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1話 心の支え

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「…学校はどうした?」

「…心配しなくても話が終われば、すぐに戻ります。外泊届けは出してないんで…」

書斎の扉を閉めると同時に、振り返りもせずそう聞いてきた父親に麗は、暗に…この家には泊まらない、そう告げて。

「…それより、どういう事ですか…ボ…私の許嫁が決まったって……」

「…言葉通りの意味だ。どこで見たのか先方がお前をえらく気に入ったらしくてな、今度の休みに見合いだ。後で写真と釣り書きを渡すから…」

「断って下さい」

父親の言葉を途中で遮る非礼にようやく要も麗の方を振り向く。

「断って下さい。私はまだ結婚するつもりはありません」

「…何も、今すぐ結婚しろとは言わない。何しろ今はまだお互い高校生だ。大学を卒業してからの事になる」

「…結婚相手は自分で見付けます。大体、今の時代に婚約者なんて……」

「勘違いしているようだから言っておくが、これはもう決定事項だ。お前の意思は関係ない」

話を途中で遮られるように父親に言い切られ、悔しげに唇を噛み締めた麗は、少しの間、俯いていたが…何かを決意したように顔を上げると、口を開いた。

その手は、白くなるほど握り占められ、震えている。

「…結婚は……無理です……ボクは……女性を愛する事が……できません……」

途切れ、途切れに言い切った後、麗は父親から罵声を浴びせられる事を覚悟して目を瞑る。

たが。

「…フッ…ハハハハハハ…」

覚悟していた罵声なく、代わりに聞こえてきた父親の笑い声に驚いて目を開いた。

麗は産まれて初めて聞いた父親の笑い声に、訳も分からず唖然としている。

「ハハハ…そうか…男が好きか…それなら丁度いい」

父親の、自分を見詰める瞳にゾッとした。

「…実はな、お前を気に入って欲しいと言ってきたのは先方のお嬢さんではなく…父親だ」

父親の言葉に、麗は頭を殴られる程の衝撃を受けた。

「よかったな、その綺麗な顔がやっとわしの役に立つんだ…喜べ」

父親の声が遠くに聞こえる。

「…向こうの義父に可愛がってもらえ」

自分の身体が床に沈んでしまう。

そんな気がした。

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