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第1章 始まりの章
22 隠れ里とダンジョン
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助けを求めてやって来た人魚達に案内され、枢達は今、隠れ里の代表と面会していた。
「この度は私達の里の為にわざわざお越しいただきありがとうございます…。」
「いや、俺達の目的もダンジョンだったから。偶々だ。逆に見つける事が出来て助かったよ。」
「まぁ…。では…ダンジョンは確実に破壊して頂けるので?」
「ああ。ただ…ダンジョンを破壊したら此処も崩れるかもしれない。そこは分かるよな?」
「ええ、皆さんがダンジョンに入ったら私達は海に避難しますわ。…にしても、たった一人で私達より強い結界を張る貴方は一体何者ですか?聞けば既に不老とか…。」
「俺はただの魔族だよ。それより、中に入った戦士は何人だ?誰か帰って来たか?」
代表は首を横に振った。
「中に入ったのは四人…未だに誰も…。恐らく既に…。」
「…そうか。見つけたら弔っておこう。」
「ありがとう…ございます。では、ダンジョンは明日から攻略に入ると言う事で構いませんか?」
「ああ、因みに…ダンジョンについて何か知っている事はあるか?」
「そうですね…ダンジョンは全50階、出現するモンスターは水系モンスター。地下30階以降の敵平均レベルは70~。過去のデータですので当てにはなりませんが…。」
「いや、十分だ。ありがとう。」
「い、いえ…。(格好いい…方…。種…欲しいな…。)」
「ん?どうかしたか?」
「い、いえ!何でもっ…。」
枢は別れ際、代表に小さな声で耳打ちした。
「帰ったら種をやるよ。良い子で待っててな?」
それを聞き代表の顔が朱に染まった。
「…お待ちしております。」
「勿論。ま、後は任せてくれ。」
2人は代表の家を出て、里に用意して貰った家に向か う。
「アイリーン、フレイムナイフをしまってこっちに変えてくれ。」
そう言って枢はアイリーンに違う短剣を渡す。
「これは?」
「【サンダーナイフ】だ。雷属性を付与してある。これなら楽に敵を倒せる筈だ。水場に突き立てて、柄にあるボタンを押せば雷が流れる。雷を受けた敵は麻痺するけら後は切り刻むだけだ。」
「無敵じゃない!」
「ただなぁ、相手がゴムとかラバーだと全く効果が出ない。一応頭に入れておけ。」
「ん、りょ~かい。で、いつ行く?もう入っちゃう?」
「そうだなぁ…地下50階もあるらしいしな。お前のレベルも上げたいし、そろそろ行くか。今回はお前がメインで動け。補助魔法を掛けてやるから安心して突っ込め。」
「私のレベルを上げる為ね?分かった。」
2人は代表にこれからダンジョンに入ると告げ、中に入った。
「早速かよ。アイリーン、来たぞ?」
ダンジョンに入るや否やモンスター達が列を成して襲い掛かって来た。敵の構成は…。
「何あれ気持ち悪っ!?頭が魚で身体が人!?」
「魚人か?まぁ、頑張れ。ほら、【能力強化】。」
「ふぇぇぇっ!気持ち悪いよぉぉぉぉっ!?」
アイリーンは半泣きになりながらも魚人を次々と屠っていく。両手に握ったサンダーナイフは効果抜群の様だった。
「枢っ!アンタ…こう言う系が出るって分かってて私を前衛にしたんでしょ!?」
「まさか。心外だなぁ。俺は強くなる機会を与えただけさ。それに、俺なら纏めて一瞬で終わらせるしな。ほら、さっさと倒しきれ。」
「ぐぬぬっ、魔法が使えれば…!ちっくしょぉぉぉぉっ!たぁぁぁりゃぁぁぁぁぁっ!!」
《《《ぎゅぴぃぃぃぃぃっ!?》》》
魚人の群れが次々と宝箱に変わっていく。
「まだ一階だし要らないんだけどな、一応…。宝箱を見つけたら開けない訳にはいかんだろ!よっと……ゴミか。」
アイリーンが倒し、枢が補助と宝箱を回収、そんなスタイルで2人は次々と階層を降りていく。
「アイリーン、まだソロで行けそうか?」
「なんぼでもこんかぁぁぁぁい!うはははははっ!」
ヤバいな、壊れかけてきた。
それもその筈。頭が魚なモンスターに加え、魚に手足が生えた奴等も混じり始めていた。正直気持ち悪い。
《《ギョギョギョォォォォォォッ!》》
「魚は殲滅っ!オホホホホホホッ!!」
アイリーンの快進撃は続く。アイリーンの中の大切な何かと引き換えに、2人は初日で地下15階まで進んだ。モンスターは相変わらず魚ばかりである。
「飯出来たぞ~。」
「何で魚料理なの!?」
「宝箱からこれしか出ないんでなぁ。取り敢えず…刺身にしてみた。後、これ寿司な?俺の会心作だ!美味いから食ってみ?」
アイリーンは寿司の食べ方を習い、一つ口に運んだ。
「何これ!!?滅茶苦茶美味いじゃない!!ちょっとしょっぱいソースに上品な辛味…幾らでも食べられそう!」
「醤油とワサビな。絶品だろう。どれ……うん、美味いっ!魚は寿司に限るっ!ズズッ…。」
「?何飲んでるの?私にも頂戴よ?」
「緑茶だ。不思議と寿司に良く合う飲み物なんだよ。ほら。」
枢はアイリーンに緑茶を渡した。
「…ズズッ。ふはぁ…落ち着くわぁ~…。美味いわね…。」
「マグロとか鯛が食いてぇなぁ…。」
「何それ?これより美味いの?」
「そりゃもう…一度食ったら必ずハマる。それ位美味い。」
「…やる気出て来た!よっし!狩るぞぉっ!」
「頑張れっ!宝箱は俺に任せなっ!マグロゲットしてやるぜ!行くぞっ!」
「お~っ!!」
高級鮮魚を求め、2人は更に階層を降りていくのであった。
「この度は私達の里の為にわざわざお越しいただきありがとうございます…。」
「いや、俺達の目的もダンジョンだったから。偶々だ。逆に見つける事が出来て助かったよ。」
「まぁ…。では…ダンジョンは確実に破壊して頂けるので?」
「ああ。ただ…ダンジョンを破壊したら此処も崩れるかもしれない。そこは分かるよな?」
「ええ、皆さんがダンジョンに入ったら私達は海に避難しますわ。…にしても、たった一人で私達より強い結界を張る貴方は一体何者ですか?聞けば既に不老とか…。」
「俺はただの魔族だよ。それより、中に入った戦士は何人だ?誰か帰って来たか?」
代表は首を横に振った。
「中に入ったのは四人…未だに誰も…。恐らく既に…。」
「…そうか。見つけたら弔っておこう。」
「ありがとう…ございます。では、ダンジョンは明日から攻略に入ると言う事で構いませんか?」
「ああ、因みに…ダンジョンについて何か知っている事はあるか?」
「そうですね…ダンジョンは全50階、出現するモンスターは水系モンスター。地下30階以降の敵平均レベルは70~。過去のデータですので当てにはなりませんが…。」
「いや、十分だ。ありがとう。」
「い、いえ…。(格好いい…方…。種…欲しいな…。)」
「ん?どうかしたか?」
「い、いえ!何でもっ…。」
枢は別れ際、代表に小さな声で耳打ちした。
「帰ったら種をやるよ。良い子で待っててな?」
それを聞き代表の顔が朱に染まった。
「…お待ちしております。」
「勿論。ま、後は任せてくれ。」
2人は代表の家を出て、里に用意して貰った家に向か う。
「アイリーン、フレイムナイフをしまってこっちに変えてくれ。」
そう言って枢はアイリーンに違う短剣を渡す。
「これは?」
「【サンダーナイフ】だ。雷属性を付与してある。これなら楽に敵を倒せる筈だ。水場に突き立てて、柄にあるボタンを押せば雷が流れる。雷を受けた敵は麻痺するけら後は切り刻むだけだ。」
「無敵じゃない!」
「ただなぁ、相手がゴムとかラバーだと全く効果が出ない。一応頭に入れておけ。」
「ん、りょ~かい。で、いつ行く?もう入っちゃう?」
「そうだなぁ…地下50階もあるらしいしな。お前のレベルも上げたいし、そろそろ行くか。今回はお前がメインで動け。補助魔法を掛けてやるから安心して突っ込め。」
「私のレベルを上げる為ね?分かった。」
2人は代表にこれからダンジョンに入ると告げ、中に入った。
「早速かよ。アイリーン、来たぞ?」
ダンジョンに入るや否やモンスター達が列を成して襲い掛かって来た。敵の構成は…。
「何あれ気持ち悪っ!?頭が魚で身体が人!?」
「魚人か?まぁ、頑張れ。ほら、【能力強化】。」
「ふぇぇぇっ!気持ち悪いよぉぉぉぉっ!?」
アイリーンは半泣きになりながらも魚人を次々と屠っていく。両手に握ったサンダーナイフは効果抜群の様だった。
「枢っ!アンタ…こう言う系が出るって分かってて私を前衛にしたんでしょ!?」
「まさか。心外だなぁ。俺は強くなる機会を与えただけさ。それに、俺なら纏めて一瞬で終わらせるしな。ほら、さっさと倒しきれ。」
「ぐぬぬっ、魔法が使えれば…!ちっくしょぉぉぉぉっ!たぁぁぁりゃぁぁぁぁぁっ!!」
《《《ぎゅぴぃぃぃぃぃっ!?》》》
魚人の群れが次々と宝箱に変わっていく。
「まだ一階だし要らないんだけどな、一応…。宝箱を見つけたら開けない訳にはいかんだろ!よっと……ゴミか。」
アイリーンが倒し、枢が補助と宝箱を回収、そんなスタイルで2人は次々と階層を降りていく。
「アイリーン、まだソロで行けそうか?」
「なんぼでもこんかぁぁぁぁい!うはははははっ!」
ヤバいな、壊れかけてきた。
それもその筈。頭が魚なモンスターに加え、魚に手足が生えた奴等も混じり始めていた。正直気持ち悪い。
《《ギョギョギョォォォォォォッ!》》
「魚は殲滅っ!オホホホホホホッ!!」
アイリーンの快進撃は続く。アイリーンの中の大切な何かと引き換えに、2人は初日で地下15階まで進んだ。モンスターは相変わらず魚ばかりである。
「飯出来たぞ~。」
「何で魚料理なの!?」
「宝箱からこれしか出ないんでなぁ。取り敢えず…刺身にしてみた。後、これ寿司な?俺の会心作だ!美味いから食ってみ?」
アイリーンは寿司の食べ方を習い、一つ口に運んだ。
「何これ!!?滅茶苦茶美味いじゃない!!ちょっとしょっぱいソースに上品な辛味…幾らでも食べられそう!」
「醤油とワサビな。絶品だろう。どれ……うん、美味いっ!魚は寿司に限るっ!ズズッ…。」
「?何飲んでるの?私にも頂戴よ?」
「緑茶だ。不思議と寿司に良く合う飲み物なんだよ。ほら。」
枢はアイリーンに緑茶を渡した。
「…ズズッ。ふはぁ…落ち着くわぁ~…。美味いわね…。」
「マグロとか鯛が食いてぇなぁ…。」
「何それ?これより美味いの?」
「そりゃもう…一度食ったら必ずハマる。それ位美味い。」
「…やる気出て来た!よっし!狩るぞぉっ!」
「頑張れっ!宝箱は俺に任せなっ!マグロゲットしてやるぜ!行くぞっ!」
「お~っ!!」
高級鮮魚を求め、2人は更に階層を降りていくのであった。
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