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超可哀想?

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「…………? どういう、事?」

「ほら、セルシア。アリクはパーティーの中で唯一の男だろ」

「そう、ね」

「だから、周りの男の冒険者たちからすれば、ハーレムパーティーの中心人物と思われるんだよ」

「ハーレム………………そう、なの?」

「いや、そんな事はないぞ」

雰囲気から察するに、それはない。
というか、まずパーティーメンバーの一人が血の繋がった兄弟姉妹なわけだから、その時点であり得ない。

「そんな事はない……よな?」

「えぇ、そんな事はないですね。将来的な話は解りませんが、それでも今のところサルネ様やリース様がアリク様に対して、そういった感情を向けてはいません」

「だよな。って訳だ、セルシア」

「……そういうもの、なんだね」

「うん、まぁ……そういうものなんだよ」

別に良い男に囲われたい欲が皆無のセルシアからすれば、なんでアリクが妬まれてるのか、ちょっと解らなくてもおかしくはないか。

「アリク様も実家にいる時と比べて成長しましたからね。そう思われる状態が、どれほど面倒なのか理解してるでしょう」

「だろうな。学園にいる頃は……普通に男子生徒と絡んでたし、多分ハンターになった今でも、同性のハンターと関わりたいって思いはあるだろうな」

今日、そこまでがっつり聞けなかったからな。
もしかして……ハンターになってから、まだ一度も男のハンターと仲良くなれてない感じか?

そう思うと………………やべぇ、本気で可哀想だな。

「急にどうしたんすか、ラガスさん。いきなり顔がしおれた? っすけど」

「……アリクがこれまで、男のハンターと一度も友達になれなかったと思うと、超可哀想だなと思って」

「ラガス坊ちゃま、それは少し話が飛躍し過ぎかと」

「いや、だって考えてみろよ。アリクの性格がガキの頃から治ったとしても、外野がアリクをどう思うかはそいつら次第だろ」

「それはそうっすね」

今のアリクからは傲慢さも、喧嘩っ早さも感じない。
元々コミュ障って訳でもないから、ハンターになっても本来であれば、同性の友達をつくることは難しくない筈。

ただ……別に惜しいことじゃないんだけど、周りのクレア姉さん達が魅力的なんだよ。

「まず、話してた通り、アリクが状況的にはハーレムなことに関して嫉妬する奴がいるだろ」

「いないとは言えませんね」

「だろ。それで、アリクがなんとか本当にクレア姉さんたちとはそういう関係じゃないんだと説明して、納得してもらったとする……すると、次はどうなると思う」

「次は…………っ、なるほど……それは、なんとも……」

気付いたか、メリル。
そうなんだよ……本当にそうなら、やっぱりアリクが超可哀想に思えてくる。

「??? なぁ、メリル。アリクさんの何がそんなに可哀想なんだよ」

「……シュラ。あなたはアリク様と共に行動しているパーティーメンバーをどう思いますか」

「どうって……強くて……め、目麗しい人達が揃ってる?」

「そうですね。あなたにしては、良い言葉選びです。仮にアリク様が周囲の男性冒険者たちにハーレムはお前たちの思い込みだと誤解が解けた……すると、誤解が解けた男たちは、次はどういった目的でアリク様に付か寄ってくると思いますか」

「目的、目的…………あっ、もしかしてアリクさんと仲良くなる為じゃなくて、クレアさんたちと仲良くなる為に近づくってことか!!!!」

「その通りです。正確には、クレア様たちに近づくために、アリク様に近づこうとするのです」

「そ、それは……それは…………キツイっつーか、心が……す、荒むって言えば、良いのか?」

アリクは……まだ二十を越えてないけど、大人と言えば大人だから、荒むっていう選択肢すらないだろうな。

とはいえ、俺より社交界に出てただろうから、人が顔の裏を読むことは俺より長けてる筈。
その思惑に気付かない訳ないってのを考えたら…………うん、とりあえず今度、一杯奢ろう。
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