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それもありだね
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「あの巨人族のハーフは何だったのでしょうか?」
会議が終わった後の夕食時、メリルが翌日から一緒に戦うであろう仲間の愚痴を零す。
「そういう人種ってだけだろ。気に入らない奴にはとにかく絡む。加えて、まだ潰せそうな相手なら自力で潰して芽を積みたい」
「ゴミ、だね」
「……ちょって手厳しい言葉ではあるけど、その通りだな」
人によっては、人種という言葉すら使いたくない相手かもしれないな。
まぁ、そういった奴らの敵意が俺たちに向けられてた方が、他の連中にとって幸いだろうけど。
「巨人族のハーフだったからか、一応それなりに頑丈だったっすね。陸鮫に従うモンスターとの戦闘では、それなりに役に立つんじゃないっすか」
「タンク兼、物理アタッカー……そういう役職だけ考えれば優秀だな」
「役職だけに限ればの話ですね。ただの脳筋バカの様に思えましたが……背後から狙ってくるでしょうか?」
さすがにそこまでゲスなことはしてこないだろう……と言いたいところだけど、俺のことが嫌いな人達の中でも、頭一つ抜けてたよな……持ってる者の辛いところとして受け止めるしかない現実だな。
「いや、あの禿げたそこそこ強いおっさん……ハックスさんだったか? あの人には渋々従ってるみてぇだし、大丈夫じゃねぇか?」
「渋々って話だろ……裏の人間を雇って俺たちを殺そうとする可能性は、一応頭に入れといた方が良さそうだな」
「…………ラガス坊ちゃま。それはさすがにあのハーフが馬鹿過ぎませんか?」
メリルの言いたい事は解る。
ものすご~~~~く解るけど、世の中にはそういう馬鹿が意外と少なくないんだよな。
「メリル、忘れたか? 俺が一年生の時、校内戦前にドーピングしてでも俺に勝とうとしてきた馬鹿がいただろ」
「……確かにそんな馬鹿がいましたね」
あの一件で、あいつは退学。
あいつの実家は俺に対して多額の慰謝料? を払った。
普通に考えれば、そんなことをすれば一発で人生が終わるってのに、俺を潰すためだけに人生を捨てたんだ。
無敵君ではないのにな。
「ですが、貴族の令息に手を出せばどうなるか……そんなことまで解らないほど愚かなのでしょうか」
「愚かだから、俺から個人的な被害を受けてないにも関わらず、バカ絡みしてくるんだろ」
ハンターという職業に就いている時点で、ハンターギルドという組織に在籍してる時点で、特に詳しく知らない連中からすれば、貴族の子供だからなんだってんだ!!! って感じなんだろ。
「……では過程として、バカ巨人ハーフが裏の人間を雇った場合、どうしましすか?」
「殺さずに片足片腕だけ奪って放置するとかが、一番良い罰になるかな」
「他二つは残すんすか?」
「イモムシ状態にしても良いが、中途半端に希望を残した方が色々と絶望するだろ」
確かにハンターギルドっていう組織に在籍してるんだから、男爵家の令息っていう立場でどうこうするつもりはないけど、だからって殺しに来る奴にはしっかり地獄を見せてやりたいしな。
「ラガス坊ちゃまらしいですね」
「そうか? まっ、メリルが殺しは止めた方が良いのでは? って言うならあのバカ王子みたいにするつもりだけど」
「……それはそれでありではないでしょうか。その方が、男という生物として、果てしなく絶望するかと」
候補に入れておいて良いってことだな。
まっ、俺の敵意向けてくるだけで、何も起こらないのが一番良いんだけどな。
そう願いながら討伐日当時、出発時間五分前に現場に到着。
「俺思うんだけどさ、時間内に到着してたらそれで良いよな」
「何々、なんの話? ラガス君」
「おはようございます、ホバーさん。いや、遅刻してるならまだしも、時間内に到着しているのに新人ならうんたらどうたらって言うのって、理屈に合ってないと思ったんですよ」
「あぁ~~、確かにそうだね。別に遅刻してる訳じゃないし、何かしらの準備がある訳じゃないもんね」
「やっぱりそう思いますよね」
てな感じで俺のファンらしい、ホバーさんが上手く俺の言葉を拾ってくれたお陰で、朝から面倒な喧嘩をせずに済んだ。
