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驕り故の油断
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SIDE ラガス
「最初はどこに向かうんだ?」
「ノールスという街に向かおうと思ってるんだ」
卒業式が終わり、宴会も終了。
同級生たちと語りたいことは語りつくし、いざハンター人生に向かって突き進む!!! ……の前に、一旦実家に帰って両親たちとのんびりした時間を過ごしていた。
「ノールス……ノールスはあまりラガスたちが行っても楽しい場所じゃないかった筈よ?」
「普段ならそうかもしれないけど、今はファイルトロールの目撃情報があるんだ」
「ファイルトロールか……なるほど。それなら、お前たちが行く価値はありそうだな」
一般種のトロールと同じBランクではあるが、より戦闘に特化した存在。
それがファイルトロール……らしい。
実物は見たことも戦ったこともないので解らないが、戦闘が得意なトロールと考えるだけで、凶悪さが窺える。
「でも、ファイルトロールは個体によっては群れをつくる筈よね。その辺りは……そうね、考えるだけ無駄そうね」
「あまり油断するつもりはないけど、多分大丈夫だと思ってるよ」
パートナーであるセルシアがいて、戦闘力が激強なメリルとシュラがいる。
それで超頼りになる相棒、ルーフェイスまでいるので、たとえ母さんが言う群れをつくるタイプのファイルトロールであっても、負ける気はしない。
「しかし、ようやくラガスも卒業か……ハンターとして旅をするなら、いずれロウドやクローナ、クレアやアリクともどこかで出会えるだろう」
「あの子たちが活躍した話を聞けるのは嬉しいけど、もう少しこまめに帰って来てほしいものね」
……父さんと母さんも、若干寂しいのかもな。
一番下のレアードとセリスの双子が学園に入学した。
家督を継ぐカロウス兄さんは、もう少し遊撃隊の騎士として活動しなければならないっぽい。
二人とも見た目は実年齢に見えないが、一応……まぁ、母さんがいる手前口に出せないけど、それなりに歳だからな。
現在の年齢で出産ってなるとちょっと危ないし、あんまり下手なことは言えないな。
「それだけ冒険に夢中ってことなんじゃないかな」
「……まぁ、気持ちは解らなくはないのだけどね」
そりゃそうか。父さんと母さんも元ハンターだったわけだし、気持ちは解るか。
俺にはルーフェイスがいるし……なるべくこまめに帰ってくるか。
「でも母さん、あと数年もすれば孫が見られるから、また騒がしい毎日になるんじゃない?」
「孫……そうね。ふふ……楽しみね」
口にしてからしまったと思ったが、どうやら予想以上に孫の誕生が楽しみみたいで良かった。
「そうだな。俺も楽しみだ……ところでラガス、いずれはドラゴンに挑もうと考えているか」
いつになく、超真剣な表情で問われた。
「えっ、うん……そりゃ、いずれは挑もうと考えてるけど」
「そうか。なら、なるべくわざと怒らせるのは止めろ」
「えっと、もしかしてわざと怒らせたことがあるの?」
「いや、わざとではない」
父さんや母さんにしては珍しい! と思ったが、どうやら違った。
「ただ……そう警告したくなるほど、怒りに感情が支配されたドラゴンは恐ろしい。それが……下級ドラゴンと呼ばれるワイバーンであってもだ」
そう語る父さんの表情と、隣に座る母さんの表情から、実体験であることが伝わってきた。
「逆鱗に触れた、ってことで良いのかな」
「そうなるな。あの頃は俺たちもそれなりに強く、有名になっていたこともあり、少々驕っていた部分があった」
「そういう時に限って災難は降りかかってくるのよね~。それまでも死にかけたって思う冒険はいくつもあったけど、あの戦いはその思いが一番強かったかもしれないわ」
「…………分かった。胸に刻んでおくよ」
正直な話……その強さ、非常に気になる。
