上 下
904 / 968

影響力が零れてる?

しおりを挟む
「…………」

「おはようございます、ラガス坊ちゃま。今日も二度寝しますか?」

「……いや、起きる」

寝過ぎも体に良くないと思い、二度寝せずに起床。
セルシアも数分後に起き、一緒に食堂で朝食を食べる。

「しっかし、やっぱあの人たちも俺らと似た様なこと考えてたんすね」

「そうみたいだな」

「そうなると、本当に考え通り……徐々に変化していくのかもしれませんね」

地下遺跡には何かしらの動力源があり、現在俺たち探索者たちによって刺激を受け、本当の意味でダンジョンに姿を変え始めている、か……憶測ではあるけど、やっぱり割と間違ってない気がするな~~~。

「本当に変わってくれれば、それはそれで探索しやすいかもしれないな」

「かもしれませんね」

「…………なぁ、突拍子な考えだとは思うんだけど、動力源にダンジョンコアかドラゴンの心臓とかを使われてるなら、もしかして未開拓地に生息してるモンスターが他の地域よりも強いのって、それが関係してたりしないか」

「それは……どうなのでしょうね。可能性としては、ゼロとは言えません」

俺もメリルと同じだ。

いきなり何を言うんだって思ったけど、あの地下遺跡の広さ……未開拓地は地下遺跡の上に立っているとは言えない。
さすがに、地下遺跡はそこまで広くはない……筈。
こっから先まだまだ広くなるのかもしれないけど、現時点ではまだ、未開拓地の下に全部あの地下遺跡が広がってる訳じゃない。

とはいえ、未開拓地の下に、あの地下遺跡があるのも事実。

「……セルシア。お前は、どう思う」

「あり、得る。と思う、よ」

「そうか。それじゃあ……おおよそ確定って言って良いかもな」

「動力源、が……ダンジョンコアだと、して、元の……ダンジョン? が、凄く、大きかった、ら……ドラゴンの心臓ぐらいの……力強さ? があって、も、おかしくないと、思う、かな」

仮にダンジョンコアを使って人工ダンジョンを造れるなら、まだ俺たちはダンジョンコアの利用価値? に気付けてない。

結果的に、ダンジョンコアか……もしくはドラゴンの心臓とか、そういう物が動力源として使われた場合、地下遺跡の外にその効力が溢れる可能性も本当にあり得そうだな。

「…………これに関しては、あまり広く伝えない方が良いかもしれませんね」

「……一旦戻るか」

朝食を食べ終えた後、部屋に戻って話の続ける。

「あまり広く伝えない方が良いっていうのは……単純に人工ダンジョンを造ろうとして、それが暴走するかもしれないから、ってだけじゃないんだよな」

「えぇ。最悪の場合、もう一つ……未開拓地の様な場所が誕生する可能性があります。勿論、人工ダンジョンは別として、その影響力が周辺の土地に及ぶまで何年、何十年……何百年かかるのかは解りません。しかし……最悪の場合、人類が住める場所が減るかもしれません」

「あり得ない、とは言えないんだろうな~~~」

それなりに未開拓地でモンスターたちと戦ってきたから解る。

刺青コボルト……に関しては刺青の効果を増す? マジックアイテムがあったからっていうのもあるけど、シャーマンも含めて強かった。

筋肉がムキムキ過ぎるリザードマンも強かったし、どこから現れたのか解らないエルダーリッチも高い戦闘力を持っていた。

戦える人間っていうのが限られてくるとなると、そういう場所……一帯が増えれば、確かに人間の住める場所へ減ってもおかしくない。
あの人の言葉を喋れる刺青コボルトシャーマンも、あの時俺たちが倒してなかったら、多分人間の街を襲撃しようとしてた気がする。

モンスターが全員そうではないと思うが、積極的に人間を殺そうとするモンスターの数が増えれば、メリルの言う通りになる、か…………そうなると、本当にこの話は他人に伝えない方が良さそうだな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...