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134 ケーン単身出張
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キキョウの家での作戦会議。議題は残る不良ドラゴンをどうするか。
シャドーから得られたドラゴンの情報は、まさに雲をつかむようなものだった。
オスマック高原とガーランド峡谷。最終的な目撃情報は古く、近郷に被害は出ていない。
五十年以上休眠状態でいると推定できる。
問題は、その休眠が明けた時。一番危険な状態だ。
「まずオスマック高原に行こうと思ってる。
直近の目撃情報が五十三年前。
休眠しているとしたら、開けは近いと推定できる」
ケーンは集合した嫁たちに言う。
今回の討伐隊は、ジャンヌに代わってテレサが加わる。他は前の通りのメンバーだ。
「ケーン、ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
ヒカリちゃんのテレサが、遠慮がちに言う。
ケーンや嫁たちは思う。珍しい……。なんでもずけずけ言うのが、ヒカリちゃんのカラーなんだけど。
最高神だし……。
「いいよ。何?」
ケーンが聞く。
「総子のお代わりで召喚した勇者なんだけど、なんていうかさ、人望がないの。
もちろん、悪い男じゃないのよ。
基礎能力は、ばっちりなんだけど、正義感がありすぎ?
融通が利かないというか、細かすぎるというか……。
ケーンと正反対の男だとイメージして」
「つまり、教会や諸国首脳と、そりが合わへん?」
ユリが代表して聞く。
「そうなの。付けた女神官と喧嘩別れ。
彼女がパーティに選ぼうとした、トリプルSの冒険者が、女好き属性。
やり逃げ上等?
もちろん、その冒険者は、女を切る時、金銭的な手当てを十分施してるし、お金がもらえたらOKタイプを選んでる。
それでも、その勇者は我慢できないの。
女に夢を持ちたいタイプ?
逆に言えば、女を見下してるところがあるの」
「あ~……。それでパーティが定まらん?
軽い男はあかん。
危ないこと、女にはさせらへん。
つまるところ、いわゆるボッチ勇者か……」
ユリの言葉に、嫁たちはうなずく。
ケーンは、懐が広すぎる憾(うら)みはあるが、女が嫌えないタイプだ。
その勇者は、男女を問わず、窮屈で超付き合いにくいタイプだろう。
「で、俺にどうしろと?」
ケーンが聞く。
「パーティが組めないから、経験値が伸びない。
性格もそんなだから、ケーンに指導してもらいたいの。
ケーンと付き合ったら、少しは融通が利くようになれるでしょ?
それに、私たちのパーティと出会ったら、女でも超強い者がいること、身に染みてわかるはず。
……ダメ?」
「どう?」
ケーンは嫁たちに振る。
「お世話になっている、光の女神様の依頼です。
断れませんね?」
そう言って、キキョウが嫁たちを見る。
正妻のキキョウがOKなら、異論は挟めない。気は進まないが誰も反対できなかった。
超生真面目タイプの男が、ケーンとうまく付き合えるとは、思えないのだが……。
どんな男に対しても言えることだが、新勇者とケーンは、水と油と形容するしかないだろう。
それに、今回のミッションに、嫁は表立って参加できない。ボッチに、リア充を見せつけるわけにいかないでしょ?
夜のお相手は、転移でどうとでもなる。それに、ケーンは案外身持ちが固い。
嫁と認められる女しか抱かないという、一点だけは信用できる。
嫁たちは、ケーンの単身出張を認めるしかなかった。
シャドーから得られたドラゴンの情報は、まさに雲をつかむようなものだった。
オスマック高原とガーランド峡谷。最終的な目撃情報は古く、近郷に被害は出ていない。
五十年以上休眠状態でいると推定できる。
問題は、その休眠が明けた時。一番危険な状態だ。
「まずオスマック高原に行こうと思ってる。
直近の目撃情報が五十三年前。
休眠しているとしたら、開けは近いと推定できる」
ケーンは集合した嫁たちに言う。
今回の討伐隊は、ジャンヌに代わってテレサが加わる。他は前の通りのメンバーだ。
「ケーン、ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
ヒカリちゃんのテレサが、遠慮がちに言う。
ケーンや嫁たちは思う。珍しい……。なんでもずけずけ言うのが、ヒカリちゃんのカラーなんだけど。
最高神だし……。
「いいよ。何?」
ケーンが聞く。
「総子のお代わりで召喚した勇者なんだけど、なんていうかさ、人望がないの。
もちろん、悪い男じゃないのよ。
基礎能力は、ばっちりなんだけど、正義感がありすぎ?
融通が利かないというか、細かすぎるというか……。
ケーンと正反対の男だとイメージして」
「つまり、教会や諸国首脳と、そりが合わへん?」
ユリが代表して聞く。
「そうなの。付けた女神官と喧嘩別れ。
彼女がパーティに選ぼうとした、トリプルSの冒険者が、女好き属性。
やり逃げ上等?
もちろん、その冒険者は、女を切る時、金銭的な手当てを十分施してるし、お金がもらえたらOKタイプを選んでる。
それでも、その勇者は我慢できないの。
女に夢を持ちたいタイプ?
逆に言えば、女を見下してるところがあるの」
「あ~……。それでパーティが定まらん?
軽い男はあかん。
危ないこと、女にはさせらへん。
つまるところ、いわゆるボッチ勇者か……」
ユリの言葉に、嫁たちはうなずく。
ケーンは、懐が広すぎる憾(うら)みはあるが、女が嫌えないタイプだ。
その勇者は、男女を問わず、窮屈で超付き合いにくいタイプだろう。
「で、俺にどうしろと?」
ケーンが聞く。
「パーティが組めないから、経験値が伸びない。
性格もそんなだから、ケーンに指導してもらいたいの。
ケーンと付き合ったら、少しは融通が利くようになれるでしょ?
それに、私たちのパーティと出会ったら、女でも超強い者がいること、身に染みてわかるはず。
……ダメ?」
「どう?」
ケーンは嫁たちに振る。
「お世話になっている、光の女神様の依頼です。
断れませんね?」
そう言って、キキョウが嫁たちを見る。
正妻のキキョウがOKなら、異論は挟めない。気は進まないが誰も反対できなかった。
超生真面目タイプの男が、ケーンとうまく付き合えるとは、思えないのだが……。
どんな男に対しても言えることだが、新勇者とケーンは、水と油と形容するしかないだろう。
それに、今回のミッションに、嫁は表立って参加できない。ボッチに、リア充を見せつけるわけにいかないでしょ?
夜のお相手は、転移でどうとでもなる。それに、ケーンは案外身持ちが固い。
嫁と認められる女しか抱かないという、一点だけは信用できる。
嫁たちは、ケーンの単身出張を認めるしかなかった。
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