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第06章 竜界編
12 邪竜に救いを
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ある意味一番の被害を被った邪竜。その邪竜を救うために蓮太は無竜の案内で塔の東にあるという神殿に向かっていた。しばらく東に向かい飛ぶと、どこか教会のようにも見える立派な神殿が見えてきた。
「あれか」
《はい、あの中に妹がいます》
「わかった、後は俺に任せて無竜は塔に戻るんだ」
《な、なぜですか!? 私も行きます!》
「だめだ。邪竜はお前を恨んでいるんだろ? 悪意に染まった邪竜がどんな攻撃を仕掛けてくるかわからない。もしかしたら守りきれないかもしれないからな」
《っ! でもっ!》
「大丈夫だ。誰かを守りながら戦うより一人で戦う方が楽だからな。妹は必ず連れて帰る。ちゃんと元に戻してな
《わかり……ました。妹を……どうか妹を助けて下さいっ!》
「ああ、じゃあ行ってくる」
《塔で帰りを待ってますからっ!》
蓮太は上空で無竜と別れ、一人神殿の入り口に降り立った。
「こりゃまた……ずいぶん厳重に封印されてんな。入り口からしてこれかよ。ま、解除すっけど」
神殿の入り口には幾重にも封印結界が施されていた。解除する手順を守らなければ一生開かない仕組みになっている。蓮太はその扉──の隣にある壁を破壊した。
「……壊れるじゃん。扉関係ねぇじゃん! まぁ竜の知能じゃこんなもんか。俺なら建物全体に【破壊不能】を付与すっけどな。とりあえず入るか」
蓮太は瓦礫を蹴り飛ばしながら建物に侵入し、破壊した壁を直した。そして建物に破壊不能を付与する。
「これで万が一俺がミスっても邪竜は外に出られないはずだ。さて……【サーチ】」
蓮太は建物全体に探知をかける。すると地下に巨大な生命反応があった。それ以外に反応は何もない。
「まぁた地下かよ。竜は地下が好きなのか? ひねりがねぇな」
ひとまず蓮太は反応があった地下を目指し先へと進んだ。そして長く地下へと続く階段を下り、再び厳重な封印結界が施された扉を見つけた。
「……ここは普通に解除してやるか。【デリート】」
蓮太は封印に向け手をかざし、全ての術式を破壊する術式を叩き込んだ。すると幾重にも重なっていた封印結界はガラスが割れるような音とともに砕かれ消えた。蓮太は結界が消えた扉に手をかけ押し開いた。
《グルルルル……ダレダ……!》
「おいおい……起きてんじゃねぇか」
封印されていると聞いていたため、蓮太はてっきり邪竜が眠らされているか、凍らされていると想像していた。だが邪竜は手足に枷を嵌められ壁に磔にされていただけだった。
「無竜よぉ……、これじゃ逆効果だぜ」
《コタエロ! ダレダキサマッ!》
「あ? 貴様だと?」
《グッ──! ナ、ナンダ……》
いきなり貴様呼ばわりされた蓮太は邪竜に向け威圧を放った。すると邪竜が一瞬怯んだ。
「貴様とはなんだ貴様とは。おぉん!?」
《チ、チカヨルナ!》
「だからよぉ……命令すんなや。あぁ?」
《グッ!?》
蓮太は邪竜の顎を掴み力を込めた。
《ガァァァッ! ハ、ハナセッ!》
「離して下さいだろ」
《ハ、ハナシテクダサイ……》
「よしよし、ちゃんと話は理解できるようだな。良い子だ」
《ハウッ……アァァ……》
蓮太は邪竜の頭を撫でてやった。すると邪竜は嫌がりもせず、蓮太の手を受け入れた。
「お前の全竜は死んだ。俺が殺した」
《……エ?》
「【竜化】」
《ウッ! マ、マブシイッ!》
蓮太は邪竜の前で竜化して見せた。
《ナ、ナニモノナノダ……》
《俺は竜の頂点に立つ者、神竜だ》
《シ、シンリュウ!? アノ……デンセツノ!》
《そうだ。今からお前をこいつで清める》
《ハワッ!? ソ、ソソソソソレデ!?》
《そうだ。お前が片言じゃなくなるまでたっぷりとな》
《……ゴクリ。ア、イヤ。ワ、ワタシハクッシナイ!》
《そりゃ楽しみだ。簡単に堕ちるなよ?》
《アッ──》
蓮太は全竜がそうしたように、邪竜に愛を注いでやった。
《コンナ──コンナモノ──ッ!》
一日後。
《ワ、ワタシハ屈しないぞぉぉぉぉぉっ!》
二日後。
《ま、まだまだぁっ! 私は堕ちないっ!》
三日後。
《な、なぁ……? まだ抜かないのか? もう三日間も繋がったままだが……》
《まだたったの三日だろ。全竜にどれだけ汚されたか思い出してみろ!》
《ゼンリュウゥゥゥゥゥゥッ!! ユルサナイ──アッ──》
それを二回ループし、十日目の朝。
《も、もうらめぇぇぇぇぇぇぇぇっ! 死ぬッ、死んぢゃうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?》
《ふぅ……。そうだな、少しペース落とすか》
大量に注がれた愛情により、邪竜は正気を取り戻していた。蓮太は正気を取り戻した今もまだ繋がったままでいる。
《じゃあ色々質問させてもらうぜ》
《あ、ああ》
《まず、お前はもう誰にも恨みを抱えてないか?》
《……しいて言えばおま──》
《まだだったか》
《や、やめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……》
翌朝。
《恨み抱えてる?》
《か、抱えてないぃ……っ、身体も心も真っ白だぁ……っ》
《そうか。姉の事をどう思う?》
《姉さん……。い、今は私を守るためだと理解している》
《そうだ。お前が無竜に封印された理由は全竜の悪意から守るためだ。自分が知能すら失いかけていた事を覚えているか?》
《お、朧気にだが……。なぁ……まだ抜かないのか?》
《まだだ。お前の身体に誰が主か教え込んでる最中だからな。お前が俺を主と認め、従うなら抜いてやる》
《あ、主だとっ!? むむむ……、いきなりそう言われても……。確かに神竜なら従わなければならないが……。あなたがやった事は全竜とそんなに変わらないのでは……》
《ばっかもぉぉぉぉぉんっ!》
《あいたぁっ!?》
蓮太は邪竜の頭に手刀を落とした。
《変わるだろ。全く違う。全竜のはただ自分の欲望をぶつけるだけ。俺は愛で優しく包み込むような感じだろうが! 俺が欲望に負けてこんな手段をとったと本気で思っているのかっ!》
《す、すまないっ! そんなつもりでは……》
《俺はお前のためを思って最善の手段をとったつもりだったのに……。まさか全竜と同じ扱いをされるとはな……。傷付いたぞ》
《そ、そんなつもりで言ったわけじゃ……。ど、どうしたら許してもらえるのだ》
すると蓮太はニヤリと笑い、邪竜にこう言った。
《なら今度は邪竜の方からしてくれないか?》
《ふぁっ!? な、なななな何を言って!?》
《あ~……癒しが欲しいなぁ~……》
《わ、私からなど……私からなどぉぉぉぉっ!》
翌朝。
《うっうっ……。私はダメな竜だっ! 周りに流されあまつさえこのようなはしたない……》
《まぁまぁ。そんな自分を卑下するなよ。もうお前が誰かに振り回される事はないんだからな》
《え?》
蓮太は落ち込む邪竜にこう言った。
《さっきお前にスキル【因果応報】を付与した》
《い、因果……応報?》
《そうだ。お前は他人の悪意を吸収してしまう性質のようだったからな。だがスキル【因果応報】があれば自然に吸収される悪意さえも放った者に返る。因果応報とは悪事を働けばやがて巡り自分に返るって意味でもある。もうお前が狂う事はない》
《ほ、本当か!? 私はもう誰かに振り回されたりはしないのかっ!?》
《ああ。もう心配いらん》
《あ……あぁぁぁっ! 良かった! 良かったぁぁっ!》
邪竜は蓮太にしがみつき泣き続けるのだった。
「あれか」
《はい、あの中に妹がいます》
「わかった、後は俺に任せて無竜は塔に戻るんだ」
《な、なぜですか!? 私も行きます!》
「だめだ。邪竜はお前を恨んでいるんだろ? 悪意に染まった邪竜がどんな攻撃を仕掛けてくるかわからない。もしかしたら守りきれないかもしれないからな」
《っ! でもっ!》
「大丈夫だ。誰かを守りながら戦うより一人で戦う方が楽だからな。妹は必ず連れて帰る。ちゃんと元に戻してな
《わかり……ました。妹を……どうか妹を助けて下さいっ!》
「ああ、じゃあ行ってくる」
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蓮太は上空で無竜と別れ、一人神殿の入り口に降り立った。
「こりゃまた……ずいぶん厳重に封印されてんな。入り口からしてこれかよ。ま、解除すっけど」
神殿の入り口には幾重にも封印結界が施されていた。解除する手順を守らなければ一生開かない仕組みになっている。蓮太はその扉──の隣にある壁を破壊した。
「……壊れるじゃん。扉関係ねぇじゃん! まぁ竜の知能じゃこんなもんか。俺なら建物全体に【破壊不能】を付与すっけどな。とりあえず入るか」
蓮太は瓦礫を蹴り飛ばしながら建物に侵入し、破壊した壁を直した。そして建物に破壊不能を付与する。
「これで万が一俺がミスっても邪竜は外に出られないはずだ。さて……【サーチ】」
蓮太は建物全体に探知をかける。すると地下に巨大な生命反応があった。それ以外に反応は何もない。
「まぁた地下かよ。竜は地下が好きなのか? ひねりがねぇな」
ひとまず蓮太は反応があった地下を目指し先へと進んだ。そして長く地下へと続く階段を下り、再び厳重な封印結界が施された扉を見つけた。
「……ここは普通に解除してやるか。【デリート】」
蓮太は封印に向け手をかざし、全ての術式を破壊する術式を叩き込んだ。すると幾重にも重なっていた封印結界はガラスが割れるような音とともに砕かれ消えた。蓮太は結界が消えた扉に手をかけ押し開いた。
《グルルルル……ダレダ……!》
「おいおい……起きてんじゃねぇか」
封印されていると聞いていたため、蓮太はてっきり邪竜が眠らされているか、凍らされていると想像していた。だが邪竜は手足に枷を嵌められ壁に磔にされていただけだった。
「無竜よぉ……、これじゃ逆効果だぜ」
《コタエロ! ダレダキサマッ!》
「あ? 貴様だと?」
《グッ──! ナ、ナンダ……》
いきなり貴様呼ばわりされた蓮太は邪竜に向け威圧を放った。すると邪竜が一瞬怯んだ。
「貴様とはなんだ貴様とは。おぉん!?」
《チ、チカヨルナ!》
「だからよぉ……命令すんなや。あぁ?」
《グッ!?》
蓮太は邪竜の顎を掴み力を込めた。
《ガァァァッ! ハ、ハナセッ!》
「離して下さいだろ」
《ハ、ハナシテクダサイ……》
「よしよし、ちゃんと話は理解できるようだな。良い子だ」
《ハウッ……アァァ……》
蓮太は邪竜の頭を撫でてやった。すると邪竜は嫌がりもせず、蓮太の手を受け入れた。
「お前の全竜は死んだ。俺が殺した」
《……エ?》
「【竜化】」
《ウッ! マ、マブシイッ!》
蓮太は邪竜の前で竜化して見せた。
《ナ、ナニモノナノダ……》
《俺は竜の頂点に立つ者、神竜だ》
《シ、シンリュウ!? アノ……デンセツノ!》
《そうだ。今からお前をこいつで清める》
《ハワッ!? ソ、ソソソソソレデ!?》
《そうだ。お前が片言じゃなくなるまでたっぷりとな》
《……ゴクリ。ア、イヤ。ワ、ワタシハクッシナイ!》
《そりゃ楽しみだ。簡単に堕ちるなよ?》
《アッ──》
蓮太は全竜がそうしたように、邪竜に愛を注いでやった。
《コンナ──コンナモノ──ッ!》
一日後。
《ワ、ワタシハ屈しないぞぉぉぉぉぉっ!》
二日後。
《ま、まだまだぁっ! 私は堕ちないっ!》
三日後。
《な、なぁ……? まだ抜かないのか? もう三日間も繋がったままだが……》
《まだたったの三日だろ。全竜にどれだけ汚されたか思い出してみろ!》
《ゼンリュウゥゥゥゥゥゥッ!! ユルサナイ──アッ──》
それを二回ループし、十日目の朝。
《も、もうらめぇぇぇぇぇぇぇぇっ! 死ぬッ、死んぢゃうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?》
《ふぅ……。そうだな、少しペース落とすか》
大量に注がれた愛情により、邪竜は正気を取り戻していた。蓮太は正気を取り戻した今もまだ繋がったままでいる。
《じゃあ色々質問させてもらうぜ》
《あ、ああ》
《まず、お前はもう誰にも恨みを抱えてないか?》
《……しいて言えばおま──》
《まだだったか》
《や、やめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……》
翌朝。
《恨み抱えてる?》
《か、抱えてないぃ……っ、身体も心も真っ白だぁ……っ》
《そうか。姉の事をどう思う?》
《姉さん……。い、今は私を守るためだと理解している》
《そうだ。お前が無竜に封印された理由は全竜の悪意から守るためだ。自分が知能すら失いかけていた事を覚えているか?》
《お、朧気にだが……。なぁ……まだ抜かないのか?》
《まだだ。お前の身体に誰が主か教え込んでる最中だからな。お前が俺を主と認め、従うなら抜いてやる》
《あ、主だとっ!? むむむ……、いきなりそう言われても……。確かに神竜なら従わなければならないが……。あなたがやった事は全竜とそんなに変わらないのでは……》
《ばっかもぉぉぉぉぉんっ!》
《あいたぁっ!?》
蓮太は邪竜の頭に手刀を落とした。
《変わるだろ。全く違う。全竜のはただ自分の欲望をぶつけるだけ。俺は愛で優しく包み込むような感じだろうが! 俺が欲望に負けてこんな手段をとったと本気で思っているのかっ!》
《す、すまないっ! そんなつもりでは……》
《俺はお前のためを思って最善の手段をとったつもりだったのに……。まさか全竜と同じ扱いをされるとはな……。傷付いたぞ》
《そ、そんなつもりで言ったわけじゃ……。ど、どうしたら許してもらえるのだ》
すると蓮太はニヤリと笑い、邪竜にこう言った。
《なら今度は邪竜の方からしてくれないか?》
《ふぁっ!? な、なななな何を言って!?》
《あ~……癒しが欲しいなぁ~……》
《わ、私からなど……私からなどぉぉぉぉっ!》
翌朝。
《うっうっ……。私はダメな竜だっ! 周りに流されあまつさえこのようなはしたない……》
《まぁまぁ。そんな自分を卑下するなよ。もうお前が誰かに振り回される事はないんだからな》
《え?》
蓮太は落ち込む邪竜にこう言った。
《さっきお前にスキル【因果応報】を付与した》
《い、因果……応報?》
《そうだ。お前は他人の悪意を吸収してしまう性質のようだったからな。だがスキル【因果応報】があれば自然に吸収される悪意さえも放った者に返る。因果応報とは悪事を働けばやがて巡り自分に返るって意味でもある。もうお前が狂う事はない》
《ほ、本当か!? 私はもう誰かに振り回されたりはしないのかっ!?》
《ああ。もう心配いらん》
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