気になるが、セルシアたちに迷惑をかけるのは……今更な話かもしれないけど、止めておこう。
「最初はどこに向かうんだ?」
「ノールスという街に向かおうと思ってるんだ」
卒業式が終わり、宴会も終了。
同級生たちと語りたいことは語りつくし、いざハンター人生に向かって突き進む!!! ……の前に、一旦実家に帰って両親たちとのんびりした時間を過ごしていた。
「ノールス……ノールスはあまりラガスたちが行っても楽しい場所じゃないかった筈よ?」
「普段ならそうかもしれないけど、今はファイルトロールの目撃情報があるんだ」
「ファイルトロールか……なるほど。それなら、お前たちが行く価値はありそうだな」
一般種のトロールと同じBランクではあるが、より戦闘に特化した存在。
それがファイルトロール……らしい。
実物は見たことも戦ったこともないので解らないが、戦闘が得意なトロールと考えるだけで、凶悪さが窺える。
「でも、ファイルトロールは個体によっては群れをつくる筈よね。その辺りは……そうね、考えるだけ無駄そうね」
「あまり油断するつもりはないけど、多分大丈夫だと思ってるよ」
パートナーであるセルシアがいて、戦闘力が激強なメリルとシュラがいる。
それで超頼りになる相棒、ルーフェイスまでいるので、たとえ母さんが言う群れをつくるタイプのファイルトロールであっても、負ける気はしない。
「しかし、ようやくラガスも卒業か……ハンターとして旅をするなら、いずれロウドやクローナ、クレアやアリクともどこかで出会えるだろう」
「あの子たちが活躍した話を聞けるのは嬉しいけど、もう少しこまめに帰って来てほしいものね」
……父さんと母さんも、若干寂しいのかもな。
一番下のレアードとセリスの双子が学園に入学した。
家督を継ぐカロウス兄さんは、もう少し遊撃隊の騎士として活動しなければならないっぽい。
二人とも見た目は実年齢に見えないが、一応……まぁ、母さんがいる手前口に出せないけど、それなりに歳だからな。
現在の年齢で出産ってなるとちょっと危ないし、あんまり下手なことは言えないな。
「それだけ冒険に夢中ってことなんじゃないかな」
「……まぁ、気持ちは解らなくはないのだけどね」
そりゃそうか。父さんと母さんも元ハンターだったわけだし、気持ちは解るか。
俺にはルーフェイスがいるし……なるべくこまめに帰ってくるか。
「でも母さん、あと数年もすれば孫が見られるから、また騒がしい毎日になるんじゃない?」
「孫……そうね。ふふ……楽しみね」
口にしてからしまったと思ったが、どうやら予想以上に孫の誕生が楽しみみたいで良かった。
「そうだな。俺も楽しみだ……ところでラガス、いずれはドラゴンに挑もうと考えているか」
いつになく、超真剣な表情で問われた。
「えっ、うん……そりゃ、いずれは挑もうと考えてるけど」
「そうか。なら、なるべくわざと怒らせるのは止めろ」
「えっと、もしかしてわざと怒らせたことがあるの?」
「いや、わざとではない」
父さんや母さんにしては珍しい! と思ったが、どうやら違った。
「ただ……そう警告したくなるほど、怒りに感情が支配されたドラゴンは恐ろしい。それが……下級ドラゴンと呼ばれるワイバーンであってもだ」
そう語る父さんの表情と、隣に座る母さんの表情から、実体験であることが伝わってきた。
「逆鱗に触れた、ってことで良いのかな」
「そうなるな。あの頃は俺たちもそれなりに強く、有名になっていたこともあり、少々驕っていた部分があった」
「そういう時に限って災難は降りかかってくるのよね~。それまでも死にかけたって思う冒険はいくつもあったけど、あの戦いはその思いが一番強かったかもしれないわ」
「…………分かった。胸に刻んでおくよ」
正直な話……その強さ、非常に気になる。
気になるが、セルシアたちに迷惑をかけるのは……今更な話かもしれないけど、止めておこう。
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