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進路は?

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SIDE ラガス

合宿を初めて二日目。
本日も午前は数十の魔弾を操りながら接近戦組のトレーニングを行う。

先日と比べて、セルシアやリーベ、セリスたちが慣れてきたこともあり、弾数を追加。
一気に十個ぐらい増える訳ではないが、それでも頭痛がやや強まる。

俺にとっても良いトレーニング……と思わなくもないが、正直辛い。
いや、辛いと思えてるなら、それは良いトレーニングなんだろうけど……なんだろうな、ひたすら頭痛が続くのはやっぱりきつい。

午後の騎士たちと模擬戦を行う方が、よっぽど楽というか楽しいというか……うん、気にしても仕方ないか。
これだけ色々考えながらやれてるんだから、意外とまだ大丈夫ってことだろう。

そして一旦休憩に入ると、セルシアがこちらにやって来た。

「ラガス」

「おぅ、どうした?」

「私の魔弾に、属性を、加えてほしい」

えっ……マジか。やっぱりストイックだな。
ダメージは通常の魔弾より少し上がるけど……当たっても、セルシアなら大丈夫か。

「分かった。次からセルシアのやつは属性を追加しておくよ」

「ありがとう」

というわけで、話した通り、セルシアに向けて動かす魔弾には火や風の効果を付与している。
属性を付与したところで脳に掛かる負担は変わらないので、問題はない。

その後、リーベやセリスたちにも同じことを頼まれた。

属性が付与された方が緊張感が増すと思うけど……皆Mだな~。
いや、ただ強くなりたいって思いが、人一倍強いだけか。

「再開するぞ」

休憩時間が終わり、再び魔弾を使ったトレーニングを始める。

正直、魔弾に属性を付与したら緊張感は高まると思うけど、難易度は上がらないと思うから、申し出をしてきた人たちの魔弾は、少しだけ速度を上げた。

すると、皆良い感じに先程までの表情から余裕が消え、焦り始めた。

速度とかを弄ると、またちょっと負担が掛かるが、これぐらいは許容範囲。
昼休憩まで、やらかすことなくセルシアたちのトレーニングを務めた。

「そういえばさ、ラガスは進路どうするんだ」

本日も王城専属料理人の極上飯を食べてると、他校の生徒がそんな質問をしてきた。

「ハンターになるつもりだけど」

「その話、マジだったのか」

他校の奴らには殆ど話してないけど、意外と広まってるんだな。

「あぁ、マジだよ」

「お前なら絶対に騎士になって、一気に昇進出来るだろうに……勿体ねぇな」

「一気に昇進出来るかは解らないだろ。強さだけで階級が上がる訳じゃないし」

勿体ないという言葉に少々イラっとしたが、とりあえずスルー。

「いや、ラガスなら直ぐに大きな仕事をこなして、上に登るだろ」

「それは容易に想像できるな」

「現役の騎士相手に、バチバチに戦ってるんだろ? 無理な話ではないよな」

絶対無理ではないかもしれないが、そもそも大きな仕事が新人にそんなほいほいと回ってくるか?

「実力があっても、新人に大きな仕事を上が回すとは限らないだろ。それに、俺を上に上がらせたくないって人もいるだろうし」

「それはど、どうなんだろうな?」

真面目な騎士もそりゃいるだろうけど、そうじゃない人だっている筈。
カロウス兄さんみたいに高い社交性があれば、話は別なんだろうけどな。

「それに、俺は話し合いよりも物理的に解決する方が得意だから、そういった件で問題になる」

「ラガスさんなら、あり得そうっすね」

「だろ。だから、そもそも騎士って職業が合わないんだよ」

話し合いは大切だと思うけど、基本的にそれで厄介事が解決するとは思えないしな。

「確かに、暴力沙汰を起こすと、騎士の爵位を剥奪されてもおかしくないよな……ハンターなら、そこら辺は緩いのか?」

「一応ルールはあるけど、それなりに上手くことを運べば、殴り合いの解決に持ち込めそうだと思うんだよ」

ちょっと失礼な考えかもしれないけどな。

てな感じで、本日に昼休憩は卒業後の進路について話した。
そして午後のトレーニング時間になると……先日相手をしてもらった、有望株の新人騎士さんがいなかった。

何故?
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