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162 俺っちのラーメン食ってみねぇ
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|『ギルド長とミティー嬢が絶賛!
新メニュー ラーメン 出血大サービス!
しょう油、ミソ、各先着三十名様 銅貨四枚(定価五枚)』
ギルド、お食事処。その立て看板の横に、屋台風のコーナーが設けられている。
ケーンは黒Tにジーンズ。旭日旗をデザインした手拭いでハチマキ。
黒Tには『働いたら負け』と、デザインされている。誰もわかるわけないので問題なし。
旭日旗アレルギーの教授もいないので、ハチマキも問題なし。
ざわ、ざわ、ざわ……。
「おい。ケーンが、また変なことやってるぞ」
「らーめんって、なんだ?」
「しょう油とミソ?」
ざわ、ざわ、ざわ、の内容はそんな感じ。
「俺っちのラーメン、食ってみねぇ」
ケーンの気分は、こだわり頑固オヤジ。腕組みしてぼそっと言う。
「ものは試しだ。
食ってみるか?」
「おう。銅貨四枚なら安い。
限定品みたいだから、早速食おうぜ!」
安いギルドで昼食を。閑散としたギルドに、たむろする冒険者たちが食いついた。
つかみはOK! 限定各三十食、二割引。かからないわけがない。
三日も経ったら、お食事処ラーメン屋台は大盛況。しょう油、ミソ各百杯限定。
混雑を嫌って、ポーションと共に食券を販売してもらうこととなった。
客は冒険者。ラーメンだけでは物足りない者も多い。
昆布締めしたタイの押し寿司、稲荷寿司。オカカ、昆布佃煮、ツナマヨのお握りを、サイドメニューとして現品提供。
ケーン的には、サバのバッテラ推しなのだが、青魚はアレルギーが怖い。タイ風の魚で代用した。
結果、一時間ほどですべて完売。
計算ど~~~り!
「お父さん、お母さん、ムーちゃん、お疲れ!」
ケーンは、ミーちゃんの両親と妹に声をかけた。ギルドお食事処の屋台は、ミーちゃん一家に任せることにした。
仕込みは、すべて夜の王宮でやってくれる。全くの素人でも、慣れが必要なのは、麺の湯切りと見栄えよいトッピング程度。
事実、三日間の特訓で、三人に任せられるようになった。
ちなみに、ミーちゃん一家の脱毛は、ケーンが全員処理した。最後に処理を行った両親だけは、着衣の上から。
「意外! 服を着たままでも大丈夫みたいですね?」
とは、ケーンの言葉。
ムーちゃん他兄弟たちは、当然裸で。
だって、服を着たままなら、服が毛だらけになっちゃうし!
ケーンの狙いはムーちゃん。ムーちゃんも、なかなかでした……。彼女をエステ処理した時、なぜだかユリの声が聞こえた、ような気がした。
『今度こそ、もう嫁つくりなさんな』
ソウデスネ……。
ライラックギルドの冒険者たちは、すべてケーンの味方。ギルド内なら、獣人一家でも安全だ。
一家は、そろってライラックに移住。ケーンは一家のために、そこそこの一軒家を提供した。
嫁のためならなんでもやっちゃう。それはケーンの確固たる信念だった。
さてと、次の展開は……。和テイスト一般化第一段階に、確かな手ごたえを感じたケーンは、新たな手を打つことにした。
コンテストまで後二か月。ぐずぐずしていられない。
リゾット王執務室。宰相ヒンデルがドアをノックした。
「入れ」
王は「薄い本」を慌てて引き出しに隠し、鷹揚に応える。その「薄い本」は、ライラックギルド長から献上されたものだ。
出所は言うまでもなくケーン。日本の一部マニア間では「触手もの」の、最高傑作と認められている逸品。
「我が王。光の神殿分院と、ライラックギルドの連名で、チャリティーバザールが申請されております。
目的は分院孤児院施設改善。
よいことだと思われますが、いかが取り計らいましょう?」
宰相が恭しく聞く。
王は思う。光の神殿とギルド?
はは~ん……。ケーンが黒幕だな。
王は知っていた。光の女神とケーンが昵懇であること。そして、ポーションや「らーめん」とやらで、ギルドに大きな恩を売っていることを。
また、「薄い本」は、ケーンが提供したとしか考えられない。なにせこの世界では、ありえない印刷製本技術。
ケーンの思惑に乗ったら「薄い本」を、もっと手に入れられるかも!
「よかろう。許可する」
王は重々しく応えた。
宰相が退出した直後。王の机の上にダンボール箱が出現。
なんだこれ? 誰がどうやって?
王は不気味に思って、護衛を呼ぼうとし、思いとどまった。
絶対ケーンのプレゼントだ!
こんなことができるのは、光の女神様か夜の女王様、もしくは女王様の息子…いや、ご令息。
王は心震わせてダンボール箱を開けた。
思った通り、どっさりと「薄い本」が入っていた。
「エロの宝箱や~~~!」
王は随喜の涙を流し、小躍りした。
新メニュー ラーメン 出血大サービス!
