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マベリック
しおりを挟む俺の合図とともに対戦相手であるロボットが剣を構え、走ってくる。
ロボットと聞き、予想していたものとは大きく異なり、人間と瓜二つのロボットが登場する。
動きも全くロボットとは考え難い滑らかな動きだ。
「遅いな。」
ロボットの動きは素早さを全振りしている俺にとってはハエが止まりそうな速さに感じる。
こちらからロボットに近づき、ロボットを上下に切り捨てる。
「ギィギギギギ…ギギ。」
半分に別れたロボットが俺の後ろで爆発する。
「お疲れ様です。ライト様の銅等級へのランクアップを認めます。こちらが新しいプレートになります。」
「ありがとうございます!」
よし。これで俺も初心者冒険者は卒業だ。
とりあえず早く終わったし、これから来るであろうオーダーメイドに備えるための鍛冶屋に向かおうと思う。
♢
人気のないところで狼の仮面を被り、鍛冶屋へと向かう。
「戻りましたー。」
「おぅ、戻ったか。早速また装備製作するか?」
「いや、今日はグラムズさんに聞きたいことがあって。」
「なんじゃ?」
「俺の装備が今結構人気が出てるらしいんですけどなんで俺よりも技術があって完成度の高いグラムズさんの武器は人気にならないんですか?」
言ってしまってから思ったがかなり失礼な言い方をしてしまった。
「あぁ、そのことか。お前さんは[スキル]というものがあるだろ?だが、俺にはそれがないんだ。」
なるほど、スキルは冒険者のみのが使用できる仕様なのか。
「それでもグラムズさんはあんなにいい性能の武器が作れるのは何故ですか?」
「そりゃ簡単なことだ。俺の技術がすごいからだ。がはははは。」
「は、ははははは」
「まぁ正直なところをいうと俺の技術でできるものはお前さんたちのスキルでいうLV.6くらいが限界だがな。お前さんのスキルは幾つだ?」
「今はLV.7です。」
「じゃろ。だからお前さんの武器の方が売れるんじゃ。」
「なんか申し訳ありません…」
「なにを謝ることがあるんじゃ。儂には儂の客が、お前さんにはお前さんの客がいるだけじゃ。」
「ありがとうございます。」
俺の武器とグラムズの武器の違いがわかったため、オーダーメイドの依頼が入るまで余っているもので装備製作をしておこうと思う。
「そういえばオークション開くそうじゃな。」
「はい!ボスの素材を使ったものを出そうと思いまして。」
「ところでそれは出さんのか?」
「これは俺専用の装備ですのでオークションには出しません。」
俺は背中に背負っている剣を取り出し眺める。
特に華やかな装飾はない剣だが特徴的な部分が二つある剣だ。
「そうだったな。それはお前さんだけの世界に一つのものだもんな。」
俺の剣の二つの特徴の一つ目は俺のトレードマークの狼を表現する狼の毛がアクセサリーとしてついていることだ。
次に鍔の中心に魔石のようなものが埋め込まれていることだ。
これが一番重要なもので俺専用の意味となるものだ。
この中心に埋め込まれているものは俺の鍛冶術のレベルが7になった際に手に入った《武心》というものらしい。
これの《武心》というものは武器を成長させ続けるものらしい。
この《武心》を使用した武器は新たな素材を取り込み、成長させる機能を持っている。完全チート武器だ。
「その武器の名前は決めたのか?」
「はい。一匹狼にします。」
「ほぅ。お前さんと同じ名前か。」
世界に一つだけの俺専用ということでこの名前にした。
こいつを成長させるのもこれからの楽しみだ。
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