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158 家族を紹介する

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 ケーンが指示した、超じみ~な特訓継続中。

 マリアとアリスは、ケーンが用意した、三つの素材をにらみつける。手に取って、素材の特色を肌で感じる。
 ケーンの指示を、忠実に実践しているのだが……。

「ケーン、一つ聞いてよいか?」
 マリアが、ぽつりと言った。

「いいよ。何?」

「この衣装に、何か意味はあるのか?
全然運動せんけど」

「俺の好み?
気にしないで」

 がっくりとうなだれる、マリアとアリスだった。

「それで、この訓練をいつまで続ければよいのじゃ?」
 マリアが聞く。アリスもコクコクとうなずく。

「五六年も続ければ、ものになるかな?」
 ケーンが答える。

「五六年!」
 マリアとアリスが、声をそろえて叫ぶ。

「いい言葉を教えよう。
継続は力なり。
毎晩寝る前に、十分間は必ず行うこと」
 ケーンは声を大にして諭す。

勇者補正がある総子は、一か月でこの身体強化術を完全に身につけた。キキョウは幼いころから、コーガの里独自の身体強化術を、研鑽してきた。被召喚者子孫の資質も相まって、理論的に原理を説明したら、二週間で完璧にこなした。

 ユリは、「あほらし」の一言でパスしたけど。

 悲しいかな、マリアとアリスは、あくまでもノーマル人族の域を出ない。
 五六年は大げさかもしれないが、焦ってもろくな結果を生まないというケーンの判断だった。
 ケーンは、こと嫁に関しては結構考えているのです。


 夜の王宮。ケーンとレミの間に生まれた子は太郎。メイが産んだ子は次郎と名付けられた。
 まだ首も座ってない二人の乳児は、ラグビーボールのように大人間でパス回しされている。

 ミレーユから、竜族のメイサに太郎がパスされた。
「おう、よしよし。
太郎はよい子だ。
私のおっぱい、吸ってみるか?」
 メイサもハンドリングに慣れてきた。最初は壊れそうな気がして、おっかなびっくりだったが。
 太郎がふにゃ~っと笑いかけてきた。少し視力がはっきりし始めたころだろう。
 体重も少し増えたか。会うたび成長が実感される。

「おう! 笑った!
さすがケーンの息子!」
 メイサは、ぼろんと片乳を出してみる。
 
 太郎は気づかない。

「おお、父親とは違って、母親一筋とな?
レミ」
 半時間ぶりに太郎が、母親の腕に帰ってきた。

少し早いけど……。レミが片乳を出し、太郎の口元に乳首を持っていく。
母乳の匂いを感じたのか。太郎がおっぱいを吸い始めた。

んく、んく……。

「私もできているとよいのだが」
 メイサは子作りトライアルの真っ最中だ。

「診てみましょうか?」
 ミレーユが聞く。

「はい! お願いします」
 メイサは、出したままのおっぱいをミレーユに突き出す。

「おっぱいではわかりませんよ」
 ミレーユは苦笑していう。

「ハハハ……。ですよね~~~!」
 脳筋竜族女は頭をかく。彼女のイメージでは、子供即おっぱいだったから。
ケーン即おっぱいは、不変かつ普遍の真理だが。

 ミレーユが、メイサの下腹部に手をあてる。
「おめでとう。
着床してます。妊娠してますよ」

「マジで?」

「はい。マジです」
 ミレーユは、少し寂しそうな笑顔で言う。

ケーンに三番目の子が授かることとなった。


珍しく満面の笑顔を浮かべていた、夜の女王の子宮では……。

『ケンイチ、また孫ができたそうだぞ』

『ああ、ケーンは俺より甲斐性があるからな。
サーシャ、お前もそろそろ外に出たらどうだ?』
 ケンイチの臆病魂が言う。

『私が出て行って、寂しくないか?』
 サーシャの魂の片割れが言う。

『サーシャ、お前はもう大丈夫だ。
マリアンヌ』

『はい。あなた』
 女王は、ケンイチの呼びかけに応えた。


ケーンは身体強化魔法の特訓を切り上げ、マリアとアリスを伴い、夜の王宮へ転移。

「かあちゃん、この二人も嫁にしたから!
二人とも駆け出しの冒険者だから、例のクエストには連れて行かない。
そこんとこよろしく!」
 ケーンは、どや顔で二人を紹介する。

 いきなり『家族を紹介する』と、ケーンに言われ、どぎまぎしていた二人は、あっけにとられていた。
 アリスは、ケーンが夜の女王の息子だと聞いていたが、マリアは全くの寝耳に水。

「ケーン…、いや、ケーン様。
どうして何も言わなかったのじゃ!
言わなかったのですか?」
 マリアは猛抗議。夜の女王様は、人族の王よりはるかに権威は高い。
 前もっての心構え、というものが必要でしょうが! それに、嫁として初めて紹介されるのに、この格好はないでしょ!
 元伯爵令嬢的に、身の置き所がないほど困惑していた。

「知らなかった?
そうなんだ?
で、嫁になるのやめる?」
 ケーンはちょっぴり意地悪。

「そんなこと、言ってないのじゃ!
お主と、別れられるわけがなかろう?
のう? アリスよ」
 マリアに振られたアリスは、猛烈な勢いで首肯する。

「二人とも、よくぞ我が息子の、嫁になってくれました。
見たところ、二人とも人族としては、相当の器を持っているようです。
ケーンの母親として歓迎します」
 夜の女王は、深く頭を下げる。

「畏れ多いことです。
ケーン様には、一生添い遂げる覚悟。
よしなにお導きくださいませ」
 さすが元伯爵令嬢。マリアはハイソな礼を尽くす。体服ブルマでは、格好がつかないが。アリスも慌ててマリアに倣う。

「ケーンのオタク趣味、あきらめて付き合ってください。
そのうち慣れると思いますから」
 夜の女王は、苦笑してちょこんと頭を下げる。

マリアとアリスの装備は、白の半そで体操服と、ブルマのままだった。

たしかにロリ巨乳と、純朴JK風の二人には、似合い過ぎているけど。
ただし、ブラを着けさせていないのは、どうかと思う。おっぱいと、ポチンポチンの形がわかってしまう。

まあ、ケンイチの息子だから仕方ないか……。

ごめんね、二人とも。精一杯バックアップするから。

心の中で両手を合わせる、夜の女王だった。
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