そんな見え見え表情で怒りを撒き散らさないでくれよ。
先に仕掛けられない様に潰したくなるだろ。
会議が終わった後の夕食時、メリルが翌日から一緒に戦うであろう仲間の愚痴を零す。
「そういう人種ってだけだろ。気に入らない奴にはとにかく絡む。加えて、まだ潰せそうな相手なら自力で潰して芽を積みたい」
「ゴミ、だね」
「……ちょって手厳しい言葉ではあるけど、その通りだな」
人によっては、人種という言葉すら使いたくない相手かもしれないな。
まぁ、そういった奴らの敵意が俺たちに向けられてた方が、他の連中にとって幸いだろうけど。
「巨人族のハーフだったからか、一応それなりに頑丈だったっすね。陸鮫に従うモンスターとの戦闘では、それなりに役に立つんじゃないっすか」
「タンク兼、物理アタッカー……そういう役職だけ考えれば優秀だな」
「役職だけに限ればの話ですね。ただの脳筋バカの様に思えましたが……背後から狙ってくるでしょうか?」
さすがにそこまでゲスなことはしてこないだろう……と言いたいところだけど、俺のことが嫌いな人達の中でも、頭一つ抜けてたよな……持ってる者の辛いところとして受け止めるしかない現実だな。
「いや、あの禿げたそこそこ強いおっさん……ハックスさんだったか? あの人には渋々従ってるみてぇだし、大丈夫じゃねぇか?」
「渋々って話だろ……裏の人間を雇って俺たちを殺そうとする可能性は、一応頭に入れといた方が良さそうだな」
「…………ラガス坊ちゃま。それはさすがにあのハーフが馬鹿過ぎませんか?」
メリルの言いたい事は解る。
ものすご~~~~く解るけど、世の中にはそういう馬鹿が意外と少なくないんだよな。
「メリル、忘れたか? 俺が一年生の時、校内戦前にドーピングしてでも俺に勝とうとしてきた馬鹿がいただろ」
「……確かにそんな馬鹿がいましたね」
あの一件で、あいつは退学。
あいつの実家は俺に対して多額の慰謝料? を払った。
普通に考えれば、そんなことをすれば一発で人生が終わるってのに、俺を潰すためだけに人生を捨てたんだ。
無敵君ではないのにな。
「ですが、貴族の令息に手を出せばどうなるか……そんなことまで解らないほど愚かなのでしょうか」
「愚かだから、俺から個人的な被害を受けてないにも関わらず、バカ絡みしてくるんだろ」
ハンターという職業に就いている時点で、ハンターギルドという組織に在籍してる時点で、特に詳しく知らない連中からすれば、貴族の子供だからなんだってんだ!!! って感じなんだろ。
「……では過程として、バカ巨人ハーフが裏の人間を雇った場合、どうしましすか?」
「殺さずに片足片腕だけ奪って放置するとかが、一番良い罰になるかな」
「他二つは残すんすか?」
「イモムシ状態にしても良いが、中途半端に希望を残した方が色々と絶望するだろ」
確かにハンターギルドっていう組織に在籍してるんだから、男爵家の令息っていう立場でどうこうするつもりはないけど、だからって殺しに来る奴にはしっかり地獄を見せてやりたいしな。
「ラガス坊ちゃまらしいですね」
「そうか? まっ、メリルが殺しは止めた方が良いのでは? って言うならあのバカ王子みたいにするつもりだけど」
「……それはそれでありではないでしょうか。その方が、男という生物として、果てしなく絶望するかと」
候補に入れておいて良いってことだな。
まっ、俺の敵意向けてくるだけで、何も起こらないのが一番良いんだけどな。
そう願いながら討伐日当時、出発時間五分前に現場に到着。
「俺思うんだけどさ、時間内に到着してたらそれで良いよな」
「何々、なんの話? ラガス君」
「おはようございます、ホバーさん。いや、遅刻してるならまだしも、時間内に到着しているのに新人ならうんたらどうたらって言うのって、理屈に合ってないと思ったんですよ」
「あぁ~~、確かにそうだね。別に遅刻してる訳じゃないし、何かしらの準備がある訳じゃないもんね」
「やっぱりそう思いますよね」
てな感じで俺のファンらしい、ホバーさんが上手く俺の言葉を拾ってくれたお陰で、朝から面倒な喧嘩をせずに済んだ。
そんな見え見え表情で怒りを撒き散らさないでくれよ。
先に仕掛けられない様に潰したくなるだろ。
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