冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

女の破滅

「ドロシー。お前を廃嫡する。」


急いで邸に戻ると、父親が笑顔で伝えてきた。



「廃嫡！！？どうして？私、そんな悪いことしていないわ！」



「城へ忍び込んで、王子様の婚約者に纏わりついた挙句、王子様に暴言を吐いただろう。」



「王子！！？犯罪者の孫じゃない！あんな後ろ盾のない…、平民になる予定の…。」


「平民にはならない。次期辺境伯夫人だ。お前よりは立場は上だ。それに、まだ王子だぞ。頭がおかしいんじゃないのか。」




「廃嫡なんて嫌よ！この屋敷を出ていくなんて嫌！平民になったら働かなきゃいけないじゃない…！」


「平民じゃなくても働いているんだがな。お前には労働は無理だろう。頭が悪すぎる。お前に出来るのは、精々身を売るくらいだろう。お前が思っているより、お前は器量が良くない。我が家の専属メイドが手入れをし、化粧をして着飾っているからそれなりに見えるだけだ。きっと、いい客はつかない。すぐに性病にかかって死ぬだろう。」



「いや、いやあぁあ。」


「だからお前は修道院に行くのだ。それが私の最後の愛情だ。」








ドロシーはそのあくる朝、最果ての修道院へ旅立った。