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ただの我儘です
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「すいませんでした。こちらの確認不足でした」
冒険者ギルドに戻った後、教育系を管轄しているギルドの職員に今回の一件を伝え、頭を下げた。
「えっと……誰も死んではないんですよね?」
「それはそうですけど、それでも周囲に転移トラップがあったのは、俺たちの確認不足でした」
そこまで気にする必要はない? さすがに見落としてしまう?
人の命を預かってる立場として、そんな言い訳が通じない。
実戦という状況で共に行動してるならともかく、今回は彼らの訓練なんだ。だからこそ、転移トラップで飛ばされた後も、途中まではサポートに徹した。
「……ラガスさんほど、責任感が強い方ばかりだと嬉しいですね」
「俺たちは今回、彼らの命を預かっていました。ちょっとミス、見落としていたという言い訳で、彼らの命を落とす訳にはいきません」
ちょっともしそんな事件が起こったら実家に迷惑が~とか、私情はあったけど、それでもこれは本心だ。
力不足というのであれば…………ともかく、俺たちにはあいつらが死ぬことなく、実戦訓練という経験を与え、安全を保障できる力がある。
そんな力があってあいつらの内、誰か一人でも殺させるわけにはいかない。
まぁ……出会った当初と態度が変わらなかったら、半殺し状態までは放っておいたかもしれないけど。
「…………騎士道、というやつでしょうか」
「騎士道とはまた違うかと。ただ……俺がそうすべきと思った我儘ですかね」
「我儘、ですか。正義ではなく?」
「はい、そうです」
多分……一般的な冒険者事情を考えれば、あの件に関しては監督側である冒険者がそこまで責任感を負うことはないんだろうと思う。
実戦訓練という言葉を使っても、結局モンスターと戦うという行為は、実戦なんだ。
その実戦で死ぬかもしれないという結末を理解して、あいつらも冒険者として活動を行っている。
それを考えると、俺の考えはあいつらの覚悟に泥を塗ってるかもしれないな…………まっ、だからこそ俺のこの考えは、我儘になるんだろうな。
「…………そうですか。とはいえ、今回の件でラガスさんたちの評価が下がることはありませんよ」
「そうなんですか?」
「えぇ、勿論です。きっちりルーキーたちを躾けることができ、的確な指導が行える。そもそも今回の一件、ルーキーたちが転移トラップを発動してしまった時点で、救出はほぼ不可能です」
……確かに、転移に間に合わなければ、よっぽどのマジックアイテムを持ってなければ無理だろうな。
「にもかかわらず、ティールさんは圧倒的な加速力と脚力で三人が転移するのに間に合い、彼らと一緒に転移。そこでも彼らを守り、無事に帰還。寧ろ評価が上がるのは間違いないかと」
「それは……どうも」
普通は出来ない事が出来るってことを考えれば、確かにそうなるか。
とりあえず、これ以上あれこれ言うのは良くないな。
「というか、皆さんの実力にはもうブロンズまで上げても良いんですけどね」
「年齢が問題、ということですか?」
「申し訳ないんですが、今のところそこがこれ以上簡単に上に上げられない問題ですね」
そりゃそうだろうな、ってのが第一の感想だな。
まだ十五ってのを考えれば、例え昇格試験を受けたとしても……いや、試験を受けて合格基準を満たしたら……それで上げなかったら、ギルドに問題ありってなるか。
「やっぱりそうですよね。でも、別に焦ってる訳じゃないんで、無理なら無理で構いません」
多分……内容的には既に越えようと思っていた父さんと母さんのシルバーランクに到達出来るんだろうけど、それは
いつかで良い。
具体的には二十代前半?
それぐらいまでにはシルバーランクに到達して、次はゴールドランクは二十代後半とか……そんな感じで良いんだよ。
「………………そう、ですね。そう言って頂けると、こちらとしても有難いです」
これは…………あれだ、それはそれで色々と問題があるんですよって顔だ。
これから何度も詐欺野郎って言われそうだけど、そこは甘んじて受け入れよう。
冒険者ギルドに戻った後、教育系を管轄しているギルドの職員に今回の一件を伝え、頭を下げた。
「えっと……誰も死んではないんですよね?」
「それはそうですけど、それでも周囲に転移トラップがあったのは、俺たちの確認不足でした」
そこまで気にする必要はない? さすがに見落としてしまう?
人の命を預かってる立場として、そんな言い訳が通じない。
実戦という状況で共に行動してるならともかく、今回は彼らの訓練なんだ。だからこそ、転移トラップで飛ばされた後も、途中まではサポートに徹した。
「……ラガスさんほど、責任感が強い方ばかりだと嬉しいですね」
「俺たちは今回、彼らの命を預かっていました。ちょっとミス、見落としていたという言い訳で、彼らの命を落とす訳にはいきません」
ちょっともしそんな事件が起こったら実家に迷惑が~とか、私情はあったけど、それでもこれは本心だ。
力不足というのであれば…………ともかく、俺たちにはあいつらが死ぬことなく、実戦訓練という経験を与え、安全を保障できる力がある。
そんな力があってあいつらの内、誰か一人でも殺させるわけにはいかない。
まぁ……出会った当初と態度が変わらなかったら、半殺し状態までは放っておいたかもしれないけど。
「…………騎士道、というやつでしょうか」
「騎士道とはまた違うかと。ただ……俺がそうすべきと思った我儘ですかね」
「我儘、ですか。正義ではなく?」
「はい、そうです」
多分……一般的な冒険者事情を考えれば、あの件に関しては監督側である冒険者がそこまで責任感を負うことはないんだろうと思う。
実戦訓練という言葉を使っても、結局モンスターと戦うという行為は、実戦なんだ。
その実戦で死ぬかもしれないという結末を理解して、あいつらも冒険者として活動を行っている。
それを考えると、俺の考えはあいつらの覚悟に泥を塗ってるかもしれないな…………まっ、だからこそ俺のこの考えは、我儘になるんだろうな。
「…………そうですか。とはいえ、今回の件でラガスさんたちの評価が下がることはありませんよ」
「そうなんですか?」
「えぇ、勿論です。きっちりルーキーたちを躾けることができ、的確な指導が行える。そもそも今回の一件、ルーキーたちが転移トラップを発動してしまった時点で、救出はほぼ不可能です」
……確かに、転移に間に合わなければ、よっぽどのマジックアイテムを持ってなければ無理だろうな。
「にもかかわらず、ティールさんは圧倒的な加速力と脚力で三人が転移するのに間に合い、彼らと一緒に転移。そこでも彼らを守り、無事に帰還。寧ろ評価が上がるのは間違いないかと」
「それは……どうも」
普通は出来ない事が出来るってことを考えれば、確かにそうなるか。
とりあえず、これ以上あれこれ言うのは良くないな。
「というか、皆さんの実力にはもうブロンズまで上げても良いんですけどね」
「年齢が問題、ということですか?」
「申し訳ないんですが、今のところそこがこれ以上簡単に上に上げられない問題ですね」
そりゃそうだろうな、ってのが第一の感想だな。
まだ十五ってのを考えれば、例え昇格試験を受けたとしても……いや、試験を受けて合格基準を満たしたら……それで上げなかったら、ギルドに問題ありってなるか。
「やっぱりそうですよね。でも、別に焦ってる訳じゃないんで、無理なら無理で構いません」
多分……内容的には既に越えようと思っていた父さんと母さんのシルバーランクに到達出来るんだろうけど、それは
いつかで良い。
具体的には二十代前半?
それぐらいまでにはシルバーランクに到達して、次はゴールドランクは二十代後半とか……そんな感じで良いんだよ。
「………………そう、ですね。そう言って頂けると、こちらとしても有難いです」
これは…………あれだ、それはそれで色々と問題があるんですよって顔だ。
これから何度も詐欺野郎って言われそうだけど、そこは甘んじて受け入れよう。
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