私が母のエメラルダですわ。」
お母様のカーテンシーは美しい。



「まだお若いんですね。僕のお父様より若々しいのでびっくりしました。失礼ですが、夜会で見た時より素敵に見えます。」

「夜会では気張ってるからなァ。老けて見えるんだろう。」


２人はまだ37歳らしい。
お父様は将来を期待された騎士だったが、両親が早くに亡くなり、後を継ぐために当主として領地に帰って来たとか。



「………あの。お二人は良いんでしょうか。僕はその、同性で…。」


カイザーが制する。

「父さん母さん、俺、婚約破棄があって、もう一生結婚しないかもって思ってたんだ。結婚しないかもしれなかった男が結婚するんだ。家には申し訳ないけど、子どもはどうでもいいと思ってる。第二夫人もいらない。どうか、俺の後は親戚から養子に迎えることを許してください！！」


カイザーが頭を下げるのを見て、ハロルドも同じように下げた。


涙が止まらない。


カイザーはそっとハロルドの手を握りしめた。


















「いいわよ！」

「クリスタルにいい人が出来たってだけで最高に嬉しいんだよ。それに、その。あまり心配しなくていいって言うか………。」


ん？？


「ばぶー！」


ハイハイをして出てきたあかちゃん。



「あああ、サファイアさま！！！お待ちを！！ああ、奥様、旦那様、申し訳ありませんっ！」


慌てた若い侍女が飛び込んでくる。




これは、もしかして…。



お母様が赤ちゃんを抱っこする。

「うふふ、紹介するわね！この子はサファイア、貴方の弟よ！」




えっ。