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本当に損はない
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「お前らも買い物か?」
「はい。この前、シュラさんたちが手伝ってくれたお陰で良い収入が入ったので、装備を見直そうと思って」
「そうか。まっ、確かに装備は大事だよな」
素手でも十分戦えるシュラだが、メイン武器は大剣。
それもあって、武器の性能に頼る奴は二流だ!!! なんて言葉は口が裂けても言えない。
「……シュラさんは、素手での戦いも得意ですよね」
「ん? 確かにそうだな。鬼人族って種族上、得物がないなら素手で戦えば良いじゃないかって思考になるからな」
素手でも戦える鬼人族というのは、決してそこまで珍しい存在ではない。
ただ、素手で戦うシュラの姿を実際に見ているヴェルデとしては、その練度が並ではなかったことが気になっていた。
「そうですか……でも、正直なところ並みの格闘家よりも強いと言うか、上手いと感じました」
「はっはっは!!! そりゃどうも。つっても、今ほど素手で戦えるようになったのは、ラガスさんの考え方に感化されたからだけどな」
「そう、なんですか?」
「あぁ、そうだよ。元々ラガスさんが魔弾や他の武器がなくても、素手でも戦えるようになろうと頑張ってたんだよ。そうだよな、メリル」
「……概ね間違ってはいませんね。ただ、ラガス坊ちゃまは素手で戦うことに対して、純粋に楽しさを感じていたように思いますが」
魂が別世界の住人であるラガス。
漫画などをそれなりに呼んでいたラガスからすれば、ファンタジーに近い肉体の動きを実演出来るという現実は、非常にテンションが上がる要因であった。
「ヴェルデも頑張ってみるか? できて損はねぇぜ」
「……僕にも、出来るでしょうか」
武器や魔力がなくとも、素手で戦える。
イメージしてみると……そんな姿に憧れなくもない。
だが、自分がパーティーメンバーのレグディスやフィーマの様な、肉弾戦に優れた肉体ではないことは解っている。
種族が違うという点を考えれば仕方ない部分もあるが、それでも人族の中には獣人族や鬼人族に負けない肉体を持つ者はいる。
(もっとたくさん食べて、筋肉を付けるべきかな? でも、あまり筋肉を増やし過ぎるのは、僕の戦闘スタイルとそんなに相性が良くない気が……)
ヴェルデは細剣を使用したテクニックとスピードに特化した細剣士。
補助と呼べる武器を鍛える為に、メイン武器の練度が落ちる様な真似は出来ない。
「ヴェルデ。お互いに出来ないことを補うのがパーティーですよ」
「ファールナさんの言う通りですよ、ヴェルデさん。補助はあくまで補助です。そうでしょう、シュラ」
「あぁ~~~……確かにそりゃそうだが…………けどそうだな。貫通力のあるパンチと蹴ぐらいは、今の肉体でも会得できれば十分武器になるんじゃねぇか?」
「「っ!!??」」
ヴェルデを止めようとした二人は、逆に一部の技術会得を勧めようとするシュラに「何故!!!???」と、目玉が飛び出そうなほど驚きの籠った視線を向ける。
「シュラ」
「んだよ、そんな怒んなっての。俺はただ、貫通力のあるパンチと蹴りぐらいって言っただろ。別にがっつり体技も学んだ方が良いだなんて言ってねぇだろ」
シュラも決して何も考えていない訳ではない。
ヴェルデが肉体的な意味で体技を主軸として戦うスタイルは向いてないことぐらいは解っている。
ただ、補助として……本当の意味で補助的な技だけを身に付けるのはありだと思っている。
「ただ、細かい技術とかコンビネーションを覚えるよりも人間相手やモンスター相手でも通じる、貫通力のある攻撃なら、マジで使えるんだから覚えて損はねぇだろ」
「っ…………はぁ~~~~。それはそれで、簡単ではないと知ってるでしょう」
「まぁな。でも、仲間が新しい技術を会得しようとしてるのを知れば、支えてくれるのが本当のパーティーってやつなんじゃねぇの?」
メリルはともかく、先程補い合う為にパーティーがあると語ったファールナは……本当にヴェルデにその気があるのであれば、会得に付き合うと決めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新作、異世界バーテンダー。冒険者が副業で、バーテンダーが本業ですので、お間違いなく。を投稿しました!!
