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第02章 エンドーサ王国編
11 エンドーサ王国首都へ
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イシュガルの町から馬車で揺られる事二日、蓮太はエンドーサの首都に到着した。首都には港があり潮の香りが漂っている。
「ん~……ノイシュタットより若干上かな? 港があるだけあって活気がある良い町だ」
門から入り正面の通りを歩く。通りには屋台が並んでおり、その屋台から漂う香りが空腹を刺激する。
「いらっしゃい、いらっしゃい! 河魚の塩串焼きはいかがっすかー!」
「いらっしゃいませー! ファングボアの甘タレ串焼きありますよー!」
「へいらっしゃい! ホーンラビットのパイ包み焼き焼き立てだよー!」
「……ぎゅるるる。腹減ったな。ちょっと立ち寄ってみるか」
蓮太は屋台を片っ端から制覇していった。
「うめぇ……! 特にこのパイ包み焼き……中にトマトとチーズが入ってやがる! めちゃくちゃイタリアンじゃねぇか……」
蓮太がパイ包み焼きを美味そうに食していると店主の男が茶を片手に話し掛けてきた。
「お、良い食いっぷりだねぇ~。気に入ったかい? こりゃ茶のサービスしなきゃだな」
「あ、はい。ありがとうございます。これ……めちゃくちゃ美味いっすね!」
「はははっ、そりゃ嬉しいねぇ。兄ちゃんは観光かい?」
「まぁ、そんな所です。ノイシュタットから来たんですよ」
「ほ~。ノイシュタットからねぇ。あそこも良い国だがエンドーサも負けちゃいねぇだろう?」
「そっすね。食に関しては勝ってると思いますよ」
「ははははっ、何せここエンドーサは食の都だからな。あっちにゃ海の幸を味わえる食堂も──ってあれ!? いねぇ!?」
蓮太は話を最後まで聞かずに店主が指差した先にあった食堂へと神速で移動していた。
「海の幸! この世界で味わうのは初めてだ! 俺は海鮮に目がないんだよなぁ~。今行くぜっ!」
蓮太は勢いに任せ食堂に突入した。
「いらっしゃいませ~! 空いてる席へどうぞ~」
「……んん?」
蓮太は席に移動しながら他の客が食べていた皿を見て首を傾げた。 そして席に着き渡されたメニューを見て一気に興味が失くなった。
「ご注文はお決まりですか~?」
「……ねぇ、ここ海鮮の店なんだよね?」
「え? はい。今朝水揚げされたばかりの新鮮なお魚を提供させてもらってますが何か?」
そう、この店にあるメニューは全て焼き魚のみだったのだ。蓮太が楽しみにしていたメニューは何一つ存在していない。
「えっと……せっかく水揚げされたばかりの魚があるんなら刺身とかにしないの?」
「刺身?」
「うん。生で食べたいんだけど」
「は、はぁっ!? 魚を生で食べる!? 正気ですか!?」
「へ?」
刺身はないのか尋ねると店員は愚か他の客達も奇妙な人物を見るような視線を向けてきた。
「あいつ……魚を生で食うなんてアホなんじゃないか?」
「だよな。腹壊しちまうぜ」
「どんな山奥から出てきたサルだよ」
「やだわぁ……、変な人」
次第に店内では笑い声が飛び交っていく。
「お客さん、ここには生の魚なんてありませんよ」
「じゃあ貝は?」
「か、貝!? そんなの砂が入ってるんだから食べられるわけないじゃないですか! あははははっ」
「「「「がはははははっ」」」」
店内は爆笑の渦だ。それに反比例し、蓮太はだんだん苛立ってきた。
「そうかい。ないなら良いや。焼き魚しか出さない店なんぞに用はない。何が食の都だよ、レベル低~」
「はぁっ!? あんたこそ何も知らないお猿さんじゃない! あ、お猿さんだから火の使い方も知らないのね? かわいそ~」
「あぁん!? 魚みたいな面した魚類に猿呼ばわりされたくねぇんだよ!」
「だ、誰が魚類よっ! 出て行けっこの田舎猿っ!」
「はっ、出て行くに決まってんだろうが。最初から自分で作れば良かったぜ。じゃあな、魚類」
「むきぃぃぃぃぃぃぃっ!」
最後には店員が猿になっていたが、蓮太は無視し外に出た。
「……今に見てろよ。俺が海の幸の真髄を見せてやるぜ!」
蓮太はまず港に向かう。そして水揚げされたばかりの市場を訪れた。
「なんだよ、あるじゃねぇか。おっちゃん!」
「ん~? なんだ?」
市場には貝やら蟹、ウニのような物、さらにはタコやイカなどが木箱に山積みにされていた。蓮太はその箱を指差し漁師に尋ねた。
「これいくら?」
「は? ああ、悪いな。そりゃ売り物じゃねぇんだ。魚と一緒に網にかかったゴミなんだわ」
「ゴ、ゴミ?」
「ああ。どれも海に捨てる予定だ」
「……なるほど。ありがとうございます」
「あ、あれ? 魚はいらねぇのか!?」
蓮太は一礼しその場を離れた。そしてその日の深夜。漆黒の闇の中で黒い衣装に身を包んだ蓮太が港の桟橋で嗤いながら立っていた。
「そっかそっか。捨てられてんなら俺が拾ってやろうじゃないの。おそらくこの海の中は宝の山だ。【環境適応】」
蓮太はスキル【環境適応】を使い、海中でも自由に行動できるようにした。そして桟橋から海中へとダイブする。
「お……おぉぉぉぉっ! まさに宝石箱やぁ~」
視界はスキル【暗視】で昼と同様に見える。海中は捨てられた貝類やウニが山盛り積まれていた。さらに蟹やタコ、イカもそれなりに泳いでいる。どうやら生息圏にしているらしい。
「よっしゃ、片っ端からゲットしたるぜっ!」
蓮太はわずかに残し、視界にあった全ての海鮮を収穫しアイテムボックスに放り込んでいった。わずかに残した理由は次を考えての事だ。どうせまた網にかかったらここに捨てられるのだろうが、これから蓮太がやる事で海鮮の真髄に気付いた住民が捨てに来なくなるかもしれないと考え、自然に繁殖させようとわずかに残しているのである。
「ついでに魚も捕獲しておくか。マグロなんかいたら最高……いるじゃねぇの! ハッハー! 異世界の海万歳だっ! オラァッ、俺より早く泳がねぇと捕まるぜっ!」
蓮太は海中を何よりも早く移動し、あらゆる魚を乱獲していくのだった。
「ふはははははっ! 大量大量っ! よぉ~し、明日は海鮮パーティーだっ!」
蓮太は海から上がり生活魔法【ドライ】と【クリーン】で身なりを整え宿に戻った。そして翌日、蓮太は屋台の店主に話を聞きに行った。
「なに? 店の出し方?」
「うん、おっちゃんならわかるんじゃないかと思って」
「店か。それならまず町にある商業ギルドに行くんだ。そこでまず営業許可を買う。それから店舗購入って所だな」
「なるほどなるほど」
「けどなぁ~、めちゃくちゃ金かかるぞ? 店舗を持つと税金がかかるんだ。だが屋台なら税金はかからない。兄ちゃんもやるなら屋台にしたらどうだ?」
しかし蓮太は首を横に振った。
「大丈夫だよ。多分めっちゃもうかるから」
「おいおい、すげぇ自信だな。ちなみに何の店を開くんだ?」
「飲食店だよ、海鮮限定の」
「飲食店だぁ? おいおい、この町には有名な海鮮を出す店がもうあるんだぜ? 無茶だ」
「あんなのただの魚焼き屋じゃん。店ができたら本当の海鮮専門店を見せてあげるよ。できたらおっちゃんも食べに来てよ。じゃ、ありがと!」
「あ、おい──って、もういねぇ……。あいつ……すげぇ自信家なんだなぁ……」
こうして蓮太は飲食店を開くために商業ギルドへと向かうのだった。
「ん~……ノイシュタットより若干上かな? 港があるだけあって活気がある良い町だ」
門から入り正面の通りを歩く。通りには屋台が並んでおり、その屋台から漂う香りが空腹を刺激する。
「いらっしゃい、いらっしゃい! 河魚の塩串焼きはいかがっすかー!」
「いらっしゃいませー! ファングボアの甘タレ串焼きありますよー!」
「へいらっしゃい! ホーンラビットのパイ包み焼き焼き立てだよー!」
「……ぎゅるるる。腹減ったな。ちょっと立ち寄ってみるか」
蓮太は屋台を片っ端から制覇していった。
「うめぇ……! 特にこのパイ包み焼き……中にトマトとチーズが入ってやがる! めちゃくちゃイタリアンじゃねぇか……」
蓮太がパイ包み焼きを美味そうに食していると店主の男が茶を片手に話し掛けてきた。
「お、良い食いっぷりだねぇ~。気に入ったかい? こりゃ茶のサービスしなきゃだな」
「あ、はい。ありがとうございます。これ……めちゃくちゃ美味いっすね!」
「はははっ、そりゃ嬉しいねぇ。兄ちゃんは観光かい?」
「まぁ、そんな所です。ノイシュタットから来たんですよ」
「ほ~。ノイシュタットからねぇ。あそこも良い国だがエンドーサも負けちゃいねぇだろう?」
「そっすね。食に関しては勝ってると思いますよ」
「ははははっ、何せここエンドーサは食の都だからな。あっちにゃ海の幸を味わえる食堂も──ってあれ!? いねぇ!?」
蓮太は話を最後まで聞かずに店主が指差した先にあった食堂へと神速で移動していた。
「海の幸! この世界で味わうのは初めてだ! 俺は海鮮に目がないんだよなぁ~。今行くぜっ!」
蓮太は勢いに任せ食堂に突入した。
「いらっしゃいませ~! 空いてる席へどうぞ~」
「……んん?」
蓮太は席に移動しながら他の客が食べていた皿を見て首を傾げた。 そして席に着き渡されたメニューを見て一気に興味が失くなった。
「ご注文はお決まりですか~?」
「……ねぇ、ここ海鮮の店なんだよね?」
「え? はい。今朝水揚げされたばかりの新鮮なお魚を提供させてもらってますが何か?」
そう、この店にあるメニューは全て焼き魚のみだったのだ。蓮太が楽しみにしていたメニューは何一つ存在していない。
「えっと……せっかく水揚げされたばかりの魚があるんなら刺身とかにしないの?」
「刺身?」
「うん。生で食べたいんだけど」
「は、はぁっ!? 魚を生で食べる!? 正気ですか!?」
「へ?」
刺身はないのか尋ねると店員は愚か他の客達も奇妙な人物を見るような視線を向けてきた。
「あいつ……魚を生で食うなんてアホなんじゃないか?」
「だよな。腹壊しちまうぜ」
「どんな山奥から出てきたサルだよ」
「やだわぁ……、変な人」
次第に店内では笑い声が飛び交っていく。
「お客さん、ここには生の魚なんてありませんよ」
「じゃあ貝は?」
「か、貝!? そんなの砂が入ってるんだから食べられるわけないじゃないですか! あははははっ」
「「「「がはははははっ」」」」
店内は爆笑の渦だ。それに反比例し、蓮太はだんだん苛立ってきた。
「そうかい。ないなら良いや。焼き魚しか出さない店なんぞに用はない。何が食の都だよ、レベル低~」
「はぁっ!? あんたこそ何も知らないお猿さんじゃない! あ、お猿さんだから火の使い方も知らないのね? かわいそ~」
「あぁん!? 魚みたいな面した魚類に猿呼ばわりされたくねぇんだよ!」
「だ、誰が魚類よっ! 出て行けっこの田舎猿っ!」
「はっ、出て行くに決まってんだろうが。最初から自分で作れば良かったぜ。じゃあな、魚類」
「むきぃぃぃぃぃぃぃっ!」
最後には店員が猿になっていたが、蓮太は無視し外に出た。
「……今に見てろよ。俺が海の幸の真髄を見せてやるぜ!」
蓮太はまず港に向かう。そして水揚げされたばかりの市場を訪れた。
「なんだよ、あるじゃねぇか。おっちゃん!」
「ん~? なんだ?」
市場には貝やら蟹、ウニのような物、さらにはタコやイカなどが木箱に山積みにされていた。蓮太はその箱を指差し漁師に尋ねた。
「これいくら?」
「は? ああ、悪いな。そりゃ売り物じゃねぇんだ。魚と一緒に網にかかったゴミなんだわ」
「ゴ、ゴミ?」
「ああ。どれも海に捨てる予定だ」
「……なるほど。ありがとうございます」
「あ、あれ? 魚はいらねぇのか!?」
蓮太は一礼しその場を離れた。そしてその日の深夜。漆黒の闇の中で黒い衣装に身を包んだ蓮太が港の桟橋で嗤いながら立っていた。
「そっかそっか。捨てられてんなら俺が拾ってやろうじゃないの。おそらくこの海の中は宝の山だ。【環境適応】」
蓮太はスキル【環境適応】を使い、海中でも自由に行動できるようにした。そして桟橋から海中へとダイブする。
「お……おぉぉぉぉっ! まさに宝石箱やぁ~」
視界はスキル【暗視】で昼と同様に見える。海中は捨てられた貝類やウニが山盛り積まれていた。さらに蟹やタコ、イカもそれなりに泳いでいる。どうやら生息圏にしているらしい。
「よっしゃ、片っ端からゲットしたるぜっ!」
蓮太はわずかに残し、視界にあった全ての海鮮を収穫しアイテムボックスに放り込んでいった。わずかに残した理由は次を考えての事だ。どうせまた網にかかったらここに捨てられるのだろうが、これから蓮太がやる事で海鮮の真髄に気付いた住民が捨てに来なくなるかもしれないと考え、自然に繁殖させようとわずかに残しているのである。
「ついでに魚も捕獲しておくか。マグロなんかいたら最高……いるじゃねぇの! ハッハー! 異世界の海万歳だっ! オラァッ、俺より早く泳がねぇと捕まるぜっ!」
蓮太は海中を何よりも早く移動し、あらゆる魚を乱獲していくのだった。
「ふはははははっ! 大量大量っ! よぉ~し、明日は海鮮パーティーだっ!」
蓮太は海から上がり生活魔法【ドライ】と【クリーン】で身なりを整え宿に戻った。そして翌日、蓮太は屋台の店主に話を聞きに行った。
「なに? 店の出し方?」
「うん、おっちゃんならわかるんじゃないかと思って」
「店か。それならまず町にある商業ギルドに行くんだ。そこでまず営業許可を買う。それから店舗購入って所だな」
「なるほどなるほど」
「けどなぁ~、めちゃくちゃ金かかるぞ? 店舗を持つと税金がかかるんだ。だが屋台なら税金はかからない。兄ちゃんもやるなら屋台にしたらどうだ?」
しかし蓮太は首を横に振った。
「大丈夫だよ。多分めっちゃもうかるから」
「おいおい、すげぇ自信だな。ちなみに何の店を開くんだ?」
「飲食店だよ、海鮮限定の」
「飲食店だぁ? おいおい、この町には有名な海鮮を出す店がもうあるんだぜ? 無茶だ」
「あんなのただの魚焼き屋じゃん。店ができたら本当の海鮮専門店を見せてあげるよ。できたらおっちゃんも食べに来てよ。じゃ、ありがと!」
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