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その大事さは既に知っている

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「よ~~し。少し長めの休憩にするぞ」

数十分は休憩の時間にすると伝えると、三人は地面に倒れ込んだ。

個人的にはどこかで、本当にこんな事をしてて強くなれるのかって感じの疑問が飛んでくるかと思ってたけど、一人も文句を言わずに付いてきてくれるな。

やっぱ、ハンターとして真面目に活動してるだけあって、努力を積み重ねないと強くなれないと解ってるんだろうな。

まぁ……もしくは、あっちみたいに超ボロボロにならずに済んでるか、負けてられないという思いが湧き上がってるのか、どちらにしろ指導する側としては有難い流れだ。

「……ラガス、さん」

「おぅ、どうした?」

「あの、あいつら……死にませんかね」

「あぁ~~~~……うん、多分大丈夫だと思うぞ。もう何年も俺たちで模擬戦を行ってきてるから、加減の仕方は解ってる筈だ」

まぁ、手加減の仕方が解っててあそこまでボロボロにされてるって考えると……それはそれで自身の限界を正確に見極められてるようで怖いだろうな。

「そうですか……あの鬼人族の人も、凄く強いんですよね」

「見ての通り、凄く強いぞ。トロールを一人で倒すぐらい強いぞ」

「っ!? び、Bランクモンスターを一人で、ですか」

「そうだ。トロールみたいな相性の良い相手なら……勝負内容さえ拘らなければ、大したダメージを負うことなく倒せるだろうな。ヴァンパイアみたいな相手だと必死にならないと結構ヤバいけどな」

「っ……でも、ヤバくてもヴァンパイアみたいなタイプも倒せるんですね」

「身体能力が全体的に高いからな」

ダンジョン外で生活しているヴァンパイアは色々と経験を積んでるだろうから、そう簡単には倒せないだろうけど……これまでの冒険の中で戦ってきた感じ、ダンジョン内で生まれるヴァンパイアなら本気を出せば十中八九倒せるだろうな。

「素のパワーだけなら、俺よりも上だ。技術面がからっきしって訳じゃないから、そういう所を狙おうとした奴は逆にカウンターをぶち込まれる場合も多い」

「す、隙がないんですね……そ、それじゃあ、あちらのメイドのハンターも……同じぐらい強いんですか?」

「シュラとメリルだと強さのベクトルが違うんだが……まぁ、そうだな。この前一人でBランクのモンスターを倒してたし、同じぐらいと言っても過言じゃないな」

メリルの方が多数のモンスターを倒すのに優れてるから、あんまり強敵一体を倒すのは得意ではないが……つっても、なんだかんだで状況が状況ならあらゆる手を使って一人で倒しそうだな。

「……メイドさん、そんなに強い人ばかりなんですか?」

「いや、そんな事はないぞ。普通に屋敷の掃除とかそういう事だけを主な仕事にしてるメイドの方が多いと思うぞ。執事に関しても同じだ。多少の強さを持ってる人はそれなりにいるかもしれないけど、あそこまでがっつり戦闘力を高めてる従者はあまりいないだろう」

別にうちではそれが必須条件って訳じゃないけど……多分、他の家と比べて割と多い気がするな。

「や、やっぱりそうですよね……では、あちらの令嬢も同じぐらいの強さを秘めているのですか?」

「まぁ……そうだな。扱う武器を変えれば、攻撃力だけなら二人よりも上にいく。とはいえ、セルシアは武器の力を自分の力に勘定しないだろうから、今のところは同等と言えるかな」

潜在能力はセルシアの方が高いから、いずれはセルシアが頭一つ抜けるかもしれないけど……今のところセルシアはスピード、シュラはパワー。
殲滅力に関してはメリルが一歩先に言ってるってところかな。

互いに長所があるってのを考えると、やっぱりなんだかんだでバランスの取れたパーティーだろうな。

「……お前たちはが貴族のあれこれ思う気持ちは解るけど、セルシアにもセルシアなりに面倒な問題があったんだぞ」

無理矢理考えを去勢させたいわけではないが、多少の苦労はあるんだぞと伝えたかった。

伝えた内容は、とある婚約話について。
細かい事情は伏せて話したが、三人共中々面白い顔をしてくれたな。
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