上 下
773 / 968

地上では会いたくない

しおりを挟む
「そういえば、ラガスさんたちって、最下層のボスを……倒したんですよね」

「あぁ、そうだな」

「ど……どう、でした?」

どうでした、というと……どれぐらいボスのモンスターが強かったかって意味だよな。

「強かった。真面目に強かった。なっ、セルシア」

「うん、強かった、よ。私は、本気の、本気で戦わない、と、駄目だった、かな」

本気の本気ってのは、紫電崩牙まで使わないとってことだろうな。

「俺も同じだな。ガチのガチで、本気で殺しにいかないと勝てねぇ。つ~か、まだ今のままだとこっちも死ぬ覚悟を持って挑まないとって感じだな」

「そうですね……私たちにはルーフェイスが居るので、ケルベロスを任せることが出来ました。ケルベロスの様な強敵を任せられる仲間がいないと、ハイ・ヴァンパイアだけに集中して戦うのことは無理だったでしょう」

あのケルベロス、普通のケルベロスよりも強いからな~~。
Aランクを複数人で倒せるぐらいのレベルの人たちが相手にしないと、安全には倒せないだろうな。

「ッ……ラガスさんたちでも、本気で挑まなければならない程、強敵なんですね」

「そりゃ五十階層のボスだからな本当に強いよ。本当に……真面目に殺す気で戦わないと、こっちがやられてもおかしくない」

これからもう少し身長とかは伸びても、身体能力や魔力総量が急激に増えることはないかなぁ~~~。

まっ、幼い頃に頑張ったから初っ端からスタートダッシュをかませたわけだけども。

「……私たちの前に冒険者たちが挑み、その戦闘で学習されているとなると、更に戦い辛くなるでしょうね」

「あぁ~~、そりゃそうだな……うん、あんまり考えたくないけど、全然あり得る話だ」

ケルベロスの方はどうなのか知らないけど、ハイ・ヴァンパイアの方に関しては負った傷を回復する術がある。

冒険者の死体から血を吸って回復した上に、人間の戦闘技術を学ばれたとなると……この上なく厄介だ。
そう考えると、地上で長年生きてるヴァンパイアとかとは……ちょっと戦いたくないな。

「俺たちは使わなかったが、ヴァンパイアは銀の武器に弱い。それをメインで戦うのも良いし、敢えて囮に使った自慢の攻撃を叩きこむのも良い。ただ、ヴァンパイアが現れる階層を探索するなら、きっちり対策しておいた方が良いと思うぞ」

「う、うっす!!!」


数十分の休憩を終え、再び実戦訓練を開始。
すると、今度はスケルトンリザードと遭遇。

体が大きいオークと違い、スケルトンリザードは元がCランク。
骨だけになった影響で速くなっているが、それでもルーキーたちでも十分に相手を出来る……と思ってたんだが、前衛の一人が尾撃で吹き飛ばされ、後衛二人が着地地点に向かった瞬間……地面が光りやがった!!!!!

「ッ!? そっちは頼んだ!!!!」

強化系アビリティは魔闘気を纏い、ラビットフットまで使って……なんとか三人と同じ場所には到達した。

そして……できれば三人を抱えて現れた魔法陣から抜け出したかったが、そう上手くはいかなかった。

「……まっ、仕方ないか」

「こ、ここは…………ど、どこなん、ですか?」

「悪いな。俺の確認不足だった。ここは転移トラップで飛ばされた部屋だ」

「「「ッ!!??」」」

あちゃ~~、まぁそう恐怖で表情が沈むのも無理はないだろうな。

「安心しろ。俺はこの前、ここよりも深い階層で転移トラップで飛ばされたが、元の場所に戻る事が出来た」

「ほ、本当ですか!?」

「あぁ、本当だ。だから、今は気持ちを切り替えて戦い抜く準備をしろ」

本当は飛ばされたというよりも、自ら飛んだんだが……今、それを言う必要はないだろう。

「っと、戦い抜く準備をしろとは言ったが、無理そうなら俺の後ろに居てくれ。後は俺が何とかする」

「ッ……自分が、起こしてしまった不始末です。俺も、戦います!!!!」

発破をかけたつもりじゃなかったんだが……どうやら、他二人も戦る気は十分みたいだな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

処理中です...