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面と向かって

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「まぁ後、モンスターが全体的に強いです。他の地域に生息してる同じ個体と同程度って考えてると、痛い目にあいます」

「痛い目に、ねぇ……それは全部のモンスターが、総じて強くなってるのよね」

「はい、その通りです。ある程度の強さを知ってしまってるからこそ、逆にそこを逆手に取られる? かもしれません」

ある意味ルーキー殺し……いや、ベテラン殺しか。
カルパの外から来るハンターたちからは、そう捉えられてもおかしくないだろうな。

「なるほどな。最初からどんなモンスターが相手でも、気合入れてぶっ倒した方が良いってことか」

「……最初はその方が良いのかもね」

ぶっちゃけ、Dランクぐらいのモンスターなら、アレクたちが気合入れて倒そうとすれば割とあっさり倒せそうだけど、それぐらいの気持ちで挑んだ方が、万が一は起こらないだろうな。

「他は…………そういえば、あれだな。偶に遭遇するアンデットには、本当に気を付けた方が良い」

「アンデット系のモンスター……つまり、亡くなった優秀なハンターがアンデットになった個体ということですね」

「そうっすね。割とBランククラスになってることが多いと思うんで、注意しといて損はないかと」

レグティスたちが戦ったエルダーリッチも相当強かったけど、それ以降俺たちが個人的に遭遇したアンデットモンスターや、チラッと耳にしたそういったタイプのモンスターなど……どれも並以上の強さを持っている。

「良いね! まさに未開拓地ね!!」

「ふふ、そうね。危ないっていうのはラガスたちの話から十分解るけど、それでも探索するのが楽しみね」

……ビビり過ぎるより、危ないって解ってる上で探索意欲が十分なのは、問題無いんだろうな。

「…………なぁ、ラガス」

「なに、アレク」

「お前らなら、あそこも探索してるんじゃねぇのか」

「あそこって……あぁ~~、あそこか」

アレク……いつの間にこんなに気を遣えるように成長したんだ。

酒場で丸っと話されてしまうとバカが寄ってきそうなので、この気遣いは本当に嬉しい。

「今は、そこをメインに活動してるよ」

「やっぱりか…………そこはそこで、ヤバい場所なのか」

「ヤバい場所だね」

本当にヤバい場所だと即答するぐらい、不用意に近づいて欲しくない。

「基本的に未開拓地以上に弱いモンスターがいないし、なんて言うか……同名のモンスターであっても、大多数にはない特徴的な何かを持つモンスターもいるからな」

例を挙げるなら、筋肉の密度がおかしいオーガとかだな。
地下遺跡内だと、オーガはあれが割とデフォルトみたいなところがあるから……うん、やっぱり改めてあたまおかしい場所だよな、あそこ。

「後は、Bランクモンスターはうじゃうじゃいるし、その上もいたりするからな」

「っ……お前ら、よく無事でいられるな」

「いやぁ~~~、無事では…………いや、一応無事ではあるか。ただ、結構焦ったりすることも多いよ。でも、俺らにはルーフェイスがいるからな」

「そうですね。あの時などは、本当にルーフェイスのお陰で助かりました」

「あの時? ……あぁ~~~、あの時か。確かにそうだな。ありゃあ、ルーフェイスがいなかったら本当に不味かったな」

俺だけではなく、おそらくメリルやシュラも同じことを考えてる。

勿論、普段の探索時でも本当に助かってるけど、俺含め三人とも考えてる内容は、転移トラップでうっかり俺とセルシアが下の階層に跳ばされた時だろう。

「とにかく、そこは未開拓地以上に摩訶不思議な場所、ということなんだね」

「そういう認識で合ってるっすよ、リースさん………………ぶっちゃけ、リースさんたちには、まだそこには行かない方がって思いますね」

これは、別に酔いが回ってるから、うっかり口が滑ってしまった訳ではない。
ちゃんと……面と向かって伝えておかなければならないない思いだ。
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