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競り勝つ

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「私が、戦る」

二日酔いになった翌日、予定通り俺たちは地下遺跡? に向かい、ルーフェイスの背に乗って更に移動。

最後に探索した場所から再び探索を開始し始めてから数時間後、デス・ナイトに遭遇。
すると、直ぐにセルシアが前に出た。

「分かった」

幸いにも、デス・ナイトの数は一体だけ。
周囲に他のモンスターはおらず、トラップもない。

「…………」

「どうした、メリル。相変わらず不安そうな顔してるな」

「セルシア様は紫電崩牙を使ってませんからね」

確かに、メリルの言う通りセルシアはまだ紫電崩牙を抜いておらず、普通の雷属性の細剣を使用している。

「それはそうだな。でも、強くなる為にそうしてるんじゃないか」

「二日前の夜、セルシア様と話してたんすけど、強くなるには自分の……持ち味? と競える相手と遭遇した時は、敢えて真正面からぶつけ合う方が良い、みたいな事を話してたっすね」

「それじゃあ、今セルシアは……デス・ナイトと剣技で競い合ってるってことか」

視た感じ……武器の質では、セルシアの少し良い。
でも、大差はなさそうだから、目的通り剣技で競い合うことが出来そうだな。

「…………スピードで勝っているからこそ、ややセルシア様が有利ですね」

デス・ナイトは全体的な身体能力は勿論高い。
優れた剣技も有しているけど……生半可な攻撃では傷付かない防御力も有している。

俺にとっては、どちらかというと後者の方が厄介だと感じる。

「……しかし、この場合、どこをどう判断して勝ちとするのでしょうか」

「さぁ…………セルシアじゃないから解らないとしか言えないな。でも、剣戟を終えたら見逃すってわけじゃなさそうだし、心配しなくても良いだろ」

デス・ナイトと戦うのが初めてってわけでもない。

勿論、墓場で戦ったデス・ナイトよりもこっちのデス・ナイトの方が強いだろうけど……でも、徐々に上手く読めるようになってきてる。

「せめて、その辺りは明確にしてほしいところですが…………戦闘中の相手が繰り出す攻撃を全て把握し、完全に対処出来るようになったら、でしょうか」

「それなら、完全に競り勝った言えるかもしれないな」

「俺なら……相手の拳を砕いたり、脚を蹴り砕いたりしたらっすかね」

「シュラの場合はそうなりそうだな。後は、相手の武器を破壊したらとかだな」

シュラは肉体だけで戦う以外にも、大剣や棍棒を持った相手とも戦うだろうからな。

「武器破壊……まぁ、そうなってしまうか」

「強くなることが目的なら、それで十分だと思うぞ」

シュラとしては、それでも相手が動けるなら楽しみ続けたいだろうけど、そこまで我儘を言うと、さすがにメリルがブチ切れるだろうからな。

「ラガス坊ちゃまの言う通りよ、ラガス。競り勝ち、強くなることが目的なら、それで十分でしょう」

「へいへい、分かったよ。んで、お前はどんな事を考えながら戦うんだ?」

「……私は、どれだけ早く相手の体内に毒を注入出来るか。そこが課題よ」

「? お前なら、別に難しい事じゃないだろ」

「ちゃんと私の話を聞いてたの? どれだけ早く注入出来るか。戦いを早く終わらせるには、それが一番早いの」

なるほど。
要は、どれだけ省エネで相手を殺せるか。
そこを突き詰めたいってことか。

でも、そうなると……また別の問題が起こるよな。

「つまり、今まで以上に短剣や双剣の技術を向上させるってことか?」

「そうですね。基本的には、そこを重点的に鍛えるつもりです」

「基本的には?」

「えぇ、そうです……使えているつもりでいましたけど、まだまだな力があるので、そちらの方でもアプローチしておこうと思っています」

メリルが使えてると思ってたけど、まだまだな力…………っ、そういう使い方、か?

凄い難しそうに感じるけど……まぁでも、メリルならなんだかんだで成功させそうだな。
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