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86 タコだよ、タ・コ!

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 戦いを終えた後、宿の食堂でメンバーは一息つく。

狩猟に慣れたメンバーは、昼食も夕食も普通に食べられた。

回復系中心のローランやエンランは、まるで食欲がわかない。

珍しく生物に攻撃魔法を使ったから。しかも中距離で。

ローランは、米と梅干しを持ってきてよかったと、つくづく思う。

俊也におにぎりを作ってもらい、のりを巻いたら不思議においしくいただけた。クエン酸が食欲をそそるとか。
インスタントみそ汁もいける。フリーズドライという製法らしい。

あちらの世界でも、科学技術という魔法は、相当発達している。

俊也さんは、あちらの製品を館以外ほとんど門外不出としている。

例外は今回のように遠征するとき。ラーメンやスープ類は、お湯だけで食べられる。
しかも「料理の呪い」がかかっている嫁でも失敗がない。

全くすごいと思う。

ぱくん……。お~、炊きたてのご飯、最初は一口かじって吐き出した梅干し、黒い紙だとしか見えなかった味付けのり。いける!

「いいんだけど、それ五個目だよ。大丈夫? あの六人がいるから、米の仕入れのために、転移するのもあれだし。
二度目に炊いたやつも、それで最後だし。
いや、いいんだよ。
もちん喜んで食べてもらって、俺もうれしいんだけど……」
 エプロンをつけ、頭にターバンを巻いた俊也がぶつぶつ。

「食欲がわかなくて」と、青い顔をして言うローランやエンランを見かね、俊也はご飯を炊いた。

炊飯ジャーの消費電力は、気にする必要がなくなった。
俊也苦心の作、ポータブル発電機のエネルギー源を、大量に手に入れたから。

だが、肝心の米が心細くなった。「苦労性」にクラスチェンジした俊也はおろおろ。

古いアメ車なみに燃費の悪い、ブルーに見つかってしまった。

いやね、ローランやエンランは、お昼、飲み物だけだったし、夕食も無理気味だったから、五個ずつくらいならいいと思うけど……。

あんた、ローランとエンランの分まで食べてたでしょ。

「ボス、なくなっちゃった。おかわりが炊けたら教えて」
 ブルーは力士のように、パンパンとお腹をたたき、馬車にもぐりこんだ。


「俊也さん、ごちそうさまでした」

「とっても美味しかったです。ほんと助かりました」
 ローランとエンランは、気の毒そうな目で、馬車に帰った。

というのも、最高級のはずの宿屋は、『最高級』という名の宿屋だった。
見た目少し変かな、とは思ったんだよね。

だけど、みんな旅慣れてないし、宿のグレードなんてよくわかんないよね。

どんなベッドが置かれているか、なんて知らないよね? 

馬車の方が寝心地いいなんて、うう……。

結局宿屋『最高級』で宿泊するのは、拾ってきた六人だけだった。


 俊也は馬車に敷き詰めた布団に横たわり、うっとりと鑑賞。アンが、いそいそと身につけた衣類を脱いでいく。出会ったばかりのころのアンは、栄養が足りなかったのだろう。体のラインはギスギスした印象があった。それがこれ!

「これ」の指示内容を具体的に形容したら、程よい脂肪が女性らしく局所局所についている。美容魔法を自身にほどこしているのかもしれない。

こことここと、ここここ!
 つまり、二つのおっぱいとお尻に、うっとりする曲線が実現。お肌も触れたら指に吸い付くような錯覚をもたらす。それは俊也の魔力の恩恵だけではないと俊也は分析している。

つまり、俊也を取り込みたいという強烈な思い。それが彼女独自の魔法と相まって、超攻撃的な魅惑ボディーを実現させた。

 とにかく! 理屈抜きで全身がエロいのだ! 

 傾城とは、彼女のための言葉かもしれない。

「アン、今日は色々頑張ってくれた。
ありがとう。
おいで」
 俊也は掛布団をまくってアンを誘う。

「はい」
 アンは、ややハスキーな色っぽい声で応え、裸体を俊也の隣に滑り込ませる。

 俊也はすかさずハグ。

アンは思う。私は一人で必死に生きてきた。そして、今、頼っていい男の腕の中に。絶対この腕の中から離れない。

 アンが全身で密着してくる。アンの弾性に満ちた双丘は押しつぶされ……、なんか吸い付いてない? 俊也はふとそう感じた。

 試みに胸を少し離してみる。

 錯覚だったようだ。でっぱってるおっぱいが、吸盤みたいに吸い付くわけないよね……。

 俊也は再び胸を合わせ、キス攻撃。

 うっ……。やっぱりチューでも、吸い付いてる感覚が……。

 俊也はすでに潤い始めたアンのダンジョンに、さきっぽだけ入れてみる。

 やぱり吸い付いてるよ! アンは、また独自の魔法を開発したようだ。魔法、とういよりスキル?

 俊也は密かに「タコのアン」という二つ名を与えた。もちろん吸盤つきという意味で。実際物理的に吸い付いているわけでない。

 だがしかし! 絶対吸い付いてるよ!
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