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用意しとかないと、死ぬ

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「あまり雰囲気が良くない場所ですから、食欲も湧きませんね」

「同感だ。それでも、ある程度食べとかないと駄目だけどな」

ダンジョン内でモンスターが近寄ってこない場所、セーフティーゾーンで夕食タイム。

いつも通り食事で困る事は一切ないが、それでも周囲の雰囲気が最悪だから、気が滅入るというか……まっ、また翌日から探索することを考えれば、ここでがっつり食べとかない駄目だ。

「メリルは神経質だな~。さっきグールと戦ったからか?」

「……少なからず、それが食欲が湧かない要因ではありますね。そういうシュラはなんとも思ってないのですか?」

「別にモンスター、人の肉を見るなんて日常茶飯事ってやつだろ。その肉が腐ってるだけだ。別に俺たちが今食ってる肉は特に腐ってねぇんだから、特に悩む必要は感じねぇ」

「…………今回は脳筋、考え無しとは言えませんね」

確かに、俺たちが今食ってる肉料理は腐らないんだ。
そう考えると変に悩む必要はないよな。

でも……本当に今更な話だが、このダンジョン……食料事情に関しては、マジで最悪だな。

「これから先、もっと下に降りれば同業者から狙われる可能性が上がりそうだな」

「屑が増えるから、ではなく?」

「下層を探索するハンターが屑ばっかだったら困るだろ。そういう理由じゃなくて、食料問題で奪うために襲い掛かってくるんじゃないかと思ってな」

「……少々感覚がマヒしていました。そうですね、そういった理由が要因で醜い争いが発展する可能性が高まりそうですね」

基本的に十層、もしくは五層区切りでボス部屋という場所があり、部屋の中にいるボスモンスターを倒せば、次からはその次の階層に転移し、探索することが出来る。

だからなんとか十層分の食料を持っていれば、そういった争いに起こさずに済む。

ダンジョンの宝箱には色々と入ってるらしいが、どうやら食料関係は入ってないみたいだからな。
何故かお酒とかは入ってるらしいけど……謎だよな~~~。

「というか、そういう争いなら、上層で起きてもおかしくはないっすよね。襲ってきたらとりあずぶちのめしますけど」

「完全な正当防衛だから、止めはしないよ。でも、この面子にそんなバカなことをするハンターたちはいないと思うけどね」

セルシアやメリルは迫力不足だとしても、俺は……多分、クソ雑魚と思われるほど弱そうな見た目はしてない筈。

んで、シュラに関してはしっかりと厳つい見た目をしてる。
そして俺たちのパーティーにはルーフェイスという戦闘を知らなくても、一目で強いと解る頼れる狼竜がいる。
よっぽど馬鹿の中の馬鹿、もしくは精神系のアビリティを食らったりしてなければ、俺たちを襲って食料を手に入れようなんて、バカな事考えないだろ。

「ん~~~、確かにそれもそうっすね。そうなってくると、俺たちみたいなルーキーを殺したい、奪いたいって純粋な悪意を抱いてる連中しか警戒しなくても大丈夫そうっすね」

「そんな馬鹿はいないと思いたいんだけどな~~」

リアルでそういったクソゴミハンターと遭遇したことはない。

ただ、今よりも子供の頃に護衛などで知り合ったハンターたちに聞いた話では、実際にそういった屑はいるらしい。
父さんと母さんも現役時代に狙われたらしいからな……目立ってる、恵まれてるって自覚はあるし、ずっと頭の片隅に置いとかないとな。

「まっ、本当に命を狙ってくるような奴が襲ってきたら、遠慮なく殺っちゃってくれ」

「うん」

「「了解」」

「ワゥ!!」

結局十階層のボス部屋に到着するまで、新人潰しが生き甲斐みたいな屑に狙われることなく、無事に到着。

ちなみに十層のボスは約十体のスケルトンだった。
個体によって弓を持ってたりしたけど……解ってはいたけど、物足りなさマックスだった。
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