829 / 968
私が許したから
しおりを挟む
ラガスたちが男子会……野郎会をしている頃、メリル達も宿で女子会をしていた。
「やっぱ思ったんだけどさ、メリルたちって超強いよね」
「前回説明したと思いますが、ラガス坊ちゃまの無茶に付き合っていたからですよ」
「ふ~~ん? でも、無茶って解ってたら、拒否したくならない?」
ラガスは一応男爵家の令息であり、メリルはその男爵家に仕えるメイド。
立場はそれなりに違うので、そう簡単に断る事は出来ない。
「……ラガス坊ちゃまは、昔から色々とおかしい方だったのです。勿論、その実力も含めてです」
「あの、一応ラガスさんはメリルさんの主人にあたるのですよね? そ、そのような説明をしてもよろしいのでしょうか」
「問題ありません。ラガス坊ちゃまは、そういった面に関してはとても寛容な方ですので。それに、幼い頃から色々とおかしかった……ぶっ飛んでいた方だったのは本当なので。セルシア様も、そう思いませんか」
「…………そう、だね。ラガスは、子供の頃、から、結構……ぶっ飛んでて、凄かったん、だ」
初めてラガスに出会った時、そしてラガスの実家にお邪魔した時の事を……セルシアは今でも覚えていた。
「昔、ラガスに無礼な? 態度を取った、バカが、いた……でも、ラガスは、逆に、ぶっ潰し、た?」
「それは、確かに凄いのですが……私の記憶が間違っていなければ、ラガスさんは男爵家の方ですよね。そしてセルシアさんは公爵家の方。公爵家の護衛? をぶっ潰してしまうのは、非常に不味いのではないでしょうか」
ファールナの問いは、非常に至極真っ当である。
公爵家の人間の護衛に選ばれる者は、男爵家以上の出身者が多い。
立場的にラガスの方が下ではあるが……当然ながら、その場にはセルシアがいた。
「私が、許した。だから、問題、ない」
「え、えぇ…………そ、そうなのですか?」
本当にそれは問題無いのか? と思ってしまうファールナの考えは間違ってない。
ただ、セルシアもセルシア……かなり普通の令嬢ではなかった。
「ラガス坊ちゃまが自ら潰してくれて本当に良かったです。でなければ、私が……っと、これ以上先を言うのはよろしくありませんね」
薄っすらと零れたメリルの冷気に、フィーマとファールナは体をぶるりと震わせた。
「ラガス坊ちゃまのぶっ飛んだエピソードですと…………学園に入学した初日に、セルシア様の婚約者候補の方をタイマン勝負で叩きのめしましたね」
「「っ!!!???」」
今度はファールナだけではなく、フィーマも驚かずにはいられなかった。
「それは、あの……本当に、大丈夫だったのですか」
「えぇ、大丈夫でした。大丈夫だったからこそ、こうして卒業後、自由にハンターとして活動出来てるのです」
「け、けどさ~。セルシアの婚約者候補ってなると、結構親の爵位が高い人じゃないの?」
「……確、か、侯爵家、だったかな?」
二人とも貴族の爵位は頭の中に入っている為、侯爵家の人間というのが、どれだけ立場が上の人物なのか……直ぐに理解した。
「よく、ラガスさんは無事でしたね」
「学園に入学した際に、入学した者同士の中でパートナーはいるか否かを検査します。そこで、ラガス坊ちゃまとセルシア様がパートナーだと……最高の相性を持つ者同士だと確定しましたので」
「あっ、そういえば言っていましたね……とはいえ、侯爵家の方をぶっ潰してしまって、本当に何もなかったのですか?」
「あくまで、婚約者候補の方でしたので、問題無かったのでしょう……従者の二人は少々面倒でしたが、婚約者候補の方自体は、素直に自分の負けを認められる方だったようですので」
「へ~~~~。侯爵家とか、そういう家の人間にも素直に自分の負けを認められる奴とかいるんだな」
フィーマの中で、冒険者として活動している貴族はまだあれだが、その他の貴族は基本的に芯が腐っている者が多いと思っていたため……セルシアの婚約者候補、ジークの様な人物がいるのは、非常に驚きの事実だった。
