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冒険者が落ちてた

お医者さんが来た

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翌日、豹獣人さんはまだ目覚めなかったが
村から、ギルドに派遣された村医がやってきた。
鼠獣人のアレクシ先生と栗鼠獣人のエーヴィ看護師さんの2人。
小柄なお二人が大きなカバンを抱えて、息を切らしながら訪ねてきたので
とりあえず小屋でお茶休憩をしていただいた。

アレクシ先生は、くりす の手作りアイスブルーベリーティーを飲むと

「これは素晴らしい。ポーションほどとは言わないが 少々の体力復元効果が
 あるのぉ。あと、カスミ目にも効くようじゃ。ぜひ、茶葉を分けておくれ!」
「先生、落ち着いてください。申し訳ありません。じじぃなもので、カスミ目に
悩んでおりまして。」

なかなか毒舌のエーヴィさんを全く気にせず、アレクシ先生はキッチンを覗き込む。

「ふむふむ、いろいろ手作りされているんですな。お?これが錬金釜。立派ですなぁ。」
「じじぃ、いい加減になさい。錬金の材料にしますよ。」

・・・鼠さんは煮込みません。怖いのでそういうことは考えないでください。

「雪さんのポーションは通常より効果が高くてな。
うちの病院にも入れてもらっておるんだよ。」
「そうなんですか?お恥ずかしいですが、お役に立ててうれしいです。」
「今度、貼り薬とかも錬金してくれんかのう。打ち身にポーションは高価で
 なかなか使いにくいんじゃよ。」
「わかりました。精霊に相談して開発してみます。」
「じじぃ、自分の腰痛用にするつもりですね。
 ぼけじじぃの癖に、そういう知恵は回りますか。」

見た目がかわいい栗鼠獣人のエーヴィさんの毒舌が止まりません。

一息ついたところで、保管庫に案内し診察していただく。
2人は鼓動・脈・傷の様子などを診察し、外傷はポーションで治っているので
とりあえず命に別状はないと診断された。
アレクシ先生からは、”意識が戻るまではこちらで看護してもらえないか”と
依頼されたので、もちろんお受けした。
ただ、意識がないので食事がとれなくて不安だと伝えると

「そのうち、腹が減って起きるじゃろ。」

と暢気に言われ、かえって不安になった(苦笑
隣で聞いていたエーヴィさんにチョップされ、頭蓋骨が割れたと騒いでいた。
エーヴィさんから、”清潔な布にポーションを浸し、少しづつ口径摂取させて”と
指導していただき、実際のやり方も教わった。
診察後、お二人には昼食をご馳走し、村まで めりもか が荷物を持ってお送りした。
アレクシ先生から、彼の意識が戻ったら連絡するよう言われたので
妖精メモで連絡するので、くれぐれも腰を抜かさないようにお願いしておいた。
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