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ニヤニヤ
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今日は王太子であるマナのお兄様の誕生日を祝う会で、城には国中の貴族が集まっている。
アリス様の周りには、サウス王国から輿入れした正妃のルージュ様、妃でありながら東の島国の帝であるタケル様、アリス様の幼馴染で聖獣のザオラル様が侍る。
父親のアイス=クレイソン前公爵は、とても絶倫で、騎士団長も務めたクリス様だからこそ一人で耐えられたそうだ。
3日3晩とか、48手とか、なんかすごくマニアックなプレイもあったみたいで。
なんだか信じられないなあ…。
それで、そういうところまで父親に似てしまったアリス様は、婚約者候補を全て妃にしてしまったのだ。
3人いた方が丁度良い…だそうで。
平等に愛して、妃たちには平等に二人ずつお子様がいる。
3人とも仲良しだし、子どもたちもみんな仲がいいので、アリス様は凄いなぁと思う。
誕生日ということもあって、他国に嫁いだジュリエッタ様を除いて、公爵家は全員集合している。
あまり、夜会に参加しないマナも。
だから、今夜は僕がエスコートしているのだ。
(あれが…公爵家の末っ子。なんて可憐な。耳が聞こえなくても、あの子なら…。)
(でも、あっちの子爵の息子と婚約しているぞ。もうすぐ結婚式がある。)
(なんで公爵家は子爵と結婚させるんだ。やはり、障がいが気になるのか?あれほどの華なら、高位貴族でも申し入れはあっただろうに。)
だまれ、その薄汚い口を閉じろ。
どいつもこいつもマナを値踏みして。
「マナ、他の人の唇を読んだらだめだよ。僕だけを見ていて。」
マナは、ニッコリ笑って頷いてくれた。
僕とマナはずっと一緒。
隙なんて作るものか。
料理を取りに行くときも、飲み物を取りに行くときも、ずっとずっと手を離さなかった。
遠くで舌打ちが聞こえた。
ざまあみろ。
ワルツの時間。
アリスお兄様が3人の妃たちとダンスを踊る。
そして、僕らもダンスを踊った。
余興は、この日のために帰国したラスティ様の歌。
ラスティ様は、よその国で歌姫として活躍しているから、レア。
ラスティ様もお父様似だから、こうしてみると、マナとラスティ様はそっくりだ。
「マナ、おめでとう。幸せにね!」
ラスティ様にお祝いされて、はにかむマナの本当に可愛いこと。
しばらくして、ラスティ様がちょっと騒動を起こした。
「…なっ!何をするんだッ!元公爵令嬢だといって、こんなッ!お父様にもぶたれたことはないのにッ!」
「あら?あなたが私を娼婦のようにおっしゃるからではありませんか。無礼はそちらです。」
「役者崩れの平民に嫁いだくせにッ!!」
「私が誰と結婚しようが、私が公爵令嬢であることには変わりなくてよ。私たちは、自分を幸せにしてくれる方、本当に好いている方と結婚するのです。家格は関係ありません。子爵令息でも素晴らしい方がいるようにね。」
ぶたれたどこかの伯爵令息は、めそめそ泣きだしてしまったようだ。
あれじゃあ…なぁ…。なんか、残念な人だなぁ。
「ラスティ。お前なぁ。お兄様のお祝いだぞ。どんどんやれと言いたいが、今日くらい地味にやれよ。」
アヴニール様がラスティ様に近寄った。
「だって、あの方。マナには専属護衛がいて手を出せないものだから、私をベッドに誘おうとしたのよ?確かに、今日はダーリンを連れてきていませんけど、仕方ないじゃない?売れっ子芸能人は忙しいのよ。それに、気にしなくていいって言ってるのに、やっぱり、貴族じゃないから参加するのに気が引けるらしいのだもの。とにかく、あんな輩はマナのためにもケチョンケチョンにしておきたかったの!」
エッヘンと胸を張り、勇ましいラスティ様の気持ちが、本当にありがたい。
アリス様の周りには、サウス王国から輿入れした正妃のルージュ様、妃でありながら東の島国の帝であるタケル様、アリス様の幼馴染で聖獣のザオラル様が侍る。
父親のアイス=クレイソン前公爵は、とても絶倫で、騎士団長も務めたクリス様だからこそ一人で耐えられたそうだ。
3日3晩とか、48手とか、なんかすごくマニアックなプレイもあったみたいで。
なんだか信じられないなあ…。
それで、そういうところまで父親に似てしまったアリス様は、婚約者候補を全て妃にしてしまったのだ。
3人いた方が丁度良い…だそうで。
平等に愛して、妃たちには平等に二人ずつお子様がいる。
3人とも仲良しだし、子どもたちもみんな仲がいいので、アリス様は凄いなぁと思う。
誕生日ということもあって、他国に嫁いだジュリエッタ様を除いて、公爵家は全員集合している。
あまり、夜会に参加しないマナも。
だから、今夜は僕がエスコートしているのだ。
(あれが…公爵家の末っ子。なんて可憐な。耳が聞こえなくても、あの子なら…。)
(でも、あっちの子爵の息子と婚約しているぞ。もうすぐ結婚式がある。)
(なんで公爵家は子爵と結婚させるんだ。やはり、障がいが気になるのか?あれほどの華なら、高位貴族でも申し入れはあっただろうに。)
だまれ、その薄汚い口を閉じろ。
どいつもこいつもマナを値踏みして。
「マナ、他の人の唇を読んだらだめだよ。僕だけを見ていて。」
マナは、ニッコリ笑って頷いてくれた。
僕とマナはずっと一緒。
隙なんて作るものか。
料理を取りに行くときも、飲み物を取りに行くときも、ずっとずっと手を離さなかった。
遠くで舌打ちが聞こえた。
ざまあみろ。
ワルツの時間。
アリスお兄様が3人の妃たちとダンスを踊る。
そして、僕らもダンスを踊った。
余興は、この日のために帰国したラスティ様の歌。
ラスティ様は、よその国で歌姫として活躍しているから、レア。
ラスティ様もお父様似だから、こうしてみると、マナとラスティ様はそっくりだ。
「マナ、おめでとう。幸せにね!」
ラスティ様にお祝いされて、はにかむマナの本当に可愛いこと。
しばらくして、ラスティ様がちょっと騒動を起こした。
「…なっ!何をするんだッ!元公爵令嬢だといって、こんなッ!お父様にもぶたれたことはないのにッ!」
「あら?あなたが私を娼婦のようにおっしゃるからではありませんか。無礼はそちらです。」
「役者崩れの平民に嫁いだくせにッ!!」
「私が誰と結婚しようが、私が公爵令嬢であることには変わりなくてよ。私たちは、自分を幸せにしてくれる方、本当に好いている方と結婚するのです。家格は関係ありません。子爵令息でも素晴らしい方がいるようにね。」
ぶたれたどこかの伯爵令息は、めそめそ泣きだしてしまったようだ。
あれじゃあ…なぁ…。なんか、残念な人だなぁ。
「ラスティ。お前なぁ。お兄様のお祝いだぞ。どんどんやれと言いたいが、今日くらい地味にやれよ。」
アヴニール様がラスティ様に近寄った。
「だって、あの方。マナには専属護衛がいて手を出せないものだから、私をベッドに誘おうとしたのよ?確かに、今日はダーリンを連れてきていませんけど、仕方ないじゃない?売れっ子芸能人は忙しいのよ。それに、気にしなくていいって言ってるのに、やっぱり、貴族じゃないから参加するのに気が引けるらしいのだもの。とにかく、あんな輩はマナのためにもケチョンケチョンにしておきたかったの!」
エッヘンと胸を張り、勇ましいラスティ様の気持ちが、本当にありがたい。
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