「やっぱ思ったんだけどさ、メリルたちって超強いよね」
「前回説明したと思いますが、ラガス坊ちゃまの無茶に付き合っていたからですよ」
「ふ~~ん? でも、無茶って解ってたら、拒否したくならない?」
ラガスは一応男爵家の令息であり、メリルはその男爵家に仕えるメイド。
立場はそれなりに違うので、そう簡単に断る事は出来ない。
「……ラガス坊ちゃまは、昔から色々とおかしい方だったのです。勿論、その実力も含めてです」
「あの、一応ラガスさんはメリルさんの主人にあたるのですよね? そ、そのような説明をしてもよろしいのでしょうか」
「問題ありません。ラガス坊ちゃまは、そういった面に関してはとても寛容な方ですので。それに、幼い頃から色々とおかしかった……ぶっ飛んでいた方だったのは本当なので。セルシア様も、そう思いませんか」
「…………そう、だね。ラガスは、子供の頃、から、結構……ぶっ飛んでて、凄かったん、だ」
初めてラガスに出会った時、そしてラガスの実家にお邪魔した時の事を……セルシアは今でも覚えていた。
「昔、ラガスに無礼な? 態度を取った、バカが、いた……でも、ラガスは、逆に、ぶっ潰し、た?」
「それは、確かに凄いのですが……私の記憶が間違っていなければ、ラガスさんは男爵家の方ですよね。そしてセルシアさんは公爵家の方。公爵家の護衛? をぶっ潰してしまうのは、非常に不味いのではないでしょうか」
ファールナの問いは、非常に至極真っ当である。
公爵家の人間の護衛に選ばれる者は、男爵家以上の出身者が多い。
立場的にラガスの方が下ではあるが……当然ながら、その場にはセルシアがいた。
「私が、許した。だから、問題、ない」
「え、えぇ…………そ、そうなのですか?」
本当にそれは問題無いのか? と思ってしまうファールナの考えは間違ってない。
ただ、セルシアもセルシア……かなり普通の令嬢ではなかった。
「ラガス坊ちゃまが自ら潰してくれて本当に良かったです。でなければ、私が……っと、これ以上先を言うのはよろしくありませんね」
薄っすらと零れたメリルの冷気に、フィーマとファールナは体をぶるりと震わせた。
「ラガス坊ちゃまのぶっ飛んだエピソードですと…………学園に入学した初日に、セルシア様の婚約者候補の方をタイマン勝負で叩きのめしましたね」
「「っ!!!???」」
今度はファールナだけではなく、フィーマも驚かずにはいられなかった。
「それは、あの……本当に、大丈夫だったのですか」
「えぇ、大丈夫でした。大丈夫だったからこそ、こうして卒業後、自由にハンターとして活動出来てるのです」
「け、けどさ~。セルシアの婚約者候補ってなると、結構親の爵位が高い人じゃないの?」
「……確、か、侯爵家、だったかな?」
二人とも貴族の爵位は頭の中に入っている為、侯爵家の人間というのが、どれだけ立場が上の人物なのか……直ぐに理解した。
「よく、ラガスさんは無事でしたね」
「学園に入学した際に、入学した者同士の中でパートナーはいるか否かを検査します。そこで、ラガス坊ちゃまとセルシア様がパートナーだと……最高の相性を持つ者同士だと確定しましたので」
「あっ、そういえば言っていましたね……とはいえ、侯爵家の方をぶっ潰してしまって、本当に何もなかったのですか?」
「あくまで、婚約者候補の方でしたので、問題無かったのでしょう……従者の二人は少々面倒でしたが、婚約者候補の方自体は、素直に自分の負けを認められる方だったようですので」
「へ~~~~。侯爵家とか、そういう家の人間にも素直に自分の負けを認められる奴とかいるんだな」
フィーマの中で、冒険者として活動している貴族はまだあれだが、その他の貴族は基本的に芯が腐っている者が多いと思っていたため……セルシアの婚約者候補、ジークの様な人物がいるのは、非常に驚きの事実だった。
24
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる