624 / 962
進路は?
しおりを挟む
SIDE ラガス
合宿を初めて二日目。
本日も午前は数十の魔弾を操りながら接近戦組のトレーニングを行う。
先日と比べて、セルシアやリーベ、セリスたちが慣れてきたこともあり、弾数を追加。
一気に十個ぐらい増える訳ではないが、それでも頭痛がやや強まる。
俺にとっても良いトレーニング……と思わなくもないが、正直辛い。
いや、辛いと思えてるなら、それは良いトレーニングなんだろうけど……なんだろうな、ひたすら頭痛が続くのはやっぱりきつい。
午後の騎士たちと模擬戦を行う方が、よっぽど楽というか楽しいというか……うん、気にしても仕方ないか。
これだけ色々考えながらやれてるんだから、意外とまだ大丈夫ってことだろう。
そして一旦休憩に入ると、セルシアがこちらにやって来た。
「ラガス」
「おぅ、どうした?」
「私の魔弾に、属性を、加えてほしい」
えっ……マジか。やっぱりストイックだな。
ダメージは通常の魔弾より少し上がるけど……当たっても、セルシアなら大丈夫か。
「分かった。次からセルシアのやつは属性を追加しておくよ」
「ありがとう」
というわけで、話した通り、セルシアに向けて動かす魔弾には火や風の効果を付与している。
属性を付与したところで脳に掛かる負担は変わらないので、問題はない。
その後、リーベやセリスたちにも同じことを頼まれた。
属性が付与された方が緊張感が増すと思うけど……皆Mだな~。
いや、ただ強くなりたいって思いが、人一倍強いだけか。
「再開するぞ」
休憩時間が終わり、再び魔弾を使ったトレーニングを始める。
正直、魔弾に属性を付与したら緊張感は高まると思うけど、難易度は上がらないと思うから、申し出をしてきた人たちの魔弾は、少しだけ速度を上げた。
すると、皆良い感じに先程までの表情から余裕が消え、焦り始めた。
速度とかを弄ると、またちょっと負担が掛かるが、これぐらいは許容範囲。
昼休憩まで、やらかすことなくセルシアたちのトレーニングを務めた。
「そういえばさ、ラガスは進路どうするんだ」
本日も王城専属料理人の極上飯を食べてると、他校の生徒がそんな質問をしてきた。
「ハンターになるつもりだけど」
「その話、マジだったのか」
他校の奴らには殆ど話してないけど、意外と広まってるんだな。
「あぁ、マジだよ」
「お前なら絶対に騎士になって、一気に昇進出来るだろうに……勿体ねぇな」
「一気に昇進出来るかは解らないだろ。強さだけで階級が上がる訳じゃないし」
勿体ないという言葉に少々イラっとしたが、とりあえずスルー。
「いや、ラガスなら直ぐに大きな仕事をこなして、上に登るだろ」
「それは容易に想像できるな」
「現役の騎士相手に、バチバチに戦ってるんだろ? 無理な話ではないよな」
絶対無理ではないかもしれないが、そもそも大きな仕事が新人にそんなほいほいと回ってくるか?
「実力があっても、新人に大きな仕事を上が回すとは限らないだろ。それに、俺を上に上がらせたくないって人もいるだろうし」
「それはど、どうなんだろうな?」
真面目な騎士もそりゃいるだろうけど、そうじゃない人だっている筈。
カロウス兄さんみたいに高い社交性があれば、話は別なんだろうけどな。
「それに、俺は話し合いよりも物理的に解決する方が得意だから、そういった件で問題になる」
「ラガスさんなら、あり得そうっすね」
「だろ。だから、そもそも騎士って職業が合わないんだよ」
話し合いは大切だと思うけど、基本的にそれで厄介事が解決するとは思えないしな。
「確かに、暴力沙汰を起こすと、騎士の爵位を剥奪されてもおかしくないよな……ハンターなら、そこら辺は緩いのか?」
「一応ルールはあるけど、それなりに上手くことを運べば、殴り合いの解決に持ち込めそうだと思うんだよ」
ちょっと失礼な考えかもしれないけどな。
てな感じで、本日に昼休憩は卒業後の進路について話した。
そして午後のトレーニング時間になると……先日相手をしてもらった、有望株の新人騎士さんがいなかった。
何故?
