123 / 230
123 カモねぎ?
しおりを挟む
静香の部屋。
阿部先生は正論を並べ上げ、懸命に静香を思いとどまらせようとした。
静香は終始ニコニコしてお説教を聞いていた。
「もう……。のれんに腕押しって、こういうこと言うんだ?」
さすがの阿部先生も、お説教疲れした。
「ありがとう、フーちゃん。私を思いやってることは、十分伝わってるから。
だけどあなた、肝心なことを見落としてる。
私は生きていく支えが欲しいだけなの。
今までは絵にそれを求めてた。
無名の画家を掘り起こし、世に送り出す。
私にない才能を助けたかった、ってカッコつけすぎでした。
要するに、絵に逃げてたの。
祖父は私が一番かわいいの。
私の夫に会社を任せたいの。
あんなでかい企業背負える男なんて、私は付き合いきれない。
かといって、たとえば無名の画家を選んじゃったら、今度は祖父が許さない。
俊也君には、あの祖父でも手が出せないの。
ただ、彼を独占することはできない。
唯一の妥協策が彼の子供を産むことなの。
幸い生活には困らない。
両親や祖父にも、私の子供の顔が見せられる。
つまり、いいことづくめ」
阿部先生こと、阿部芙蓉は一気に脱力した。
俊也さんは、ほぼ正しく静香さんの悩みを見抜いていた。
「シングルマザーですよ? 本当にそれでいいんですか?」
フーちゃんは、最後の抵抗を試みた。
「あなた、相変わらず男を見る目がない。
あの人が私と子供を、見捨てられるはずないでしょ?
絶対通ってくる。
子どもは、あの人をつなぎとめる意味もあるの。
この絵を見て」
そう言って静香は、寝室の引き戸を開けた。
壁という壁には、ぎっしりと絵が飾られていた。それらの絵は、あちらの世界に返却する予定だが、まだ飾られたままだった。
「みんな俊也君のお嫁さんよ。一番新しいミネットちゃんと、絵が売れたローランちゃん、ルマンダさん、こっちの世界のカナちゃんはいないけど。
普通の方法で対抗できると思う?」
フーちゃんは、絵に圧倒された。
確かに……。だけど……、
「中学生くらい? 下手したら小学生くらいの女の子がいるじゃないですか!
朝陽ちゃんの言ってたこと本当だったんだ。
幼女から熟女まで……。熟女は……」
「熟女はルマンダさん。この絵の作者。
幼女はエンランちゃんとマサラちゃん。二人は三十五歳だと聞いたけど。
確かに見た目だと少し早いね」
「はあ?」
「その様子だと多分気づいてないね。
俊也君の別の姿は、シュンヤーダ・ガターオ。
シュンヤーダ王国の国王様なのだ!」
「あ~! この子、あの時の!」
フーちゃんは、ユーノの肖像画を指さす。
「そうよ。ユーノちゃん。もう一人のローランちゃんは、さっき言ったとおりセールドアウト。
シュンヤーダ。俊也だ。
ガターオ、青形のアナグラム。
ちょっぴりひねりが足りないかな?」
フーちゃんは、カーペットにペタンと座りこんだ。
実はフーちゃん、レジ形態の大ファンだった。
あんなケモノに抱かれてみたい! 的な?
今までフーちゃんが付き合ってきた三人の男は、一様に草食系だった。
「で、そんなによかったんですか?」
フーちゃんは、つい聞いてしまった。今まで何度か経験したが、よかったと言えない。
「下手な男に、十五人も虜になっちゃうわけないでしょ?
十六人目も予約済みだし。
そしておまけに……」
静香はTシャツをがばっと脱いだ。
「どうよ! このお肌。触ってみ」
「え~っと……。いいんですか?」
「いいよ~」
フーちゃんは恐る恐る静香の肩をなでる。
つるん……。
わ~お! もちもちすべすべや~!
「どこのエステですか? 教えて下さい!」
フーちゃんは、ただちに食いついた。
今日会った瞬間から感じていたことだ。
静香さん、ほとんどノーメークなのに超若々しく感じられる。
「俊也君に抱かれたらこうなっちゃう。
特に中出しは超効果的なんだって。
なにせガンや、医者が見放した心臓病まで治しちゃうんだから。
なめるだけで」
「うそ~……」
「見て見て」
そう言って、静香はブラをずりあげた。
「乳首と乳輪の色! 色素が沈着してたのに十代乳首でしょ?
