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31 クーデター未遂事件の後始末
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マーフィー将軍は、リラーナ宰相の執務室に呼び出された。使者の言葉に従い、将軍はゲイン参謀長を伴って、宰相執務室に入った。
将軍は思わず眉をひそめた。宰相の他、ダイニー侯爵とシャネル侯爵が室内にいた。
ちなみに、この三人はイスタルト三大貴族と呼ばれ、政治・経済の実権を握る存在だ。公務多忙のため、領地経営は嗣子に任せ、ほとんど王都で暮らしている。
ヤバ……。将軍は脇の下に嫌な汗がにじむのを感じた。
「将軍。実に困ったことになった」
宰相が苦渋に満ちた表情で言う。
「今朝、フラワーからこれが送られてきた。知っていると思うが、私はフラワーを巫女の一人として捧げた」
そう言いながら、シャネル侯爵は十葉の写真を将軍に渡す。
猫又ナイトが、念写したデータを印刷したものだ。
将軍はなんだろうと思いながら、その写真を次々と見る。
将軍は心臓が止まるかと思った。例の貴族暗殺の現場と、俊也たちを尾行する男たちがはっきり写っていた。
暗殺者と尾行者の顔も、明瞭に写っており、同一人物だとわかる。
「ゲイン参謀長。モール伯爵の『不幸な』事故に巻き込まれた市民が、どうなったか知っているか?」
ダイニー侯爵が、ゲインに向かって冷やかに言う。
「存じませんが……」
ゲインは、身構えつつ答える。将軍は何を見せられた? そして、ダイニーは何が言いたいんだ?
「馬にはね飛ばされた娘は、翌朝傷痕一つ残らず回復していた。
美人だったことが幸いしたようだ。
そして、軽傷を負った男たち数名の枕もとには、金貨が残っていた。
怪我はそのままだったそうだが。
感謝することだな。
お前の手の者がしでかした尻ぬぐいを、誰かがやってくれたということだ。
手下はさそりのローレンツ、というそうだな?」
ダイニー侯爵は、薄く笑って言う。
「ゲイン! あれほど言っただろ! あの魔導師と巫女たちに、今後一切関わるなと」
真っ青になっていたマーフィー将軍は、顔を真っ赤に怒らせてゲインをどなりつけた。
「将軍! あの魔導師は王国にとって脅威です!
目を離すわけに参りません!」
ゲインは精一杯虚勢を張って応える。隙があったら殺せ、と命じたことは、もちろん絶対口に出せない。
「マーフィー、その写真を見せてやれ。
お前の命令に背いた結果が、どんな事態を引き起こすか、ゲインにもわかるだろう」
宰相が、マーフィーを冷たくにらんで命じる。
「ゲイン、例の魔導師は、お前が想像している以上に恐ろしい男だ。
これをみろ!」
将軍は写真をゲインに突きつける。
「これは……」
ゲインは茫然として写真を見る。
「巫女たちが一晩かかって、どうにか魔導師をなだめた。
ただし『次はないぞ』とのことだ。
マーフィー、王都を守るため、どうするべきかわかっているな?」
宰相が念を押す。
「心得ました。
ゲイン、すぐさま尾行を解け。
わしは将軍職を退く。
お前の家族の今後は、できるだけのことをする」
つまり、尾行解除を命じたら、自害しろと?
将軍の言葉の裏に気づき、目の前が真っ暗になったゲイン参謀長だった。
クーデター未遂事件の真の首謀者、ゲインの未来は閉ざされた。
王都のとある民家。
その家の一人娘は、着替えのため上半身裸になり、悩んでいた。
どうして? 異様にお肌がきれい。
馬車の暴走に巻き込まれ、大けがを負ったことは覚えている。
それ以降の記憶がない。ただ、「痛い」という言葉では、とても追いつかないような、苦痛があった印象は残っている。
それが、一晩寝たら、傷跡一つ見当たらない。
奇跡が起こったのだ。
その奇跡には、おまけがあった。全身お肌の張りと艶。
まるで貴族のお嬢様のお肌? それ以上かも……。
おまけといえば、もう一つ。目覚めた後も、しばらく冷めなかった余熱?
あれはなんだったのだろう?
