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いざ、夜の街へ

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「おぉ!これが俺の新しい装備!」

「ほれ!早く装備してみるんじゃ!」

「はい!」

グラムズは机の上にドンッと俺の頼んでいた剣と外套マントを乗せ、早く装備するように言う。

俺は背中に背負っている剣をアイテムボックスへ仕舞い、新たな剣を背中に背負う。剣の柄を掴み、剣を取り出す。

「これが新しい剣…」

白牙の剣ホワイトファングじゃ。王狼キングウルフの牙を主に使った剣で切れ味、耐久共に高性能。オマケに軽い。存分に使ってやってくれ。」

「ありがとうございます!」

刀身は白く輝き、グラムズが言うようにとても軽い。そして柄頭に王狼キングウルフの毛のアクセサリーが付いていてとてもカッコいい。
気に入った。これからもいい素材が手に入ったらどんどんお願いしよう。

「次に外套マントだが、こんな感じでどうだ?」

王狼キングウルフの皮と毛をふんだんに使った外套マントだ。
羽織ってみても動きを阻害されることは一切なく、俺のよく使う投げナイフも隠せて理想の外套マントだ。

「性能だが耐寒耐熱はもちろん、素早さ5%アップの性能付きじゃ!」

素早さ5%アップ!?これはでかい!ステータス以外で素早さが上がるのはとてもありがたい。そういえば以前初心者狩りとの戦闘で手に入れた疾風の指輪も同じようなもののはずだ。それを取り出し性能を見る。


[疾風の指輪]
素早さ+15%



やばい、この二つを装備したら俺の素早さは20%増しだ。
これで俺の目指すどんな敵も素早さで圧倒するスタイルにさらに近づける。

「ありがとうございます!」

俺はグラムズに製作費用として7000ゴールドを支払う。
本当にいい買い物をしたと思う。だがこんなにいいことを知ったら武器屋や防具屋なんて使用する人がさらに減る筈だ。
あの店は初心者のためにあるだけなのだろうか。

「おうよ!またいい素材が手に入ったら持ってこいよ!」

「わかりました!」

「そんでお前さんはどこに向かうんだ?」

夜の街マルヘラに向かおうと思ってます!」

俺が夜の街マルヘラの名前を出すとグラムズは眉をしかめる。
なにか良くないことがあるのだろうか。

夜の街マルヘラか、盗賊団が出るらしいぞい。気をつけるんじゃぞ。」

盗賊団か。だが俺は盗賊討伐のクエストを受けている。一石二鳥だ。

「そうなんですか。ありがとうございます!ではまた!」

俺は奥の扉を開け、鍛冶屋入口へと戻る。もちろん気配察知であの二人組がいるかは確認済みだ。

「よし。遅くなったけど夜の街マルヘラに行くか。」

マップを見ると武器屋のおじさんの言っていた通りこの街の真東にある。
距離はそんなに遠くないため走っていけばすぐに着くだろう。

「おっとGMポイント振るの忘れてた。ステータス!」

Lv.20
HP   272
MP   90
ちから  84
防御力  70
攻魔力  52
防魔力  41
素早さ  158(190)
器用さ  38
魅力   5

スキル
格闘術LV.2
投擲術LV.3
短剣術LV.2
身体術LV.2
剣術LV.4
気配察知LV.1
集中LV.1
火魔法LV.3
空歩LV.1



ポイントを振り分け、装備をつけた時の素早さがなんと190になってしまった。
確かHAYATEさんが23レベルで90くらいだった気がする。それの二倍以上だ。

「す、すごいことになってきた。とりあえず夜の街マルヘラまでダッシュしてどれくらいで着くか試してみようかな。」

俺は鍛冶屋を出てまず噴水の前へ向かう。噴水を通り過ぎて東の門から街を出てまっすぐいけば夜の街マルヘラだ。

「今の時間は…丁度7時か。よし。行くぞ!」

脚に力を溜め、一気に解放し走り出す。

今の時間帯はあまりログイン人数も少ないためこれだけの速度で走っても誰の邪魔にもなることはないだろう。
スライムやウサギの魔物などがたまに草原に居るが無視して進む。

ダンジョン内と違い魔物が少ないため邪魔されることはほぼほぼないだろう。それに俺のこの速度だ。最初の街の近くで邪魔できる魔物がいる方が珍しい。

「お、湖か…行けるか?」

俺が一直線に走っていると小さな湖に直撃する。
回り込んでいけば濡れることはないがこのスピードを止めたくはない。
俺はさらに速度を上げ湖ギリギリで大ジャンプをする。

「空歩!」

湖に落下する寸前で空歩を発動させる。
残り歩数は4歩。ギリギリだがもう止まれない、湖に落下するギリギリを攻めて二歩目を踏み込む。

「うぉぉぉぉ!!」

三歩目、四歩目も同様にギリギリで空歩を発動させる。
残りは35メートルほどだ。最後の一歩を力の限り踏み込む。

「行けぇぇぇ!!」

俺は幅跳びの要領で体をくの字に曲げ出来る限り遠くへ飛ぶ。
なんとかギリギリでこちら側へ渡ることができたがかなり危なかった。もう少しで新しい装備が全てビチョビチョになるところだった。

「ふぅ。あれ、なんだか空が暗いな。」

湖の大ジャンプに夢中で気がつかなかったが向こう岸とこちら岸で空の明るさが全然違う。

こちらの空は薄暗くもうすぐ夜になりそうだ。
これも夜の街マルヘラが近いからなのだろうか。

マップを確認するとマルヘラはこの先にある丘を越えた先にある。
とりあえず空のことは気にせずにマップの通りに夜の街マルヘラへ向かう。

「あれが夜の街マルヘラ…。」

丘を登り向こう側を覗き込むと大きな都市が目に入る。
空は真っ暗で夜の街という名前にふさわしい光景だ。
だが空が暗いおかげで街の灯りがとても美しい。これだけでもここへ来た甲斐がある。

「よし。入ってみるか。」
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