うふ…半分ジョークで頼んだら、マジでこうなっちゃいました!」
「万能?」
「まさに万能。コンタクト、今入れてないんだよ!
近視と乱視も治っちゃった!
魔力があったら、俊也君とセックスするだけで寿命が延びるらしい。
たとえば、この幹部三人、同級生だけど、何歳だと思う?」
静香はルラ、エレン、フラワーを指し示す。
「どう見てもハイティーンですね? 十六、七?」
フーちゃんは、さっき聞いたエンランとマサラの年齢から考えた。
きっともっと上だろうと思ったが、見たままの感想を述べた。
「なんと五十歳! 残念ながら私は魔力ゼロらしい。生きられてもせいぜい百ぐらい?
まあ、それは仕方ないよ。
死後はこの人たちに子供を押し付けちゃう」
フーちゃんは大きくため息をついた。
絶対本当のことなのだろう。
だけど、絶対信じられない。信じられるわけがない。
「ここで聞いたこと、もちろん絶対秘密だよ。
話したとしても、正気を疑われるだけだろうけど」
静香は、いたずらっぽくフーちゃんに笑いかける。
「どうして話したんですか?」
フーちゃんは、投げやり気味に聞いた。
「だって、誰にでも話せる話じゃないでしょ?
だけどさ、話せる人には絶対話したかったの。
うらやましい?」
フーちゃんは、こくんとうなずいた。
「何だったら、おっぱい触ってみる?」
静香のおっぱいは、どんなもんだい、と、さらされたままだった。
「要するに自慢したかったんですね!」
「そうなの~! 鴨がネギしょってメールしてきた。
おいしく調理するしかないでしょ!」
フーちゃんは、女の友情の、はかなさを痛切に感じていた。
阿部先生は正論を並べ上げ、懸命に静香を思いとどまらせようとした。
静香は終始ニコニコしてお説教を聞いていた。
「もう……。のれんに腕押しって、こういうこと言うんだ?」
さすがの阿部先生も、お説教疲れした。
「ありがとう、フーちゃん。私を思いやってることは、十分伝わってるから。
だけどあなた、肝心なことを見落としてる。
私は生きていく支えが欲しいだけなの。
今までは絵にそれを求めてた。
無名の画家を掘り起こし、世に送り出す。
私にない才能を助けたかった、ってカッコつけすぎでした。
要するに、絵に逃げてたの。
祖父は私が一番かわいいの。
私の夫に会社を任せたいの。
あんなでかい企業背負える男なんて、私は付き合いきれない。
かといって、たとえば無名の画家を選んじゃったら、今度は祖父が許さない。
俊也君には、あの祖父でも手が出せないの。
ただ、彼を独占することはできない。
唯一の妥協策が彼の子供を産むことなの。
幸い生活には困らない。
両親や祖父にも、私の子供の顔が見せられる。
つまり、いいことづくめ」
阿部先生こと、阿部芙蓉は一気に脱力した。
俊也さんは、ほぼ正しく静香さんの悩みを見抜いていた。
「シングルマザーですよ? 本当にそれでいいんですか?」
フーちゃんは、最後の抵抗を試みた。
「あなた、相変わらず男を見る目がない。
あの人が私と子供を、見捨てられるはずないでしょ?
絶対通ってくる。
子どもは、あの人をつなぎとめる意味もあるの。
この絵を見て」
そう言って静香は、寝室の引き戸を開けた。
壁という壁には、ぎっしりと絵が飾られていた。それらの絵は、あちらの世界に返却する予定だが、まだ飾られたままだった。
「みんな俊也君のお嫁さんよ。一番新しいミネットちゃんと、絵が売れたローランちゃん、ルマンダさん、こっちの世界のカナちゃんはいないけど。
普通の方法で対抗できると思う?」
フーちゃんは、絵に圧倒された。
確かに……。だけど……、
「中学生くらい? 下手したら小学生くらいの女の子がいるじゃないですか!