しょう油、ミソ、各先着三十名様 銅貨四枚(定価五枚)』
ギルド、お食事処。その立て看板の横に、屋台風のコーナーが設けられている。
ケーンは黒Tにジーンズ。旭日旗をデザインした手拭いでハチマキ。
黒Tには『働いたら負け』と、デザインされている。誰もわかるわけないので問題なし。
旭日旗アレルギーの教授もいないので、ハチマキも問題なし。
ざわ、ざわ、ざわ……。
「おい。ケーンが、また変なことやってるぞ」
「らーめんって、なんだ?」
「しょう油とミソ?」
ざわ、ざわ、ざわ、の内容はそんな感じ。
「俺っちのラーメン、食ってみねぇ」
ケーンの気分は、こだわり頑固オヤジ。腕組みしてぼそっと言う。
「ものは試しだ。
食ってみるか?」
「おう。銅貨四枚なら安い。
限定品みたいだから、早速食おうぜ!」
安いギルドで昼食を。閑散としたギルドに、たむろする冒険者たちが食いついた。
つかみはOK! 限定各三十食、二割引。かからないわけがない。
三日も経ったら、お食事処ラーメン屋台は大盛況。しょう油、ミソ各百杯限定。
混雑を嫌って、ポーションと共に食券を販売してもらうこととなった。
客は冒険者。ラーメンだけでは物足りない者も多い。
昆布締めしたタイの押し寿司、稲荷寿司。オカカ、昆布佃煮、ツナマヨのお握りを、サイドメニューとして現品提供。
ケーン的には、サバのバッテラ推しなのだが、青魚はアレルギーが怖い。タイ風の魚で代用した。
結果、一時間ほどですべて完売。
計算ど~~~り!
「お父さん、お母さん、ムーちゃん、お疲れ!」
ケーンは、ミーちゃんの両親と妹に声をかけた。ギルドお食事処の屋台は、ミーちゃん一家に任せることにした。
仕込みは、すべて夜の王宮でやってくれる。全くの素人でも、慣れが必要なのは、麺の湯切りと見栄えよいトッピング程度。
事実、三日間の特訓で、三人に任せられるようになった。
ちなみに、ミーちゃん一家の脱毛は、ケーンが全員処理した。最後に処理を行った両親だけは、着衣の上から。
「意外! 服を着たままでも大丈夫みたいですね?」
とは、ケーンの言葉。
ムーちゃん他兄弟たちは、当然裸で。
だって、服を着たままなら、服が毛だらけになっちゃうし!
ケーンの狙いはムーちゃん。ムーちゃんも、なかなかでした……。彼女をエステ処理した時、なぜだかユリの声が聞こえた、ような気がした。
『今度こそ、もう嫁つくりなさんな』
ソウデスネ……。
ライラックギルドの冒険者たちは、すべてケーンの味方。ギルド内なら、獣人一家でも安全だ。
一家は、そろってライラックに移住。ケーンは一家のために、そこそこの一軒家を提供した。
嫁のためならなんでもやっちゃう。それはケーンの確固たる信念だった。
さてと、次の展開は……。和テイスト一般化第一段階に、確かな手ごたえを感じたケーンは、新たな手を打つことにした。
コンテストまで後二か月。ぐずぐずしていられない。
リゾット王執務室。宰相ヒンデルがドアをノックした。
「入れ」
王は「薄い本」を慌てて引き出しに隠し、鷹揚に応える。その「薄い本」は、ライラックギルド長から献上されたものだ。
出所は言うまでもなくケーン。日本の一部マニア間では「触手もの」の、最高傑作と認められている逸品。
「我が王。光の神殿分院と、ライラックギルドの連名で、チャリティーバザールが申請されております。
目的は分院孤児院施設改善。
よいことだと思われますが、いかが取り計らいましょう?」
宰相が恭しく聞く。
王は思う。光の神殿とギルド?
はは~ん……。ケーンが黒幕だな。
王は知っていた。光の女神とケーンが昵懇であること。そして、ポーションや「らーめん」とやらで、ギルドに大きな恩を売っていることを。
また、「薄い本」は、ケーンが提供したとしか考えられない。なにせこの世界では、ありえない印刷製本技術。
ケーンの思惑に乗ったら「薄い本」を、もっと手に入れられるかも!
「よかろう。許可する」
王は重々しく応えた。
宰相が退出した直後。王の机の上にダンボール箱が出現。
なんだこれ? 誰がどうやって?
王は不気味に思って、護衛を呼ぼうとし、思いとどまった。
絶対ケーンのプレゼントだ!
こんなことができるのは、光の女神様か夜の女王様、もしくは女王様の息子…いや、ご令息。
王は心震わせてダンボール箱を開けた。
思った通り、どっさりと「薄い本」が入っていた。
「エロの宝箱や~~~!」
王は随喜の涙を流し、小躍りした。
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