途切れた相思の仲

坂崎優士と柳井良子の周りには、青春時代から交流が続いている友人たちが居た。
友人たちは仕事に情熱を傾け、恋愛にはさほど熱を注ぐひと達ではなかった。
幼馴染の間では、中学時代から付き合っていた優士と良子は将来結婚するものだと、誰もが信じて疑わなかった。
慕い合うふたりは、共に国立大学に進学すると思われていたが、大学受験前に何故か波風も立てずに、突然別れて良子は違う大学に進学した。
その理由は良子以外、優士も友人たちも誰も知ることは無かった。
大学を卒業後、社会人となったふたりは、それぞれ結婚をするが、結婚生活は共に平穏なものではなかった。
離婚を経験して四十路を迎える歳になった或る日、優士は散歩がてら行った東福寺の境内で、和服姿の女性に何故か惹かれるものを感じた。その女性には、疎遠になった良子の面影を偲ばせる雰囲気があった……。
友人たちは、相思の間柄だった優士と良子の復縁を願って動き始める……。

（物語はフィクションです、固有名称については実在の物とは関係ありません。）