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生きられるのか?

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「すいません。あの、なんでこんなギルド内が意気消沈してるんですか」

「あ、えっと、それは……」

あまり聞かない方が良い雰囲気なのかもしれないが、事情は聞かないと解らない。
そう思いながらギルド職員に尋ねたが……予想以上に重かった。

簡単に言うと、噂の森を徘徊するタコを討伐するために出陣したホープレス一番の実力を持つ冒険者たちの主力が殺された。
そういうことであれば、このお通夜みたいな空気にも納得。

そりゃ他の街から応援を呼べば良い話ではあるが、ホープレスの冒険者ギルドにとって……住民たちにとっても大きな支柱だったんだろうな。

とりあえず訊きたいことは聞けたので、冒険者ギルドが退出。

「何故お通夜みたいな空気だったのか解りましたね」

「そうだな。そりゃあんな空気になるってもんだ」

「……何か、ありそう、な、気がする、かも」

「ん? それはどういうことだ、セルシア」

「理由は、特に、ない。ただの、勘」

勘かぁ~~~。でも、セルシアが何も根拠も無しにこういう事言わないし……一応頭の片隅に留めておいた方が良さそうだな。

「セルシア様の勘は当たりそうですね。そうなると、そのタコのモンスターはこの街の住人に恨みがある人物が、どこからか連れてきたモンスター、ということでしょうか?」

「……なぁ、思ったんだけどさ。タコって、地上でそんな長い時間生きられるのか?」

タコという生物が、前世と同じタコ……蛸であるなら、普通は地上で何時間、何十時間、何日間も生きられないよな。
それともあれか、世間一般的なタコじゃなくて、タコのモンスターだからその辺は関係無い、のか?

「タコってあれっすよね。海中に生息してる八本の脚があって……墨を吐く奴っすよね」

「それだ、よく覚えてたな。基本的に海中に生息してる奴って、地上に長時間いれば干からびるだろ」

「その通りですね……もしかしてラガス様、この街の住人に恨みを持つ人物が、人為的にタコのモンスターを造った、とでも言うのですか」

「いや、だってよ。それ以外にこう……ぴったりそれだ! って納得出来る内容あるか?」

「そう言われると、直ぐに思い付きませんね」

自分で言っててそんなのあり得ないだろ! って思う内容ではあるけど、そうじゃないと色々繋がらないというか……ねぇ。

「街の住人全員というのはあり得ないとは思いますが、この街を拠点にしている者から嫌がらせを越えるレベルの被害を受けた人物の仕業……と断定してよろしいのでしょうか」

「断定するには早いかもしれないけど、その可能性が高いんじゃないかとは思う」

一応まだ狙われてるのがホープレスのハンターだけではあるけど、他の街の住人に被害が出たってなると、また話は変わってくる。

「……とりあえず飯にしよう」

「それもそうですね」

飯時の時間じゃなくても、料理店にはちょいちょい俺達以外の客もいるが……あまりテンションは高くない、な。

確かルビーランクのハンターが二人と、ブロンズランクのハンターが一人殺れたんだったか。
父さんたちには一歩及ばないまでも、その一歩手前まで上り詰めたハンターが殺られたってなると……トップのハンターが殺されたのだけが理由じゃなくて、単純にそのタコモンスターに対して恐怖があるだろうな。

「ラガス。タコ、って。どんな、モンスター、だった、け」

「うねうねした脚が八本あって、その脚全部に吸盤が多数付いてるんだ。そんで、口から墨を吐く」

「墨、墨、墨……顔が、黒く、なる?」

「顔にぶっかけられたらそうなるな。一応水中……海中に生息するモンスターだから、水魔法のアビリティが使える筈だ」

とはいえ、俺が考えた仮説が当たってたとしたら、それ以外の特徴がありそうだな……なんだが、ファイルトロールの件よりヤバい気がしてきた。
とりあえず明日からホープレスの住民たちの為とかじゃないけど、がっつり探そう。
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