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68 偏った青春
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翌日。お花畑を久しぶりに見たケーンは、ユリに自宅静養を強制された。
昼前まで爆睡できた。
午後から何しようか、と昼食後切り出したら、問答無用で、後二日間の休養を命じられたわけ。
それに、なんということでしょう!
休養には、禁欲も含まれていた。二日間もエッチ抜き? そんなのムリ! と主張しても、ユリは受け付けない。
ケーンを刺激しないため、嫁たちは接触を避けるとのこと。
「なんか、つまんね~~~!」
夕方まで我慢し、ベッドの中で、ケーンはそう叫んだ。
ケーンが最も苦手にしていること。それは何もしないことだった。
久しぶりにラノベでも読んでみるか……。ケーンはアイテムボックスをあさってみる。
ふ~ん……。最近のトレンドは、ダンジョンからのネット配信なんだ?
ケーンは、驚異的な速読能力を持っている。一時間も経たないうちに、十タイトルほど読み終えた。夜の女王の遺伝子も、なかなか活躍しているのだ。
おもしろそうだけど、こっちにはパソコンもスマホもないから無理。ザマー系もなんだかな~、だし。ザマーする相手がいない。
もう少し前のトレンド「悪役令嬢系」には心ひかれる。
俺の嫁の中には、いないタイプだ。強いて言えばユリが最も近いが、令嬢タイプには程遠い。
魔王の娘が食べごろなら、最高の「悪役令嬢」なんだけど、幼女じゃね……。ジャンヌはいただいているが。
ラノベを読み漁り、そんなばかばかしいことを考えているうちに、夕食時となった。
「ケーンさん、お食事です!」
総子がノックの後、夕食を運んできた。
「ここで食べるの。俺一人で?」
ケーンは少しびっくりして聞いた。
「ユリさんが、そろそろ爆発するんじゃないかって。
切羽詰まってます?」
総子は苦笑して聞いた。ユリの知る限り、ケーンは丸一日禁欲したことがない。
少しでも刺激したら、無理でも襲ってくる、とのことだった。
よって総子は、光の女神が支給してくれた、若衆剣士スタイルで、ばっちり視線防御をしている。
「俺ってどこまで信用ないんだよ……」
ケーンは愕然とする。たしかに明日あたりには、爆発するかもだけど。
「まあ、ある意味信用があるってことじゃないでしょうか?
じゃ、ごゆっくり」
総子は盆を置いて、部屋から出ようとした。
「話し相手になってよ。襲わないから。(……多分。)
一人で飯食ってもつまんない」
「ほんとに襲わないですよね?」
「襲わない!
あのさ、総子は召喚されるまで、高校生だったんだよな?」
総子はテーブルのイスを引いて、一応腰かける。
「そうですね。ほとんど部活一辺倒の高校生活でしたけど」
「いろんなイベントがあったんだろ?
文化祭とか、体育祭、球技大会、修学旅行!」
「よく知ってますね。たしかにありました」
「一番印象に残っているのは?」
「え~っと、文化祭かな。
巻き藁をばっさばっさと真剣で。
剣道部はマイナーだけど、ヒーローになれました」
「ヒーロー?」
「くっ……。つい本音が。
男子には怖がられたっていうか……。
言わせないでください!
付いたファンは、みんな女の子でした」
「そっか~~~。うらやましい」
ケーンは、寂しそうに笑った。
そういえば、と総子は思う。ケーンさんは、学校と名がつくものに通ったことがないのだ。
周りはみんな大人の女性か、アンドロイド。アンドロイドの中にはロリ気味の子も見かけたが、おっぱいとお尻は発達していた。
幼いころは、同年輩の仲間がいなかったのだ。
「学校へ行ってみたいですか?」
「うん! 青春したい!」
総子は微笑んで、ケーンのベッドへ。
ちゅっ!
軽くほっぺに。
「青春のキスはこんなものでしょ?
ごゆっくり召し上がってください」
そう言い残し、総子は部屋から出た。
悪くない! 総子を押し倒したいという邪念が、洗われるようだった。
ケーンは、明日まで我慢することを固く決意した。
「おや?
襲われんかったんや?」
ユリは少し驚く。八割程度の確率で、なにがしかのけしからん振る舞いが、起こるだろうと予測していた。
自分かキキョウが食事を運んだら、その確率は九割以上と踏んでいた。
やはり新人には遠慮があったのかと思う。
「ケーンさん、学校生活のこと聞いてきました。
私も剣道の修行に、明け暮れてたけど、仲のいい女友達は何人もいたし」
「まあ、ケーンは、ある意味異常な環境で、生まれ育ったんや。
周りは大人の女ばっかり。
そのせいか、女の扱いは慣れとるけど、男に関しては完全にコミュ障や。
世間話も見たことない」
「男友達が、ほしいのかな?」
キキョウがぽつりと言う。
「それはないやろ!」
「それはないでしょ?」
ユリと総子は、即座に否定するのであった。
昼前まで爆睡できた。
午後から何しようか、と昼食後切り出したら、問答無用で、後二日間の休養を命じられたわけ。
それに、なんということでしょう!
