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解る人だけに解る小さい変化
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イーリスがとりあえず、壁を乗り越えることが出来たから、これからも宿に籠ってもらうことなく同行することが決定。
スノーベアーに関しては倒しやすい攻略法が見つかったけど、それを抜きにしても恐怖を感じる敵に思いっきり接近して攻撃をぶちかまし、最後は知恵を振り絞って倒した。
もうイーリスの動向にあれこれ言うつもりはない。
という訳で、もう面倒なことを考えずにベッドでごろごろ出来る。
「一安心、ですね。ラガス坊ちゃま」
「ん? イーリスの件に関してか?」
「えぇ、その通りです。あの戦いでスノーベアーに勝てなければ、リザード公爵様からの依頼が終わるまで宿に籠っていてももらう。その考え自体は悪くありませんでした」
だよな。
死なれた超困る……いや、困るどころの話じゃないもんな。
「ですが、それはそれで後々面倒事に繋がるかもしれません」
「はは……本当にそうだよな。んで、メリル的にはもう不満はない感じか?」
「不満とは?」
あれ? もしかしてあんまり自覚してなかった感じか?
「だって、昨日から結構不機嫌そうな顔でイーリスのことを見てたじゃん」
「……顔に出ていたでしょうか」
「いや、別にそんなにがっつり出てなかったと思うぞ。長い間一緒にいる俺やシュラぐらいしか気づかない変化だったな」
「そうですか」
本当に小さい変化だった。
キリアさんやルーン、リタさんたちも気付いてないだろう。
もしかしたらセルシアは気付いてたかもしれないけど、あの時のイーリスを考えれば、メリルがそういった表情になるのも無理はないと思うはずだ。
「ラガスさんの言う通りだ。別に気にする必要はないだろ」
「そうですね……もう考えるのは止めます」
「……メリルが不満になるのも解るけどな」
一応今回は壁を乗り越えたが、多分俺たちの中で一番実戦経験がないということには変わりない。
ヘイルタイガーやアイスドラゴンと遭遇した時は、申し訳ないが戦いに参加しないでしょ良いと願うばかりだ。
直接参加しないでくれって言えば良いだろって?
俺がそう言って従ってくれるなら、苦労はない。
ヘイルタイガーぐらいなら……いや、どうだろう?
スノーベアーの一つ上のBランクだから、堅くなさそうに見えて毛皮の防御力は上がってるだろう。
そう考えると、イーリスのアイスランスやジャベリンでダメージが入るか?
そもそも脚の速さ的に攻撃が当たるかどうかが不安だな。
「ラガスさん、一応イーリス様は壁を乗り越えたっすけど、目的のモンスターと戦う時には後ろに下がっててもらうっすよね」
「お、おぅ。一応そう考えてるけど、やっぱりそっちの方が良いよな」
「俺は絶対にそうしてもらうが方が良いと思うっす。ヘイルタイガーが相手ならそもそも攻撃が簡単に当たらない。アイスドラゴンが相手なら、当たっても本当に殆どダメージが入らないと思うんで」
……もっともなご意見だな。
セルシアならヘイルタイガーとの戦いでも付いてこれそうだから、参加してもらおうと考えてたんだが……セルシアが参加するなら、絶対に自分も参加するって言いそうだな。
「だよな~……せめて、ある程度火魔法を使えるならあれだけど……得意じゃないって言ってたし、本当に相性って大事だな」
「イーリス様に関してですが、本日のスノーベアー戦以降、少し大人しくなったように思えます。故に、ラガス坊ちゃまが強く言えば、言うことを聞くかと」
「そ、そうか? ルーノさんとリタさんに口裏を合わせてもらったら大丈夫な気がしなくもないが……そうだな。そういうのを伝える前に強敵と遭遇したら場が混乱するかもしれないし、先に伝えておくか」
部屋から出て二人の元に行くと、運良くイーリスはセルシアとの会話に夢中になっていたので、二人をこっそり呼び出すことに成功。
二人も俺たちと考えが同じ様だったので、直ぐに賛同してくれた。
スノーベアーに関しては倒しやすい攻略法が見つかったけど、それを抜きにしても恐怖を感じる敵に思いっきり接近して攻撃をぶちかまし、最後は知恵を振り絞って倒した。
もうイーリスの動向にあれこれ言うつもりはない。
という訳で、もう面倒なことを考えずにベッドでごろごろ出来る。
「一安心、ですね。ラガス坊ちゃま」
「ん? イーリスの件に関してか?」
「えぇ、その通りです。あの戦いでスノーベアーに勝てなければ、リザード公爵様からの依頼が終わるまで宿に籠っていてももらう。その考え自体は悪くありませんでした」
だよな。
死なれた超困る……いや、困るどころの話じゃないもんな。
「ですが、それはそれで後々面倒事に繋がるかもしれません」
「はは……本当にそうだよな。んで、メリル的にはもう不満はない感じか?」
「不満とは?」
あれ? もしかしてあんまり自覚してなかった感じか?
