魔族と組んで異世界無双 2

夜夢

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第1章 始まりの章

30 魔王達を連れて帰るぞ!

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「さて、ミストラルよ。大陸にある全てのダンジョンを破壊した今、もう民達と離れている必要は無いだろう。どうだ?砦を引き払って俺の街に移らないか?」

    枢はダンジョンから帰った翌日、魔王にそう提案していた。

「…ふ~む、街にか。その前に枢、話を聞かせて貰う約束じゃぞ?」

「ちっ、覚えていたか。あれだけ逝かせたら忘れると思ったのに…。」

「バカ者。それとこれとは別の話じゃ!…のぅ、お主は邪神と戦った事があるのか?邪神はこの星には来ていない筈…、ならば主は何処からどうやってこの星に来た?目的は何じゃ?全てを話して貰おうか?」

    魔王は人差し指を枢にずいっと突き付けていた。枢は観念し全てを語る事にした。

「誰にも話さないと誓えるか?」

「うむ。」

「…ふぅ、仕方無いな。俺は【レスティア】と言う星から来た。邪神を倒して俺はレスティアの惑星神となったんだ。」

    魔王達は黙って話を聞いていた。

「でだ、宇宙神から収集があって、新たな銀河神を選ぶ事になったんだ。そこで、この星の神デュラン・ハーレスに会った。それから宇宙神に上手く誘導され、俺がこの星の神になる事になったんだよ。どうやらこの星の問題はデュランの手に余るらしくてな、代わりに俺が問題を解決する事になったんだよ。」

「…スケールがデカ過ぎて話が全く分からないわ…。」

    アイリーンは困惑していた。しかし、ミストラルは違った。

「宇宙神に銀河神、惑星神か。成る程、どうりで強い訳だ。レスティアとは確かに同じ銀河に存在する星…。邪神の波動もその方角から発せられていたな。ある日突然消えたから何処かへ行ったかと思ったら…そうか、倒されていたのか。」

「まぁな。結構無茶苦茶な説明だったが信じるのか?」

「…ふむ、筋は通っているし、確かにこの惑星の神はデュラン・ハーレスじゃった。しかし…問題解決と言ったな?主はこれからどうする?」

    枢はミストラルを見てこう言った。

「全ての種族が憎み合ってるんだっけ?取り敢えず一番危なかった魔族の絶滅は防いだ。次に危ないのが獣人、エルフだったか…。なぁ、ミストラル。何故全種族が憎み合っている?何か理由があるのか?知っていたら教えてくれ。」

「…人間だよ。全ての元凶は人間の欲だ。妾達魔族が先ず真っ先に悪に仕立てられ、戦争の引き金にされたのじゃ。戦争は儲かるからな。で、人間に踊らされた獣人やエルフ、亜人等が次々と妾達を追い詰め、この危険な大陸に押し込めたのじゃよ。」

    枢はミストラルに反論した。

「しかし、それだと全種族が憎み合う事にはならないのでは?」

「まだ続きがある。…魔族と言う敵を失った人間達には新たな敵が必要じゃった。ここでまた人間達が暗躍し、先ず力の強い獣人の迫害を開始した。そして、獣人はエルフや亜人に助力を求めたが、人間達がエルフや亜人を拐って殺害した件を獣人の仕業だと話を広めたのじゃよ。それから獣人達は人間、エルフ、亜人を憎む様になったのじゃ。獣人達は全ての種族と関わる事を止め、国を閉鎖した。が、人間達はそれでも侵略を止めず、獣人達と戦を繰り返しては金を稼ぎ、更に獣人達を奴隷として扱う様になっていったのだよ。」

「…エルフや亜人は?」

「同じじゃ。獣人が滅んだら次は自分達の番かも知れんと自国に引きこもり、日々人間達から逃げる様に生活しておるらしい。」

    枢は人間達に呆れていた。

「…なぁ、魔族はまだ他の種族が憎いか?人間を除いてだ。」

「人間以外はもう何とも思っておらぬよ。そもそもが人間達が妾達を敵視し、他の種族を騙した事から始まったのじゃ、人間は殺したい程憎いが…他とは別に今さら争う気は無い。」

    魔姫達もそれに賛同し、頷いていた。

「そうか。なら…魔族を絶滅から救った今、俺は次に行かなければならないのかもしれんな。」

「獣人を助けに行くと?バカな…。人間は今この星の半分以上を占めているのじゃぞ?安易に獣人を守ろうと動けば…全ての人間と敵対する事になる!そうなれば今度こそ魔族はっ…!」

「大丈夫さ。俺は神様だぜ?人間位どうと言う事は無いさ。この大陸全体に結界を張り、誰も手出し出来ない様にしてから行く。魔族はもう戦いから解放されたんだよ。これからはのんびりと暮らせばいいさ。」

「ははっ、…のんびり…か。妾には一番似合わない暮らしじゃな。」

「街の全権をミストラル、お前に託す。お前が魔王と呼ばれるなら…再び魔族を盛り上げて見せろよ。」

「…妾を使う気か?ははっ、妾は魔王ミストラルじゃ。誰の指図も受けんっ!…妾を使いたいなら…番になれ、枢。妾を主のモノにするが良い!」

「あん?素直に俺に抱かれたいって言っちまえよ?他の大陸に行くって言ってもな、俺は何時でも此処に帰って来れるんだぜ?【転移】でな?」

    魔王は顔を真っ赤にしていた。

「あ、もしかして暫く離れるから~…とか焦った?可愛い奴だな、え?はははは。」

「ば、ばばばば…バカモノォォォォォォッ!!枢のアホォォォォッ!!!」

    魔王は泣きながら何処かへと消えて行った。

「アレに任せて魔族は大丈夫なのだろうか…。何か不安になって来たぞ…。」

    魔水姫が枢に近寄りこう言った。

「大丈夫ですよ、私達がサポート致しますし。魔王様は判を押すだけですので。例え頭が多少アレでも何とかなりますわ。」

「お前、結構毒吐くのな。まさか今までも?」

「ええ…、雑事は全て私達が。アレは1人で生活すら出来ませんので…。」

「…頼む相手を間違えたかなぁ…。やれやれ…。」

「ん、私と姉でサポートする。これから魔族は再び栄華を極める。だから…私達も貰って?」

「…頼むわ。このままじゃ不安で何処にも行けそうにないからな…。アレが戻ったら街に向かうぞ?荷物があったら纏めておけよ?」

「「「「はいっ。」」」」

    魔姫達は各自荷物を纏めに砦へと散会した。そこでアイリーンが枢に話し掛けてきた。

「ねぇねぇ、ダンジョンにお宝…あった?」

「ふっ、あったぜ?街に戻ったら見せてやるよ。」

「さっすが枢♪ちゃっかりしてるわねっ♪早く帰ろ~♪」

「はいはい。」

    それから寂しくなって帰って来た魔王を何とかなだめ、枢達は街へと転移するのであった。

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