第四回ファンタジーカップに参加しています。
応援していただけると幸いです。
「はい。この前、シュラさんたちが手伝ってくれたお陰で良い収入が入ったので、装備を見直そうと思って」
「そうか。まっ、確かに装備は大事だよな」
素手でも十分戦えるシュラだが、メイン武器は大剣。
それもあって、武器の性能に頼る奴は二流だ!!! なんて言葉は口が裂けても言えない。
「……シュラさんは、素手での戦いも得意ですよね」
「ん? 確かにそうだな。鬼人族って種族上、得物がないなら素手で戦えば良いじゃないかって思考になるからな」
素手でも戦える鬼人族というのは、決してそこまで珍しい存在ではない。
ただ、素手で戦うシュラの姿を実際に見ているヴェルデとしては、その練度が並ではなかったことが気になっていた。
「そうですか……でも、正直なところ並みの格闘家よりも強いと言うか、上手いと感じました」
「はっはっは!!! そりゃどうも。つっても、今ほど素手で戦えるようになったのは、ラガスさんの考え方に感化されたからだけどな」
「そう、なんですか?」
「あぁ、そうだよ。元々ラガスさんが魔弾や他の武器がなくても、素手でも戦えるようになろうと頑張ってたんだよ。そうだよな、メリル」
「……概ね間違ってはいませんね。ただ、ラガス坊ちゃまは素手で戦うことに対して、純粋に楽しさを感じていたように思いますが」
魂が別世界の住人であるラガス。
漫画などをそれなりに呼んでいたラガスからすれば、ファンタジーに近い肉体の動きを実演出来るという現実は、非常にテンションが上がる要因であった。
「ヴェルデも頑張ってみるか? できて損はねぇぜ」
「……僕にも、出来るでしょうか」
武器や魔力がなくとも、素手で戦える。
イメージしてみると……そんな姿に憧れなくもない。
だが、自分がパーティーメンバーのレグディスやフィーマの様な、肉弾戦に優れた肉体ではないことは解っている。
種族が違うという点を考えれば仕方ない部分もあるが、それでも人族の中には獣人族や鬼人族に負けない肉体を持つ者はいる。
(もっとたくさん食べて、筋肉を付けるべきかな? でも、あまり筋肉を増やし過ぎるのは、僕の戦闘スタイルとそんなに相性が良くない気が……)
ヴェルデは細剣を使用したテクニックとスピードに特化した細剣士。
補助と呼べる武器を鍛える為に、メイン武器の練度が落ちる様な真似は出来ない。
「ヴェルデ。お互いに出来ないことを補うのがパーティーですよ」
「ファールナさんの言う通りですよ、ヴェルデさん。補助はあくまで補助です。そうでしょう、シュラ」
「あぁ~~~……確かにそりゃそうだが…………けどそうだな。貫通力のあるパンチと蹴ぐらいは、今の肉体でも会得できれば十分武器になるんじゃねぇか?」
「「っ!!??」」
ヴェルデを止めようとした二人は、逆に一部の技術会得を勧めようとするシュラに「何故!!!???」と、目玉が飛び出そうなほど驚きの籠った視線を向ける。
「シュラ」
「んだよ、そんな怒んなっての。俺はただ、貫通力のあるパンチと蹴りぐらいって言っただろ。別にがっつり体技も学んだ方が良いだなんて言ってねぇだろ」
シュラも決して何も考えていない訳ではない。
ヴェルデが肉体的な意味で体技を主軸として戦うスタイルは向いてないことぐらいは解っている。
ただ、補助として……本当の意味で補助的な技だけを身に付けるのはありだと思っている。
「ただ、細かい技術とかコンビネーションを覚えるよりも人間相手やモンスター相手でも通じる、貫通力のある攻撃なら、マジで使えるんだから覚えて損はねぇだろ」
「っ…………はぁ~~~~。それはそれで、簡単ではないと知ってるでしょう」
「まぁな。でも、仲間が新しい技術を会得しようとしてるのを知れば、支えてくれるのが本当のパーティーってやつなんじゃねぇの?」
メリルはともかく、先程補い合う為にパーティーがあると語ったファールナは……本当にヴェルデにその気があるのであれば、会得に付き合うと決めた。
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