じゅん、じゅわ~~~。
やだ、あそこが熱くなる……。
お嬢さんは片乳と、お嬢さんのお嬢さんを抑え、しゃがみこんだ。
将軍は思わず眉をひそめた。宰相の他、ダイニー侯爵とシャネル侯爵が室内にいた。
ちなみに、この三人はイスタルト三大貴族と呼ばれ、政治・経済の実権を握る存在だ。公務多忙のため、領地経営は嗣子に任せ、ほとんど王都で暮らしている。
ヤバ……。将軍は脇の下に嫌な汗がにじむのを感じた。
「将軍。実に困ったことになった」
宰相が苦渋に満ちた表情で言う。
「今朝、フラワーからこれが送られてきた。知っていると思うが、私はフラワーを巫女の一人として捧げた」
そう言いながら、シャネル侯爵は十葉の写真を将軍に渡す。
猫又ナイトが、念写したデータを印刷したものだ。
将軍はなんだろうと思いながら、その写真を次々と見る。
将軍は心臓が止まるかと思った。例の貴族暗殺の現場と、俊也たちを尾行する男たちがはっきり写っていた。
暗殺者と尾行者の顔も、明瞭に写っており、同一人物だとわかる。
「ゲイン参謀長。モール伯爵の『不幸な』事故に巻き込まれた市民が、どうなったか知っているか?」
ダイニー侯爵が、ゲインに向かって冷やかに言う。
「存じませんが……」
ゲインは、身構えつつ答える。将軍は何を見せられた? そして、ダイニーは何が言いたいんだ?
「馬にはね飛ばされた娘は、翌朝傷痕一つ残らず回復していた。
美人だったことが幸いしたようだ。
そして、軽傷を負った男たち数名の枕もとには、金貨が残っていた。
怪我はそのままだったそうだが。
感謝することだな。
お前の手の者がしでかした尻ぬぐいを、誰かがやってくれたということだ。
手下はさそりのローレンツ、というそうだな?」
ダイニー侯爵は、薄く笑って言う。
「ゲイン! あれほど言っただろ! あの魔導師と巫女たちに、今後一切関わるなと」
真っ青になっていたマーフィー将軍は、顔を真っ赤に怒らせてゲインをどなりつけた。
「将軍! あの魔導師は王国にとって脅威です!
目を離すわけに参りません!」
ゲインは精一杯虚勢を張って応える。隙があったら殺せ、と命じたことは、もちろん絶対口に出せない。
「マーフィー、その写真を見せてやれ。
お前の命令に背いた結果が、どんな事態を引き起こすか、ゲインにもわかるだろう」
宰相が、マーフィーを冷たくにらんで命じる。
「ゲイン、例の魔導師は、お前が想像している以上に恐ろしい男だ。
これをみろ!」
将軍は写真をゲインに突きつける。
「これは……」
ゲインは茫然として写真を見る。
「巫女たちが一晩かかって、どうにか魔導師をなだめた。
ただし『次はないぞ』とのことだ。
マーフィー、王都を守るため、どうするべきかわかっているな?」
宰相が念を押す。
「心得ました。
ゲイン、すぐさま尾行を解け。
わしは将軍職を退く。
お前の家族の今後は、できるだけのことをする」
つまり、尾行解除を命じたら、自害しろと?
将軍の言葉の裏に気づき、目の前が真っ暗になったゲイン参謀長だった。
クーデター未遂事件の真の首謀者、ゲインの未来は閉ざされた。
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その家の一人娘は、着替えのため上半身裸になり、悩んでいた。
どうして? 異様にお肌がきれい。
馬車の暴走に巻き込まれ、大けがを負ったことは覚えている。
それ以降の記憶がない。ただ、「痛い」という言葉では、とても追いつかないような、苦痛があった印象は残っている。
それが、一晩寝たら、傷跡一つ見当たらない。
奇跡が起こったのだ。
その奇跡には、おまけがあった。全身お肌の張りと艶。
まるで貴族のお嬢様のお肌? それ以上かも……。
おまけといえば、もう一つ。目覚めた後も、しばらく冷めなかった余熱?
あれはなんだったのだろう?
じゅん、じゅわ~~~。
やだ、あそこが熱くなる……。
お嬢さんは片乳と、お嬢さんのお嬢さんを抑え、しゃがみこんだ。
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