神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

颯斗とGKM

「やば、集合時間過ぎてる…」

今日は待ちに待った颯斗と一緒にGKMをする日だ。集合時間は12時45分だが、ダンジョンへ避難するなど予想外のことが起きてしまったため5分の遅刻となってしまった。

「颯斗怒ってるかなぁ…」

集合場所は噴水の前、つまりダンジョンの入り口だ。
無限脱出石によって脱出したため、集合場所には到着している。
颯斗が遅刻していなければ、どこかにいるはずだ。

だが、一周回っても颯斗らしき姿は見つからない。

「そうか、俺と同じで顔変えてるのかも。どうしよう…」

俺はこの世界に入る時に身バレ防止のため、容姿を少し変えてある。
もし颯斗も容姿を変えていたら颯斗を見つけ出すのは困難だ。

「もっと詳しい場所で待ち合わせすればよかったかな。ん？」

俺が当たりを見回していると誰かが走ってくる足音が聞こえる。
後ろを振り返るとGKMを始めたばかりの時に出会った3人の冒険者がいる。

「はぁはぁ…ちょっと！置いてかないでよ！」

「そうだぞ。いきなりどうしたんだ。」

「用事を思い出した！」

「それなら一言言ってから言ってよね！」

3人の冒険者が俺の前で立ち止る。魔法使いの女の人は膝に手を当て、肩で息を吸っている。魔法使いということもあり、スタミナは大してないようだ。

俺がジロジロと彼らを見ていると、女の人が俺に気づき、話しかけてくる。

「ん？どうしたの？あれ、君どこかで…」

「ダンジョン一階層で会った冒険者だな。」

「あぁ！あの冒険者か！」

「それとさっきのオークションで目立ってもいたな。何か用か？」

どうやら向こうも俺のことを覚えていて、それにやはり俺はオークションで目立っていたようだ。

「い、いえ。特になにも。」

「そうか。ところでハヤテ。友達は見つかったのか？」

「いや。見渡す限りいないな…。ところで君はなにをしてるんだ？」

「友達と待ち合わせしてるんですけどなかなかこなくて…。」

「そうか。それは災難だな。」

「全く。あんたたちお互いの姿はわかってるの？このゲームは外と中で姿が違う人も多いでしょ。」

「あ、わからねぇや。どうしよう…。」

「僕も分からなくて悩んでるところです…。」

どうやらハヤテも友達の容姿がわからず困っているようだ。

もしかしたら颯斗も俺のことがわからずに困っているかもしれない……まてよ。俺もハヤテもここで待ち合わせをしていて友達の姿がわからないなんてことがあるか？

「「もしかして！」」

「ライトか？」

「颯斗！？」

俺がもしやと思いハヤテに颯斗と呼ぼうとするとそれと同時にハヤテも俺の名前を告げる。

まさかのハヤテが颯斗だったのだ。

「え、ライトあのときもうGKM買ってたのかよ！」

「うん！リリース日始めたよ。」

「言ってくれよ～！」

「だって颯斗に電話で言おうとしたけどすぐ切っちゃうんだもん。」

「ごめんごめん。じゃあ早速行こうぜ！」

「うん！」

俺たちが楽しく話していると颯斗のパーティーメンバーが俺たちに話しかける

「ちょちょちょ！！ちょっとハヤテ！どういうこと？あたしたちはどうしたらいいのよ！」

「そうだな。急すぎて話についていけてない。」

「あ、ごめんごめん。紹介するよ、俺の親友、ライトだ。二人も知ってるだろ？」

颯斗がサラリと俺のことを親友と紹介する。たしかに親友だが、こういうことをサラリと言うところが颯斗の凄いところだ。
それに二人とも俺のことを知っているとはどういうことだろうか。