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197 別れましょうね

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 フミの母親弥生は、隣で寝ている夫を見た。

このところ夫は大ハッスル。館土産のあのドリンクと、若々しくなった妻の体が原因だ。

一昨日の定期健診で、乳ガンの再発が指摘され、俊也から全身ペッティングの『治療』を受けた結果だ。

だが、弥生は夫とのセックスが、ひどく物足りないと感じていた。

もちろん、性的な密度もあるが、体が若返ったら手のひら返し。割り切れないものを感じていた。

思い切って切り出そうかな? 離婚。
フミも一人前になったことだし。夫への愛着は、はっきり言って薄れている。

夫はできる男だ。それは認めている。だが、はるかにできる男と、親しくなってしまった。
よっし! 決めた。別れる。

一宮家の支援は約束する。あなたは総理大臣を目指して。
ファーストレディーなんて、まっぴらごめんだ。

弥生がひいているのは、前首相の秘書を務めていた夫が、政界に色気を出し始めたことも大きな原因だ。

一宮の直系は、表に出てはならない。それは脈々と守られ続けていた家訓だった。


 翌朝。弥生はいたずら心を起こした。お別れの一発を決めてやろう。

 今日夫は休みだ。思い切り濃いやつを。

最後となったら名残惜しい気もするが、俊也に抱かれる自分を想像したら、全然未練は感じない。

弥生は夫のパジャマの下を脱がせる。夫は目が覚めたようだ。かなり驚かしたかもしれない。自分の方から求めるなんて、いつ以来だろう?

 パンツも脱がせる。夫は白のブリーフ派だ。はっきり言ってダサい。
 さすが館謹製の強壮ドリンク。夫の御子息は弥生のコキコキで健気にも反応。

 あらっ? アンダーヘアに…白いのが混じっている。全然気づかなかった。
 あなたも悪いのよ……。弥生は入れる気がなくなった。でも、最後くらいはサービスするか……。

 パクン……、ふんぐ、ふんぐ……。弥生は求められない限りしなかった口撃を加え始めた。

 健介はびっくり。いや~! 古女房もいいもんだ。お肌もびっくりするほど若返ってるし。
 これまでも定期健診のたび驚かされたが、今回は乳がんの再発があったと聞いた。お肌の張りや艶が一段と。
 どんな治療を受けたのだろう?

 なんだか妬けてくる……。健介は一段とたぎる自分を感じた。

「うっ、うっ、う~~~……」
 健介はあっけなく発射。あの強壮ドリンクはすごい。元気をなくしがちの自分だったが、一晩寝たらどんとこいだった。
すぐどんといっちゃったけど……。
なにせ妻は初めて口で受けてくれた。健介、感激!

 弥生は口中のなまぐささにえずきそうだった。慌ててテッシュを抜き、そっと吐き出した。

 俊也さんのは甘いらしいけど……。これは文字通りいただけない。

 最後の最後に妻としての務めを。弥生は夫、気分的には元夫の御子息を、ティッシュで後始末。

「あなた、別れましょうね」
 そう言ってベッドから抜け出した。

 えっ? え~~~~!
 
 以下、ノーコメント。


 一宮弥生は、離婚届を区役所に提出し、一宮別邸を訪ねた。祖母である巫見に、離婚を報告するためだ。

夫の野本健介は最初戸惑った。だが、彼は一宮直系の掟を知っていた。

弥生と婚姻関係を保ったままで、政界へ進出するのは、一宮家との絶縁を意味する。
妨害はしないだろうが、そうなれば、自分はただの元首相秘書に帰ってしまう。

離婚もやむなし、という決断を健介は下した。思う存分表の世界で力が振るえる。
一宮の後押しがあったら、首相の座も夢ではない。


「巫見様、お久しぶりでございます」
 弥生は祖母であり、一族の長でもある巫見に深く両手をついた。

「離婚したのね? 
俊也さんに惚れちゃったら、仕方ないよね。
それに、一宮の制約から健介さんは切り離される。
それでいいと思うよ」
 弥生は祖母の若々しい声に驚き、顔を上げた。

「おばあ様……」
「へへへ、どう? 
あなたとそんなに変わんない?」
「もしや……」
 俊也さんとやっちゃった? 弥生はフミから報告を受けていなかった。
フミ的には、母親をあおる結果にならないかと心配したからだ。できるものなら、両親には円満でいてもらいたかった。

「わっかる~? フフフ、俊也さんに思い切り抱いてもらっちゃった。
あなたも抱いてもらいなよ。
フミ、超気が利く子だね。
興津根様も連れて来ちゃった。
興津根様に憑依してもらって抱かれたら、すっご~いよ。
気分も体も四十代? 
何十年でもバリバリ働けそう。当分フミに迷惑かけないですむと思う。
あなたも気楽にやりなよ」
 浮かれまくった若い祖母に、あきれながらも、心からの喜びと、解放感が湧き上がる弥生だった。

私なら三十代? おばあ様より絶対若くありたい!
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