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140 とてつもなく変なやつ

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 翌朝。

 正義はケーンが取った、最高級の宿で目を覚ました。

 ダブルベッドの上では、二人の女冒険者が、まだ眠っている。隣のセミダブルにも二人。

もちろん皆さん裸だ。

 正義は、ぼ~っとした頭で思う。どうしてこうなった?

 ご想像通り、正義は四人の女冒険者に筆おろしされた。腰が抜けるほど筆おろしされた。筆が折れるのではないかと思うほど、おろされた。

 正義は、ケーンが四人のうちの誰かを、お持ち帰りすると想像していた。

 正義が、四人にお持ち帰りされた。

 抵抗できなかった。

 よかった……。死ぬほどよかった。

 正義は思う。俺の人生、あいつに変えられちゃったかな?

 少なくとも、これだけは身に染みてわかった。女は決して弱い生き物じゃない。


 正義は四人の女冒険者と共に、一階へ降りた。

正義が、若干落胆したのは、彼女たちが実にケロッとしていることだった。

 ゆうべはあんなに燃えたのに……。

「セイギ、ゆうべは楽しかった。
またな」
 リーダーが、正義のほっぺたにちゅっ!

「気が向いたら、エッチしよう」
 ちゅっと、おっぱいはワリンちゃんのマリンちゃん。

「あのさ、俺を君たちのパーティに……」
 正義がそう言いかけたところ、リーダーは首を振ってこう答えた。

「ケーンが教えてくれた。
あんた、勇者なんだろ?
私たちは勇者と、パーティを組める器じゃない。
じゃ!」
 リーダーはメンバーを促し、宿を出て行った。


 正義が呆然と見送っていると……、背後から肩を叩かれた。

「正義、ダンジョンへ行くぞ。
クオークは、まだお前には早い」
 正義はうなずいた。一週間、こいつのペースに巻き込まれてみるか。


 ケーンと正義は、ダンジョン入り口に跳んだ。

 ゴブリンダンジョン。通称ゴブダン。初心者から一人前の冒険者へ卒業するため、ちょうどいい感じに、ヒカリちゃんが調整している。

 名前の通り、そのダンジョンは、ゴブリンしか出てこない。

 一階層は、単独のゴブリンで肩慣らし。

ただし、出現頻度は超高い。もたもたしていたら、わんこそばのように、お代わりが次々と。

 二階層は、二、三頭のゴブリンが、およそ五分間隔で出現する。

 三階層は、ゴブリンソルジャーに、メイジやアーチャーが混じる。

 四階層は、ゴブリンジェネラルが率いる、各種ゴブリンが五、六頭。

 各種ゴブリンの群れが出現する、最下層五階。最奥部には、ゴブリンキングが待ち受けている。

「……という感じ。
さあ、張り切って参りましょう!」
 ケーンの説明を受け、正義はためらう。

「このダンジョン、二人でこなせるものなのか?」
 正義は、素朴な疑問をぶつけてみた。

「何をバカなこと言ってる!」

「そうか、二、三頭なら自信はあるんだが、ダンジョンのゴブリンは弱いのか」

「ソロでこなすんだよ! 
死んだら任せておけ。
ちなみに、ダンジョンのゴブリンは、フィールドより強い」

 そんなアホな……。正義は逃げ出したくなった。このダンジョンがどの辺に位置するのか、知らないから多分無理だけど。


 ヒー、ヒー、ヒー……。正義は肩で息をする。やっと一階層のセーフティーゾーンに到達。

 最初は余裕で、次々とゴブリンをなぎ倒した。二十頭ほど倒したら、ほとんど無意識で剣を振るえた。

 ところが、次第に疲労が蓄積する。刃筋が乱れ始め、一撃では倒せなくなった。お代わりが次々と押し寄せ……。
 
 やられた! いてぇ~! 

あれっ? 回復してる?

 多分、ケーンが回復魔法をかけてくれたのだろう。痛い、という感覚だけが残り、傷は直ちに治っていた。

 ついでに、体力も回復してくれたらいいのに、と正義は心の中でブーイング。
女神官の回復魔法はそうだった。

 体力はそのままで、傷だけを治す。多分、そちらの方が高度だ。

 本当にこの男、何者なんだ?

 正義は恨みの籠った目で、ケーンを見上げる。


「ケーン、お前の回復魔法、神聖魔法なのか?」
 正義はそう聞いてみる。

「違うね。闇魔法だ。
一般に知られている回復魔法は三通り。
神聖魔法、水属性の魔法、エルフの回復魔法。
一番強力なのが神聖魔法。
それはおなじみだろ?
聖神女か光の神殿関係者しか、使えないことになってる。
俺は使えるけどね。
水属性やエルフの魔法は、即効性がない。
一部高位魔族や俺が使う闇魔法は、神聖魔法に匹敵する。
少々内臓や脳が傷んで死んでも、お花畑から引きずり返す。
お花畑、すてきなところだぞ。
いっぺん死んでみる?」

 なんだよ! そのサディスティックな微笑!

 お前は地獄少年か!

正義は、がっくりとうなだれた。


神聖魔法も闇魔法も使える? いわば水と油が、きれいに混じっている? 
いや、それはありえない。分離したままで使い分けるんだ?

正義は、いよいよケーンの正体が、わからなくなった。

「ケーン、マジで答えてくれ。
お前、何者なんだ?」

「俺は夜の女王の息子。
父ちゃんは、元勇者のケンイチだ」

 正義は納得した。噂にしか聞かない夜の女王。その息子なら、得体のしれないケーンの能力も納得できる。

「どうして俺に肩入れする?」
 正義は、どうしても納得できない疑問をぶつける。

夜の女王は、人族や魔族も不可侵の存在である反面、永世中立を守っていると聞いている。

「身内へのえこひいきは許される。
ヒカリちゃんが、俺の嫁だからだよ」
 
「ヒカリちゃん? 光の女神様のこと?」
 正義は、以前ケーンが、光の女神に依頼されたと聞いていた。教会かシャドーを通してだろうと、聞き流していた。

 嫁? どういうこと?

 光の女神様は、純精神体のはず。天上界では、まぶしすぎてよく見えなかったけど。

正義には理解不能だった。


とりあえず正義は理解した。

ケーン、とてつもなく変なやつ!
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