朝陽ちゃんの言ってたこと本当だったんだ。
幼女から熟女まで……。熟女は……」
「熟女はルマンダさん。この絵の作者。
幼女はエンランちゃんとマサラちゃん。二人は三十五歳だと聞いたけど。
確かに見た目だと少し早いね」
「はあ?」
「その様子だと多分気づいてないね。
俊也君の別の姿は、シュンヤーダ・ガターオ。
シュンヤーダ王国の国王様なのだ!」
「あ~! この子、あの時の!」
フーちゃんは、ユーノの肖像画を指さす。
「そうよ。ユーノちゃん。もう一人のローランちゃんは、さっき言ったとおりセールドアウト。
シュンヤーダ。俊也だ。
ガターオ、青形のアナグラム。
ちょっぴりひねりが足りないかな?」
フーちゃんは、カーペットにペタンと座りこんだ。
実はフーちゃん、レジ形態の大ファンだった。
あんなケモノに抱かれてみたい! 的な?
今までフーちゃんが付き合ってきた三人の男は、一様に草食系だった。
「で、そんなによかったんですか?」
フーちゃんは、つい聞いてしまった。今まで何度か経験したが、よかったと言えない。
「下手な男に、十五人も虜になっちゃうわけないでしょ?
十六人目も予約済みだし。
そしておまけに……」
静香はTシャツをがばっと脱いだ。
「どうよ! このお肌。触ってみ」
「え~っと……。いいんですか?」
「いいよ~」
フーちゃんは恐る恐る静香の肩をなでる。
つるん……。
わ~お! もちもちすべすべや~!
「どこのエステですか? 教えて下さい!」
フーちゃんは、ただちに食いついた。
今日会った瞬間から感じていたことだ。
静香さん、ほとんどノーメークなのに超若々しく感じられる。
「俊也君に抱かれたらこうなっちゃう。
特に中出しは超効果的なんだって。
なにせガンや、医者が見放した心臓病まで治しちゃうんだから。
なめるだけで」
「うそ~……」
「見て見て」
そう言って、静香はブラをずりあげた。
「乳首と乳輪の色! 色素が沈着してたのに十代乳首でしょ?
うふ…半分ジョークで頼んだら、マジでこうなっちゃいました!」
「万能?」
「まさに万能。コンタクト、今入れてないんだよ!
近視と乱視も治っちゃった!
魔力があったら、俊也君とセックスするだけで寿命が延びるらしい。
たとえば、この幹部三人、同級生だけど、何歳だと思う?」
静香はルラ、エレン、フラワーを指し示す。
「どう見てもハイティーンですね? 十六、七?」
フーちゃんは、さっき聞いたエンランとマサラの年齢から考えた。
きっともっと上だろうと思ったが、見たままの感想を述べた。
「なんと五十歳! 残念ながら私は魔力ゼロらしい。生きられてもせいぜい百ぐらい?
まあ、それは仕方ないよ。
死後はこの人たちに子供を押し付けちゃう」
フーちゃんは大きくため息をついた。
絶対本当のことなのだろう。
だけど、絶対信じられない。信じられるわけがない。
「ここで聞いたこと、もちろん絶対秘密だよ。
話したとしても、正気を疑われるだけだろうけど」
静香は、いたずらっぽくフーちゃんに笑いかける。
「どうして話したんですか?」
フーちゃんは、投げやり気味に聞いた。
「だって、誰にでも話せる話じゃないでしょ?
だけどさ、話せる人には絶対話したかったの。
うらやましい?」
フーちゃんは、こくんとうなずいた。
「何だったら、おっぱい触ってみる?」
静香のおっぱいは、どんなもんだい、と、さらされたままだった。
「要するに自慢したかったんですね!」
「そうなの~! 鴨がネギしょってメールしてきた。
おいしく調理するしかないでしょ!」
フーちゃんは、女の友情の、はかなさを痛切に感じていた。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!
SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、
帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。
性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、
お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。
(こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)
【R18】聖処女騎士アルゼリーテの受難
濡羽ぬるる
ファンタジー
清楚な銀髪少女騎士アルゼリーテは、オークの大軍勢に屈し、犯されてしまいます。どんなに引き裂かれても即時回復するチート能力のおかげで、何度でも復活する処女を破られ続け、淫らな汁にまみれながらメスに堕ちていくのです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】
ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。
※ムーンライトノベルにも掲載しています。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる