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124 フミの試験

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 そのころカナの家では。

カナは女の友情に押し切られていた。

その結果、俊也は琴音の初めてを、おいしく頂くことになった。


 俊也は素裸で横たわる琴音を見下ろした。

 なんか違うんだよね……。いつもと……。その違いの原因が、俊也にはよくわからなかった。
 気のせい?

「琴ちゃん、今さらだけど、あえて聞く。本当に、いいの?」
 心なしか、琴音の表情がこわばったような……。

「いいに決まってるでしょ! さあ、抱け!」
 琴音は、ぱかんと両足を開いた。

 やっぱ、なんか違うんだよね……。いつもと……。

だがしかし、もうひけない! 男と女のプライドにかけて!

俊也は違和感を抱いたまま、実食にとりかかった。

前もっての戯れは、粛々と進行。琴音の反応を見たら、まずまず感じていると判断できる。初めてにしては。
以前のなめ治療の方が、より感じていたふうなのは、初めてのフルコースが予定されてるから?

 では……、推して参る! ぐ、ぐぐ……。

「痛い! 痛いよう~~~!」

 えっ? 俊也とカナはびっくり。俊也は慌てて抜いた。

 出血してるよ! どうして? 初めての経験に、俊也は、激しくうろたえた。
 
彼はどの嫁にも、破瓜の苦痛を与えたことがなかったから。
 カナは慌てて治癒魔法を、琴音にかけた。

慣れない治癒魔法行使に、強い疲労感を覚えながらカナは思う。俊也さんに、話したの、まずかったかな? 

琴ちゃんが、「喜んで」ナンパされたこと……。


 ちなみに、休憩後、俊也は琴音に再アタック。そして、愛妻カナにも数度アタック。
 カナはもちろんのこと、なぜだか琴音も、スムーズに事が運んだ。
 一体なんだったんだろう? 


 俊也は若干の疲労を感じながら、弥生が運転する車に拾われた。

黒塗りのベンツだった。なんだか出世した気分。

あるいは裏社会の幹部気分? 心地よく揺られ、大あくびを手で隠す。

「お疲れに見えるけど?」
 弥生がルームミラーを、ちらっと見てそう言った。

「午前中はプールの監視当番やってました。午後からはちょっと事情があって」
 俊也は、あいまいにごまかした。

「あらら、こっちの奥さんと、お友達まで食べちゃったのか。
ふ~ん。お友達の口実は、日焼けがきついから? 
そうかそうか、前に治療したことがあったのね? 
それでその友達、忘れられなくなっちゃったんだ? 御苦労さまでした」
 フミが冷ややかに言う。

「フミ! 俊也さんがそんな人だと、分かってるはずでしょ! 
そんなふうに読んじゃったら、あなたがつらいだけよ。
あなたは後から割り込むの。それを忘れちゃダメ」
 弥生は娘を厳しくしかりつけた。

「ごめんなさい」
 フミと俊也の声は重なった。

「いや、ごめんなさいは俺だから」

「私がごめんなさいなの。俊也さん、何人でも抱いていいよ。
ただ、私も抱いてね。私を怖がらないで」
 フミは隣席の俊也に抱きついた。俊也はフミの肩を強く抱く。

「俺がスケベなのは、見逃してもらうしかない。
誰も捨てられないから。
もちろん、君も絶対捨てない。
それだけは安心していいよ」

「うん……。本当にごめんね。
なんか生々しかったから、つい。
迷ってるのね? 琴音さんをどう扱うか。
なんだったら、その人、見てみようか?」

「いいよ。見ても多分わからない。
彼女自身わかってないと思うから。
ただ、カナがちょっとあおり過ぎたみたい。
それで焦ってたと思う。カナが言うには……」

「変な男に、友達の初めてを奪われるよりまし。
少しは落ち着いてくれるといいね?」
 俊也はフミの能力に舌を巻く。むこうのどの嫁にもない力だ。

「降参。でも君のこと怖くなんかないから。
俺のスケベを認めてくれたらね」

「うん。俊也さんの頭の中は、お嫁さんのことしかない。
スケベしかないとも言えるけど。
そして頭の中には、私のことも入ってる。
それでいいよ。
お母さんは勘弁してあげて。
お父さんがかわいそ過ぎ。
お母さんも結構つらいんだよ」

「フミ!」
 弥生は半笑いで叱った。

別に隠そうとは思わない。俊也さんに惚れちゃったこと。
もちろん、親子どんを提供する気はないけど。

こういう感情も悪くないと思っている。新鮮なときめき。

「ごめんなさいね。普段こんなこと絶対ないんだけど。フミ、どうしたの?」
 弥生が娘に聞く。

「疲れてるみたいだから、どうしたのかな、と思っただけ」
 フミはごまかす。

「試験は合格?」
 俊也は苦笑して聞く。

「俊也さん、もしかして見えちゃうの?」
 フミは驚いて聞く。

「見えないよ。君は見えたことを、ペラペラしゃべるような軽薄な子じゃない。
だとしたら、どうしてストレートに話したのか? 
見えていることを話しても大丈夫か、最終確認したかった。
俺の嫁、みんな大丈夫だから。
安心して」
 
フミは嬉しくなった。俊也さん、見えてないけど、きっちり見えてる。

すごい人だ。フミは俊也が、いっそうたくましく見えてきた。


 車は川を渡り千葉県に入る。住宅街を抜けると、水田地帯へ出た。

そのど真ん中に、怪しい雰囲気の建物が。

車はその建物を目指す。そして、その建物の中へ入り停車。

「ここよ」
 
弥生はにやにやして、後部座席を振り返る。

「もしかして、ラブホ?」
「品がなかった?」
「いや……」
 俊也は、リアクションの仕方がわからない。

「去年からの大不況でしょ? 
お得意様が破産しちゃったの。
早い話、借金の形で手に入れた。
都心からちょっぴり離れてるけど、転移魔法があるから問題ないでしょ?」

「はい。問題ありません」 

シュンヤーダ王国大使館は、千葉県の元ラブホと決定した。
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