休養には、禁欲も含まれていた。二日間もエッチ抜き? そんなのムリ! と主張しても、ユリは受け付けない。
ケーンを刺激しないため、嫁たちは接触を避けるとのこと。
「なんか、つまんね~~~!」
夕方まで我慢し、ベッドの中で、ケーンはそう叫んだ。
ケーンが最も苦手にしていること。それは何もしないことだった。
久しぶりにラノベでも読んでみるか……。ケーンはアイテムボックスをあさってみる。
ふ~ん……。最近のトレンドは、ダンジョンからのネット配信なんだ?
ケーンは、驚異的な速読能力を持っている。一時間も経たないうちに、十タイトルほど読み終えた。夜の女王の遺伝子も、なかなか活躍しているのだ。
おもしろそうだけど、こっちにはパソコンもスマホもないから無理。ザマー系もなんだかな~、だし。ザマーする相手がいない。
もう少し前のトレンド「悪役令嬢系」には心ひかれる。
俺の嫁の中には、いないタイプだ。強いて言えばユリが最も近いが、令嬢タイプには程遠い。
魔王の娘が食べごろなら、最高の「悪役令嬢」なんだけど、幼女じゃね……。ジャンヌはいただいているが。
ラノベを読み漁り、そんなばかばかしいことを考えているうちに、夕食時となった。
「ケーンさん、お食事です!」
総子がノックの後、夕食を運んできた。
「ここで食べるの。俺一人で?」
ケーンは少しびっくりして聞いた。
「ユリさんが、そろそろ爆発するんじゃないかって。
切羽詰まってます?」
総子は苦笑して聞いた。ユリの知る限り、ケーンは丸一日禁欲したことがない。
少しでも刺激したら、無理でも襲ってくる、とのことだった。
よって総子は、光の女神が支給してくれた、若衆剣士スタイルで、ばっちり視線防御をしている。
「俺ってどこまで信用ないんだよ……」
ケーンは愕然とする。たしかに明日あたりには、爆発するかもだけど。
「まあ、ある意味信用があるってことじゃないでしょうか?
じゃ、ごゆっくり」
総子は盆を置いて、部屋から出ようとした。
「話し相手になってよ。襲わないから。(……多分。)
一人で飯食ってもつまんない」
「ほんとに襲わないですよね?」
「襲わない!
あのさ、総子は召喚されるまで、高校生だったんだよな?」
総子はテーブルのイスを引いて、一応腰かける。
「そうですね。ほとんど部活一辺倒の高校生活でしたけど」
「いろんなイベントがあったんだろ?
文化祭とか、体育祭、球技大会、修学旅行!」
「よく知ってますね。たしかにありました」
「一番印象に残っているのは?」
「え~っと、文化祭かな。
巻き藁をばっさばっさと真剣で。
剣道部はマイナーだけど、ヒーローになれました」
「ヒーロー?」
「くっ……。つい本音が。
男子には怖がられたっていうか……。
言わせないでください!
付いたファンは、みんな女の子でした」
「そっか~~~。うらやましい」
ケーンは、寂しそうに笑った。
そういえば、と総子は思う。ケーンさんは、学校と名がつくものに通ったことがないのだ。
周りはみんな大人の女性か、アンドロイド。アンドロイドの中にはロリ気味の子も見かけたが、おっぱいとお尻は発達していた。
幼いころは、同年輩の仲間がいなかったのだ。
「学校へ行ってみたいですか?」
「うん! 青春したい!」
総子は微笑んで、ケーンのベッドへ。
ちゅっ!
軽くほっぺに。
「青春のキスはこんなものでしょ?
ごゆっくり召し上がってください」
そう言い残し、総子は部屋から出た。
悪くない! 総子を押し倒したいという邪念が、洗われるようだった。
ケーンは、明日まで我慢することを固く決意した。
「おや?
襲われんかったんや?」
ユリは少し驚く。八割程度の確率で、なにがしかのけしからん振る舞いが、起こるだろうと予測していた。
自分かキキョウが食事を運んだら、その確率は九割以上と踏んでいた。
やはり新人には遠慮があったのかと思う。
「ケーンさん、学校生活のこと聞いてきました。
私も剣道の修行に、明け暮れてたけど、仲のいい女友達は何人もいたし」
「まあ、ケーンは、ある意味異常な環境で、生まれ育ったんや。
周りは大人の女ばっかり。
そのせいか、女の扱いは慣れとるけど、男に関しては完全にコミュ障や。
世間話も見たことない」
「男友達が、ほしいのかな?」
キキョウがぽつりと言う。
「それはないやろ!」
「それはないでしょ?」
ユリと総子は、即座に否定するのであった。
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