「だって、昨日から結構不機嫌そうな顔でイーリスのことを見てたじゃん」
「……顔に出ていたでしょうか」
「いや、別にそんなにがっつり出てなかったと思うぞ。長い間一緒にいる俺やシュラぐらいしか気づかない変化だったな」
「そうですか」
本当に小さい変化だった。
キリアさんやルーン、リタさんたちも気付いてないだろう。
もしかしたらセルシアは気付いてたかもしれないけど、あの時のイーリスを考えれば、メリルがそういった表情になるのも無理はないと思うはずだ。
「ラガスさんの言う通りだ。別に気にする必要はないだろ」
「そうですね……もう考えるのは止めます」
「……メリルが不満になるのも解るけどな」
一応今回は壁を乗り越えたが、多分俺たちの中で一番実戦経験がないということには変わりない。
ヘイルタイガーやアイスドラゴンと遭遇した時は、申し訳ないが戦いに参加しないでしょ良いと願うばかりだ。
直接参加しないでくれって言えば良いだろって?
俺がそう言って従ってくれるなら、苦労はない。
ヘイルタイガーぐらいなら……いや、どうだろう?
スノーベアーの一つ上のBランクだから、堅くなさそうに見えて毛皮の防御力は上がってるだろう。
そう考えると、イーリスのアイスランスやジャベリンでダメージが入るか?
そもそも脚の速さ的に攻撃が当たるかどうかが不安だな。
「ラガスさん、一応イーリス様は壁を乗り越えたっすけど、目的のモンスターと戦う時には後ろに下がっててもらうっすよね」
「お、おぅ。一応そう考えてるけど、やっぱりそっちの方が良いよな」
「俺は絶対にそうしてもらうが方が良いと思うっす。ヘイルタイガーが相手ならそもそも攻撃が簡単に当たらない。アイスドラゴンが相手なら、当たっても本当に殆どダメージが入らないと思うんで」
……もっともなご意見だな。
セルシアならヘイルタイガーとの戦いでも付いてこれそうだから、参加してもらおうと考えてたんだが……セルシアが参加するなら、絶対に自分も参加するって言いそうだな。
「だよな~……せめて、ある程度火魔法を使えるならあれだけど……得意じゃないって言ってたし、本当に相性って大事だな」
「イーリス様に関してですが、本日のスノーベアー戦以降、少し大人しくなったように思えます。故に、ラガス坊ちゃまが強く言えば、言うことを聞くかと」
「そ、そうか? ルーノさんとリタさんに口裏を合わせてもらったら大丈夫な気がしなくもないが……そうだな。そういうのを伝える前に強敵と遭遇したら場が混乱するかもしれないし、先に伝えておくか」
部屋から出て二人の元に行くと、運良くイーリスはセルシアとの会話に夢中になっていたので、二人をこっそり呼び出すことに成功。
二人も俺たちと考えが同じ様だったので、直ぐに賛同してくれた。
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