合宿を初めて二日目。
本日も午前は数十の魔弾を操りながら接近戦組のトレーニングを行う。
先日と比べて、セルシアやリーベ、セリスたちが慣れてきたこともあり、弾数を追加。
一気に十個ぐらい増える訳ではないが、それでも頭痛がやや強まる。
俺にとっても良いトレーニング……と思わなくもないが、正直辛い。
いや、辛いと思えてるなら、それは良いトレーニングなんだろうけど……なんだろうな、ひたすら頭痛が続くのはやっぱりきつい。
午後の騎士たちと模擬戦を行う方が、よっぽど楽というか楽しいというか……うん、気にしても仕方ないか。
これだけ色々考えながらやれてるんだから、意外とまだ大丈夫ってことだろう。
そして一旦休憩に入ると、セルシアがこちらにやって来た。
「ラガス」
「おぅ、どうした?」
「私の魔弾に、属性を、加えてほしい」
えっ……マジか。やっぱりストイックだな。
ダメージは通常の魔弾より少し上がるけど……当たっても、セルシアなら大丈夫か。
「分かった。次からセルシアのやつは属性を追加しておくよ」
「ありがとう」
というわけで、話した通り、セルシアに向けて動かす魔弾には火や風の効果を付与している。
属性を付与したところで脳に掛かる負担は変わらないので、問題はない。
その後、リーベやセリスたちにも同じことを頼まれた。
属性が付与された方が緊張感が増すと思うけど……皆Mだな~。
いや、ただ強くなりたいって思いが、人一倍強いだけか。
「再開するぞ」
休憩時間が終わり、再び魔弾を使ったトレーニングを始める。
正直、魔弾に属性を付与したら緊張感は高まると思うけど、難易度は上がらないと思うから、申し出をしてきた人たちの魔弾は、少しだけ速度を上げた。
すると、皆良い感じに先程までの表情から余裕が消え、焦り始めた。
速度とかを弄ると、またちょっと負担が掛かるが、これぐらいは許容範囲。
昼休憩まで、やらかすことなくセルシアたちのトレーニングを務めた。
「そういえばさ、ラガスは進路どうするんだ」
本日も王城専属料理人の極上飯を食べてると、他校の生徒がそんな質問をしてきた。
「ハンターになるつもりだけど」
「その話、マジだったのか」
他校の奴らには殆ど話してないけど、意外と広まってるんだな。
「あぁ、マジだよ」
「お前なら絶対に騎士になって、一気に昇進出来るだろうに……勿体ねぇな」
「一気に昇進出来るかは解らないだろ。強さだけで階級が上がる訳じゃないし」
勿体ないという言葉に少々イラっとしたが、とりあえずスルー。
「いや、ラガスなら直ぐに大きな仕事をこなして、上に登るだろ」
「それは容易に想像できるな」
「現役の騎士相手に、バチバチに戦ってるんだろ? 無理な話ではないよな」
絶対無理ではないかもしれないが、そもそも大きな仕事が新人にそんなほいほいと回ってくるか?
「実力があっても、新人に大きな仕事を上が回すとは限らないだろ。それに、俺を上に上がらせたくないって人もいるだろうし」
「それはど、どうなんだろうな?」
真面目な騎士もそりゃいるだろうけど、そうじゃない人だっている筈。
カロウス兄さんみたいに高い社交性があれば、話は別なんだろうけどな。
「それに、俺は話し合いよりも物理的に解決する方が得意だから、そういった件で問題になる」
「ラガスさんなら、あり得そうっすね」
「だろ。だから、そもそも騎士って職業が合わないんだよ」
話し合いは大切だと思うけど、基本的にそれで厄介事が解決するとは思えないしな。
「確かに、暴力沙汰を起こすと、騎士の爵位を剥奪されてもおかしくないよな……ハンターなら、そこら辺は緩いのか?」
「一応ルールはあるけど、それなりに上手くことを運べば、殴り合いの解決に持ち込めそうだと思うんだよ」
ちょっと失礼な考えかもしれないけどな。
てな感じで、本日に昼休憩は卒業後の進路について話した。
そして午後のトレーニング時間になると……先日相手をしてもらった、有望株の新人騎士さんがいなかった。
何故?
45
お気に入りに追加
3,493
あなたにおすすめの小説
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~
白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。
日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。
ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。
目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ!
大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ!
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。
【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
君と恋をしたいのに、なかなか始まらなかった君との恋の物語 〜攻略対象の王子様と悪役令嬢(仮)〜
hazuki.mikado
ファンタジー
カートレット王国の第1王子ウィリアムは、赤毛に青い瞳をした精悍な顔の美丈夫で文武両道で魔法の天才と言われる将来有望な王太子候補。だが彼は実は転生者であり、前世の記憶を持つ事を隠したまま生活していた。
彼の婚約者はアーバスノット公爵家の長女シルフィーヌだったのだが諸事情によりそれまで一度も会うことはなく、王子が9歳シルフィーヌが7歳の時王宮の庭園で開かれた茶会が初めての顔合わせだった。
しかしこの時令嬢シルフィーヌは、自らが転生者でありこの乙女ゲームの世界で王太子ルートの当て馬の悪役令嬢でありヒロインに王子を攻略されると、あっさり婚約破棄をされるという事を思い出し気絶する。
それを見て怪訝に思うウィリアムは、秘密裏に訪れた公爵邸の彼女の部屋のバルコニーでお互いの秘密を共有することになり・・・
一方ゲーム開始時期になると突然現れた男爵家の養女であるヒロイン、オリヴィエはウィリアムに徐々に近づいて行く。
トンデモナイ未来を回避しようと四苦八苦するが、ゲームの強制力なのか、面倒事ばかりが起こり始めとうとうブチ切れる王子様。
そして立太子直前の第1王子ウィリアムは王立学園の卒業式の謝恩パーティーで自らの婚約者に向けて言い放った――
『修道院へ自ら赴け!』
ちょこちょこ訂正してあります。しかも不定期更新になります。スイマセン
▲▲▲
何時もの如く何もかもが都合主義なのはお約束(人*´∀`)。*゜+
頭空っぽにしてお読みください~(・∀・)
取扱説明事項〜▲▲▲
作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や感想動く栞、そして誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。*゜+
皆様の愛(誤字脱字報告)を真摯に受け止めております(_ _)
エブリスタでも投稿。
10/22 女性hot 49位ありがとうございます(_ _)
2024.12.8.扉絵復帰しました(_ _)
伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる